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昔できたからと言って油断すると失敗するかも

ここから3章とします!

 初クエストを達成した僕達は夜ご飯を食べてお風呂に入り(もちろん別々だしなれるものではないが)しっかりとストレッチをして早めに就寝した。


 そして迎えた翌日、僕は動けなかった。そう、筋肉痛だ。


「おーいフニルー? 生きてるー?」


 エレナさんは容赦なく僕の体を揺らしてくる。1回揺らされるごとになんとも言えない激痛が走る。


「…………ちょっと勘弁してください」


「あー、やっぱり筋肉痛かぁ」


 僕は今聞き捨てならないことを聞いた。エレナさんは”やっぱり”と言ったのだ。なんて酷いやつなんだ。エレナさんのいつもの笑顔が残虐な悪魔の顔のように見える。


「大丈夫大丈夫! 筋肉痛は誰しもが通る道だから!」


 エレナさんが励ましてくれる。それかエレナさんの実体験なのかはわからないが。 ……今日クエスト行けるのかな。


「今日ギルドには私一人で行くからゆっくりしてていいよ」


 ……残虐かと思えばなんとも優しい……これがギャップというやつなのかもしれない。

 この時のエレナさんの笑顔は残虐な悪魔ではなく、とても紳士的な悪魔に見えた。




 エレナさんはその後直ぐに出かけた。僕はとりあえず冷えてちょっと固くなったパンを食べながら昨日のことを考えていた。

 昨日、久しぶりにあんなに動いたかもな。昔は訓練とかで色々やったのを覚えているけど……いつしか魔王城(じたく)でゴロゴロするだけの日々になっていたな。……全く、怠惰の魔王の名に恥じないな。


 ……そういえば怠惰の魔術って今使えるのかな。……体はだるいし痛いけど、ここに遊べるものもないし……ちょっと試してみようかな。


 僕はなんとか体を起こしてクローゼットにしまっていた魔装”レイジ”を取り出して外に出た。一応闇魔法とか試したかったし、もし爆発とかおきて家が無くなるとかあったら……もうエレナさんに申し訳なさ過ぎて生きていける気がしない。


 さて……ここまで来るのに相当時間かかったし途中で辞めようかと思ったけど……十分家から距離をとったし、まぁ大丈夫だろ。

 僕は魔装”レイジ”の柄をしっかりと握った。……ええっとなんだけ?確か”怠惰”の魔術は……そうだ、自分が戦わなくてもいいように仲間を強くする魔法……確かそんな感じだったはず……

 僕は意識を杖の先端に集中させるために目をつむった。この魔法の発動条件は、”怠惰”の魔術を習得したものの魔力と杖の先端にある特別な魔法石を通して発動できるらしい。


――バチ


 僕の近くで電撃のような火が舞い上がるような、そういうことを連想させる音が聞こえた。


――バチバチ


 音はどんどんと大きくなっている。目をつむっているため周りがどうなっているかは分からないが……なんだか嫌な予感がした。

 これは……失敗したか? てかそもそも強化させる魔物か魔族が近くにいない時点で詰みな気がする……


――バチバチバチ


 でも失敗する時は何も起きないはずだけど……これは、暴走的なやつか? どっちにしても…………あれ?意識が……やっぱり無理はするものじゃないな……







 …………っ、あれ?ここは……随分と暗いけど、夜になったとかじゃないな。それに目の前にいるのは……。

 僕は辺りに光がない、真っ暗な場所にいた。しかし、真っ暗なはずなのに目の前の人物はよく見える、なんとも矛盾した場所だった。


「やぁ、君がここに来たのは……いつぐらいだったかな? 久しぶり、覚えてる?」


 目の前にはくせっ毛のある赤髪で黒目の部分が蛇のように細くなっている。背中には龍のような翼が生えているところ以外は全く僕と同じ男がいた。


「……お久しぶりです。 初代怠惰の魔王様」


 だが目の前の男は僕ではない。僕の姿を借りた初代怠惰の魔王である。


「随分と大きくなったね。 話したいことは山ほどあるけど……君がここにいられる時間はそんなにないみたいだね」


 初代魔王はとても残念そうな顔をする。しかし、この空間は嫌いだ。……勘違いしないで欲しいのが別に初代のことが嫌いな訳では無い。ただ自分の顔を直視しながら話さなければならないのが嫌なのだ。


「この空間にもう一度来たってことは無事に怠惰の魔術を発動させたみたいだね。 まぁ最初の下僕がゴブリンってのは魔王としてあれだけどね」


 ん?別に怠惰の魔術は今使ったけど……それにゴブリンってもしかして昨日の……?


「使った感覚がないって顔をしてるけど……そうだね、君は無意識のうちに使っているみたいだし。 普通はこの杖を通さないと初めのうちは魔力が足りないはずだけど……まぁ君の魔力量はえげつないしね、そのレベルでもなんとかなったみたいだけど」


 すると真っ暗な空間が少しずつ崩れていくような感覚がした。


「もう時間か……まぁこの杖も本来は僕と会話するためにあるようなものだし。 もうちょっと魔力が回復したらまたおいで」


 そう言って初代は僕に手を振った。


……てかもしかして体のダルさって筋肉痛ってより魔力切れだったのか……

 僕はゆっくりと意識を失っていった。

作中秘話

魔装レイジはLazy(怠惰)から取ってます!

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