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EX:生贄と白い猫

第13に出てきた白猫の話です!


元は短編予定でしたがこっちにくっつけました!


 いやー暇だなぁ。なんか最近生きてるって実感しないな。この前は狩りとかしてたけど、今では飯が勝手に来るからなぁ。


 俺は大きなあくびをしながらいつも飯を持ってきてくれる女の所に行った。


「あっ! おーい、しろー!」


 この女は俺の見た目が白いだけで”しろ”と呼んでくる。 全く人間ってのはもうちょっと捻りのある名前を考えられないのか?


 前回はクロと呼ばれ、前々回はモフと呼ばれていた。


「わー! シロは今日も白いねー。それになんで尻尾が三本もあるのー?」


 女は僕の背中を撫でながら下顎をクイクイっとしてくる。


『なー。ゴロゴロ』


 ”今日も白いねって突然毛の色が茶色になったりすることは無いだろ。それに尻尾は3回転生した証だって何度も言っているだろう。それより飯をくれ!飯を!”


「待っててね。今ご飯あげるからね」


 そう言うと女は気で作られた手持ち用の籠から魚の叩きを出した。 今日はいつもに比べるととても多かった。何か嬉しいことでもあったのかもしれないな?


『なー。なー。』


 "女はいつもそうだが俺が食事をしている所をジッと見てくる。全く食べづらいな"


 しかし、女はいつもと様子が違った。俺のことをジッと見てくるその目には涙が溜まっていた。


「……あのねシロ。私、生贄に選ばれちゃったの。」


 ”生贄……確かここの近くの山に住む魔物に差し出される人のことか。そうか、もうそんな時期になっていたのか”


「……もうシロにご飯もあげれないし、会うことも出来ないね」


『なー』


 ”そんな泣くほど嫌なら逃げちゃえばいいのに。……でもそれが出来ないのが人間なのかな。俺が今まであった人間はこの女は例外として嫌な奴ばっかりだった。だけど何か嫌な任務とかがあっても逃げ出すやつは少なかったからね。この女もそうなんだろう”


 それから女と俺の間に会話は無かった。もとより会話が成立しているかどうかは別として。俺は飯を食べて、女はそれを見る。いつもと変わらないはずだ。そしてこれからも続くと思っていたけど、どうやら今日が最後みたいだ。


「……じゃあシロ、もう行くね」


 そう言うと女は手持ち用の籠を置きっぱなしのまま街へ帰ってしまった。籠にはエリと名前が書かれていた。


 次の日、俺はタチの悪い冗談だったのでは無いかと思いいつものところで待っていた。しかし、女は現れなかった。それに街の方が少し騒がしい。きっと伝統か何か知らないがお祭りを始めたんだろう。


 ……明日から飯、どうするか。狩りとか今更できるか……。

 俺はこれからのことを考えながら気の向くままに歩いた。すると、生贄を捧げる山への入口まで来ていた。


 さて……どうするか。もしかしたらまだ間に合うかもしれないしな。…………まぁ行くあてもないしな。


 俺は生贄を捧げる山へと入っていった。……後ろからオドオドとした青年が俺の事を見ていた気がした。




 そういえば飯のお礼をしてなかったな。もし会えたら……あれ?真っ白な服を来ている女を見つけた。良かった、まだ遠くまで行ってなかったみたいだな……ってあれ?なんで動かないんだ……いつも俺を見ると騒がしくするはずなのに。


 女が俺を見る目はいつもみたいにキラキラとした目ではなく…………まるで虚空を見つめているようだった。

 不思議だ……なんで、そんな事切れたみたいになってるんだ。早く起きて俺に飯をくれよ……。

 俺は女の体に顔を擦り付ける。しかし、女からの反応は無くただ虚空を見つめているようだった。


「あれ? 君、だれ?」


 突然背後から話しかけられた。声や顔からはまだ幼さを感じた。……もしかしてこの子も生贄に……それとも……

 俺はいつでも戦えるように戦闘態勢に入る。しかし、目の前の幼い女は全く動じることも無くむしろ面倒くさそうにしている。


「ねぇ、その後ろの人。 なんでこの森に入ってきたの?」


『なー。なー』


 ”それは俺も詳しくは知らないが……この山に生贄を捧げないといけないとかでここに来たんだろう”


「ふーん。 まだ生贄なんてやってるんだ。 もう生贄を要求する魔物もいないのに」


『ふー!』


 ”ならなんでこの女は……エリは……こんなことになってるんだ……”


「この森は魔物や魔族以外は立ち入ったら死ぬもの。 あなたもこのまま居ると死んじゃうよ?」


 そう言うと幼い女はエリを抱えて山の奥へと行こうとする。


『ふー!』


 ”ちょっとまて!エリをどうする気だ!こいつは今まであった人間の中で1番良い奴だったんだ!もし酷い扱いをしたら許さないぞ!”


「別に。 一応お墓を作ろうと思っただけ。 家の近くに死体があったらやだもん」


『なー』


 ”なら……俺も着いてくぞ”


「多分。 死んじゃうけど?」


『なー。なー』


 ”別に死ぬのは慣れてるからな。一応最後ぐらいは見てやりたいからな”


「へー。 あついね。 いいよ。 おいで。」


 そう言って幼い女は着いてくるように言った。……そういえばなんでこいつと会話が成立するんだ?


「どうやら君。 魔獣の性質を持ってるみたいだね。 しばらくは家にいなよ。 今家族と離れ離れだし」


「なー」


 ”へぇ。なら家族が帰ってくるまでは家にいてやるよ。そういえば名前を言ってなかったな。俺は……シロって言うんだ”


「ふーん。 私はファラク。 一応強欲の魔王だよ」


 魔王ってあの魔王か!……奇妙なこともあるもんだな。でもどうしてこんな山奥にいるんだろうな…



 この日俺は驚くことが多すぎた。まず飯をくれる優しい人、エリが死んでしまったこと。魔王ってやつにあったこと。そして、俺が死んだこと。


 どうやら俺は体勢はあるがこの魔障に耐えれるほどではなかったらしくあの後直ぐに死んでしまったらしい。そして、俺が新しく転生したら完全に魔獣になっていたらしい。

 どうやらこの山で初めて生まれた魔物らしい。残念なことに体の毛の色が黒くなってしまった。


 それでも俺はシロと名乗ることにした……

作中秘話

猫は9つの命があるみたいですよ。


作中関係ない?そんなぁ

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