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p.5[暴露]

 「私の方も一番、と言う訳ではないですが、信用はして欲しいので私の目標を言いましょうか」


 オースティンさんに教えても構わない情報。それでいて相手に信用してもうにはやはりコレしかないんじゃないだろうか。

 協力してもらっていればその内なんとなくでも俺の目標は分かるだろうからな。


 「聞かせてもらおうか」

 「ですがその前に人払いをお願いします」


 必要以上に混乱させるのは避けたい。

 この部屋にいるのは、俺、メイドさん、オースティンさん、カゼノさんの四人。だが、俺の部屋を監視していた人物もどこかに隠れているだろう。


 「失礼します」


 オースティンさんが目配せするとメイドさんは飲み物を机に置いて退室していった。

 監視しているであろう人物は俺では確認出来ないのでカゼノさんに確認してもらう。


 『まだ、視線を感じます』


 どうやら相手さんはおとなしく引くつもりは無いようだ。


 「監視している人は、こちらから何か手出しはしませんので出てきて下さい」

 「流石だ。やはりバレていたか。ブレンダン出てくるんだ」


 監視していた人物の名前はブレンダンと言うようだ。

 忍者のように天井とか床下から現れるかをひそかに期待してたんだが、普通にドアを開けて部屋に入って来た。


 「失礼する」


 入って来たのは、意外としっかりした巨躯で「粗暴」の二文字で表せるような無精ひげを生やした人物だった。


 「彼はブレンダンだ」

 「オレがブレンダンだ。こんな小僧に二度もバレるとは、オレももう歳かもな」


 「自信なくすぜ」と呟きながらオースティンさんの斜め後ろに向かって歩いて行った。


 「では、私の目標の話ですが信用の置ける人物以外には他言無用でお願いします」

 「それなりの理由があるのだろう。口外しないと約束しよう」


 所詮は口約束だがここは信用するしか無い。


 「可能なら近い未来目覚めるとされるドラゴンの討伐。それが無理なら、そのドラゴンから人々を守る事。唐突で信じられないかもしれませんがコレが私の目標です」

 「おいおい。嘘にしても、もうちょとましな嘘つこうぜ?」

 「・・・」


 さすがに信じられないか。オースティンさんは無言で俺を見てくるし、ブレンダンは俺に馬鹿を見るような憐れんだ目を向ける。


 「どうやら嘘、と言う訳では無さそうだな」

 「オースティンの旦那っ!マジでコイツの言う事を信じるのか!?」

 「ココで嘘を言う理由が無いだろう」


 どういう訳か信じてもらえるようだ。


 「詳しく聞こう。ドラゴンにも種類が居るんだが、どの種類のドラゴンも強敵だ。種類によっては国が動くような事態だからな」


 なるほどな。

 それよりもドラゴンにも種類が居るとか聞いてないんだが?レッサードラゴンとかそういう奴だろうか。とりあえず暴れたとしか知らないからな。


 「過去にドラゴンが暴れまわった事があったそうです。そのドラゴンの暴走は冬眠によって一旦幕を閉じました。ですが、そのドラゴンの冬眠が終わり目覚める事が分かりました。目覚めた後の行動が読めないので先に一手を打っておきたいんです。詳しくは言えませんがその情報を手に入れた私は、こうして今に至ります」

 「ドラゴンが冬眠から目覚める!?そりゃ大物の奴じゃねーか!」

 「そのドラゴンが起きるのは何時だ?!場所は!!そのドラゴンの個体名は??!」


 ブレンダンだけでなくオースティンさんもこの慌てようだ。それほどの大事おおごとなのだろう。ブレンダンの言葉だと小さい奴は冬眠しないという事だろう。


 「ドラゴンが何日起きるのは分かりませんが近い内にとだけ。場所はこの街からそんなに離れては居ないはずです。流石にドラゴンの固体名は知りません」

 「王都に連絡しなければ、だが信憑性が・・・。何かそれが証明できるような物はないのか?」


 そうか信憑性か・・・確かに俺の一言だけじゃ証明できないしな。

 使徒だと言うしか無いか?この世界に来てから一日でドラゴンの情報を王に伝えられるのは嬉しいが・・・

 

 腹を括るしか無いか。俺にはドラゴンに関する知識が無い。ドラゴンがどれほど強いかを知らない。

 オースティンさんの言うように、やはり情報が一番大切かもしれない。


 「オースティンさん。私はそれを証明する事は出来るかもしれません。ですがその代わりに私の手札は無くなります。貴方が私をドラゴン以外の障害から、何があっても守る。そう、約束して下さい。証明してしまうと私だけでなく貴方の親族や親しい人にまで害が及ぶかも知れません。その事をよく考えて答えてください」


 我ながらコレは卑怯だと思う。

 俺が使徒だと言わないと王に報告出来たとしても誰も信じ無いかもしれない。ドラゴンが来る事を知っていながらその時を待てと言っているようなものだ。

 俺が使徒だとバラし情報の信憑性を上げる。ドラゴンに対する準備は出来るだろう。

 だが、何故アイツが。 私の方が。 と使徒である俺を囲っているように客観的に見えるオースティンさんを殺そうとする輩が出てくるかもしれない。

 ドラゴンを退けられた時に得る事が出来る褒賞を目当てに馬鹿も増えるはずだ。


 さあ、どうする。



 「・・・わかった。情報を証明してもらえるか?もちろん君の安全も保障しよう」

 「ありがとうございます」


 長い沈黙の後、渋い顔でそう応えてくれたオースティンさん。

 オースティンさん、貴方に最初に会えて本当に良かった。心からそう思った。


 「私にこの情報を教えてくれた人物。それは風の神、アネモイ様です。

 そして私はアネモイ様にどうにかして欲しい。そうお願いされて使徒としてやって来ました」

 「ッ!! それが本当なら証明としては十分だ。だが、私は使徒に会ったことが無いのでな。残念ながら確認の仕方が分からない」

 「それなら魔導書を見せますよ。騎士さん方には隠しましたが今回は問題なく見えるようにします」


 魔導書を広げオースティンさんから見えるようにする。


 ツバサ タチバナ


・称号

 風の神アネモイの使徒


・犯罪履歴

 無し


 自分で確認した時には犯罪履歴というのは確認できなかったが見ようと思えば出来たのかもしれないな。


 「どうですか?」

 「確認した。魔導書は神の御業により生まれし物。その魔導書に書かれているんだ、認めるしか無いだろう」


 ただ本を見せただけであっさり信じた。

 コレは神様方が手抜きで創ってるって言わない方がいいだろう。

 カゼノさんに称号の隠蔽頼んだし、隠せちゃった事はもし聞かれたら使徒だからでごり押しするか。


 手元に魔導書を戻すと、俺にだけに見えるタイミングで文字が浮かんできた。

 カゼノさん?


 『服を脱いでください。上半身です』


 どういうことだ?服の胸元を引っ張って確認してみると心臓部に見慣れない紋章が描かれていた。

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