プロローグ
ヨロシクお願いします(*´∇`)
プチッ―――あ、俺死んだな。
どんどん薄れて行く意識の片隅で考えていたのは案外すんなりと受け入れることができた目前の死だった。
日曜の午後、特にすることもなくコンビニにアイスでも買いにいこうと思い自転車で飛び出した住宅街の曲がり角で恐らくトラックにでもぶつかった。踏み潰されたのか存外コミカルな音をたてた俺の体は今、さぞかしスプラッタな死に様をご近所の皆様に晒していることだろう。毎度お騒がせします。
俺が死んだら家族は………いや、やめとこ。なんせ俺のことなんかどうとも思ってない薄情者どもだ。俺がバイトに行ってるうちに妹をつれて街の福引きで当たったらしい旅行券3人分で今はグアムだと。
妹からは心配してくれている旨のメールが届いたがあの両親からは俺への気遣いが一片も見られない満面の笑みが写メで送られてきた。俺はスマホの液晶を思いっきり殴ったが隅に写った妹は申し訳なさそうな顔をしてたっけ。だから心残りはそれくらいか。
って、そろそろヤバいな。さっきから流れ続けてる血は霞んでほとんど見えない目にもあきらかに致死量だとわかる。もう、時間は無いのだろう。カナカナカナカナうるさいセミの鳴き声を鎮魂歌に俺、『藤川 乃蒼』は溶けそうなくらい熱いアスファルトの上で臓物をぶちまけ、安らかとは言い難い表情で両親に憎悪の念を寄せながら、17才とかなり短めだった人生の"1度目"を終えたのだった。
ありがとうございましたぁっ!