これはピンチですか?チャンスですか?
僕はゆっくり目を開けるとそこには目を疑いたくなるような光景が見えた。いつの日か(昨日だが)エレナさんと僕を殺しにかかってきた三体のゴブリンが僕のことを見下ろしていた。
……あぁ、そうか。僕は殺されるんだ……やっぱりらしくないことをするからこうなるんだ……。
ゴブリンは僕のことを見下ろしている。しかし、それ以上は何もしてこなかった。
「オキタゾ オキタゾ」
「マ オウサマ オ キタ」
「ワレラノ オウダ」
なんか訳の分からないことを言っている気がする。片言だからよく聞き取れないけど我らの王って言ってる気がする……せめて君たちを倒したエレナさんに着いていくなら分かるけど……
この時僕は初代の言葉を思い出した。確か最初の下僕がゴブリンやらなんやらって言ってたような……マジか
とりあえず僕は寝そべったままなのもあれなので上半身だけ起こして辺りを見回した。
別にどこか洞窟やダンジョンに連れ込まれた訳でもなく、僕が怠惰の魔術を使ったところから動いていないようだった。
「オウガオキタ オウガオキタ」
「ス バラシイ 」
「サァ ナンナリト ゴメイレイヲ」
ゴブリン達の目は昨日のような殺意に満ちている目ではなく、尊敬する何かを見ているように真っ直ぐな目をしていた。昨日と同じ緑色で醜悪な顔のはずなのになんだかちょっとかっこよく見えた。
とはいえ、いくら尊敬の眼差しを向けられても……こっちも緊張するって言うかてゆうかこいつらのどうやってエレナさんに紹介すればいいんだ?
僕がそんなことを考えている間にも尊敬の眼差しをやめない。逆に喋らない方が気まずくなるような空気を作っていく。もしこれが故意にやっているのなら彼ら(?)はとんでもない策士かもしれない。少なくとも知性が低いとは思えなくなるほどに。……まぁそんな気持ちなどあるはずもなくただ純粋に尊敬の気持ちを表しているだけなんだろうけどね。……さて、気合いを入れますか。
「……なら、まず君たちには新生魔王軍に入ってもらいたい……」
あー、自分で言ってて恥ずかしいな。くそぉなんでエレナさんがこういう時にいないんだろうな。
「オオ」
「ス バラシイ」
「シテ マオウグントハ」
はぁ、他のやつはとりあえず絶賛してるのに右のやつだけ地味に質問したりしてくるじゃん……こいつだけ地味に知能高いんじゃないのか? それに新生魔王軍の目的……そういえば目的ってなんだっけ?確か大魔王の安否がわかんなくなってそれでその場のノリで作るみたいな……あれ?ちゃんとした目的がないな。さて、どうするか。
「……その話は置いといて。 君たちはどうして僕が魔王だってきずいたんだ……」
「ソレハ カンタンデス」
1番右のやつが答えてきた。この感じを見るにこいつが1番頭がいいのかな?ある程度の意思疎通は出来るみたいだし。
「ワレラガ マオウサマノ マリョクヲジカニカンジタカラ」
「ソノアト マリョク オッテキタ」
左のやつが補足説明のように教えてくれた。なるほど……どうやらこいつらは結構意思疎通が取れるみたいだな。まぁ新生魔王軍の話は置いとくとして、いたら多分便利かもしれない。……まぁ後はどうやってエレナさんを説得するかだな……なんかこいつらを捨てられた小動物みたいな扱いしてるよな。……これは良くないな。魔物だからって考えは捨てた方がいいな。
それからすることがないというか……以前体はだるいので出来ることは少いが。とりあえずゴブリン達の自主練等を見せてもらった。さすがに魔王城で行われていた訓練程ではないがそれでも近くで見るとなかなかの見応えがあるものだった。
途中で訓練に参加しないのかと誘われたが、生憎今日は体がだるいからやめておいた。……まぁだるくなくてもやらないかもしれないがそれはその時だ。
そんなこんなしているうちにそろそろ日が沈む時間になって行った。
……そろそろエレナさんが帰ってくる頃合だと思う。……さぁなんて彼らを説明しようか……。
作者の現状報告
自転車の前輪がパンクしました。
やっぱりノリと勢いだけの作中秘話は続かん!
てかそんなに秘密にしてることがない!