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p.7[食事と火花]

 食事の仕方や食べ物など色々調べてみたのですが結局分からないので諦めました。許してください。

コンコンコンっ


 ドアがノックされてメイドのクレアさんが入って来た。


 「失礼します。御夕食のご用意が整いましたのでお迎えに上がりました」

 「分かりました。向かいましょう」


 カゼノさんとゴチャゴチャしているといつの間にか夕食が出来たようだ。

 因みにカゼノさんがクレアさんがドアを開ける前に魔導書に戻っている。どうやって感知しているのか。





 クレアさんに案内されてやって来たのは長方形の食卓が置かれた部屋だった。食卓にはオースティンさんと見たことのない女性が二人、男性一人が椅子に腰かけていた。おそらく家族なんだろう。


 「タチバナ殿待たせてしまってすまなかった」

 「とんでもございません。本日の宿だけでなくこうして食事の席に御招きいただきオースティン様には頭が上がりません」


 こんな感じか?

 席から立ち上がったオースティンさんと慣れない社交辞令を終わらせるとオースティンさんの家族と見られる三人が立ち上がった。


 「タチバナ殿、食事の前に私の家族を紹介しよう」

 「よろしくお願いします」


 やはり家族だったようだ。


 「まず私の妻のクロエ」

 「夫を盗賊から守ってくれたと聞きました。ありがとうございました。本日はどうぞごゆっくりしていってください」

 「こちらこそ。本日はお世話になります」


 クロエさんは茶金色の髪を高等部で縛り、その顔は一見優しそうだが瞳にはしっかりとした理性を飼っていた。オースティンさんの妻とは思えないほどの若々しさだ。


 「長男のエイデン」

 「盗賊の話は聞いている。今度、一度手合わせしてもらいたい」

 「機会があればよろしくお願いします」


 エイデンさんの髪の色はクロエさんと同じ茶金色で、その髪は短く整えられている。鋭い目つきで、体を鍛えているのか俗に言う細マッチョというのが服の上からでも分かった。


 「長女のアリシア」

 「お父様の事ありがとうございました。本日はお疲れでしょう精一杯おもてなしさせて頂きます」

 「お心遣いいただきありがとうございます」


 アリシアさんはオースティンさんと同じ金髪だが雰囲気が清楚と言うか、この子は世間で擦れてないんだなと思わせるような感じだ。箱入り娘を生で見たらこんな感じなんだろうな。


 「皆さま、ご紹介ありがとうございました。私はツバサ タチバナ申します。ご家族の団欒をお邪魔してしまい申し訳ありません」

 「そんな事は無いさ。まあ、座りたまえ」


 給仕さんが椅子を引いてくれたのでオースティンさん達が座ってからその席に座る。こういうのは立場の高い人から座るはずだ、多分。


 そんな事を考えていると食事が運ばれてきた。運ばれてきたのは骨付き肉とパンとサラダ、スープに飲みものだった。品数は少ないがどの品もボリュームがあっておいしそうだ。

 食器はスプーンとナイフの二つ。パンは手づかみで食べろって事だろうか。骨付き肉もナイフで切り取るのは中々難しいと思うんだが、オースティンさん達のを見て覚えるしかないか。


 食事が始まったので俺は小心者よろしく食事風景を真似てチマチマ食べていき、一通り食事が終わったと思ったらデザートが運ばれてきた。だが運ばれてきたのはまたパンだった。一口食べてみると最初に食べた物より少し甘く、菓子パンの様だった。


 「タチバナ殿は十九歳と聞いたが恋人だとかは居ないのか?」


 デザートのパンを食べ終わるとオースティンさんがこんなことを聞いてきた。今までモブとして生きてきたのにそんなの居る訳ないだろうに。


 「恥ずかしながら私にはそのような人物は居ませんね」

 「あら、そうなの?タチバナ様程の能力をお持ちなら引く手数多だと思うんです」

 「母上、タチバナ殿は魔法の修行で色恋なんぞしている暇は無いと思うぞ。何十年も掛かるのをこの歳で成し遂げたのだ。それは過酷な修行だったんだろう」


 クロエさんとエイデンも会話に参加してくる。


 「そうですね。確かに色恋と言うのは経験した覚えがありませんね」

 「そうだったのか。どうだ?私が紹介してやろうか?」

 「いえ、そういうのはちょっと・・・」


 何故か俺の恋愛の心配までされ始めてしまった。どいうことだ?あんた等には関係無いだろうに。

 あ、あることを思い出してしまった。ブレンダンに気付いた俺がオースティンさんの部屋に押し入った時、なんでこんな事したのかを聞いた時に何やかんやあって『娘とくっつけてしまおうだとか』とか言って無かったか?まさかとは思うが一応話を逸らそうか。


 「話は変わりますが。エイデンさんは体を鍛えているようですが教会でのお仕事ですか?」

 「教会にも軍事力はあるが、私は領主様の軍に勤めている」

 「そうなんですか」

 「勤めは大変だがアリシアや両親がサポートしてくれるからな。何とかやっていけている」


 アリシアさんを押してる様に感じるのは気のせいか?またそっちの方向に流れて行ってないか。


 「兄さん、やめて下さい。兄さんの努力と実力ですよ。私なんか大したことはしていません」


 やばい、アリシアさんも参加だ。何か、何かないのか。


 「アリシアも早く結婚相手を見つけろ。俺は男だからどうにかなるがお前は女だろう」

 「そうねー、もう二十歳になるんだし決めてもいいんじゃないかしら?」

 「私は特にそう言う事はあんまり・・・」

 「もういっそタチバナ殿に貰ってもらったらどうだ」


 ココでさらっとアリシアさんの年齢公開だ。

 こ、こいつ等やりおるな。逃げなきゃ捕まる。逃げなきゃ捕まる。


 「どうかね?タチバナ殿はアリシアをどう思う?」

 「嫌ではありませんがお互いの事を知りませんし。身分もありますので」

 「そいうのはこれから知っていけばいいだろう。身分はつり合いが取れていないがそれはタチバナ殿の方が上じゃないのかね?」

 「あら?タチバナ殿は高貴な御方なのかしら」


 あの野郎。使徒だと仄めかしやがった。他の人は何だか分からないだろうが枢機卿より上の立場の人間って早々いないだろう。

 オースティンさんを軽く睨んでみるがこちらを向いたままいい笑顔をしている。分かっててやってるな、あれは。


 「そんな事はないですよ。オースティンさんも冗談は止めて欲しいですね」

 「ははは、本当の事じゃないか」


 俺とオースティンさんとの間には見えない花火が散っているんじゃないだろうか。この戦いは長くなりそうだ。

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