P.3[オースティン家]
異世界の街並みはやっぱりというか中世ヨーロッパ風だった。
建築の事は分からないが、木で枠組みをしてあり白い壁に赤い屋根の建物と白い石を積み上げたような建物が7:3位の割合でズラーッと建っていた。
俺は日本の首都圏のように高層ビルが乱立するよりもこっちの方が好きだわ。
そして、馬車の後ろを金魚の糞みたくついて行った俺はと言うと凄い立派な神殿の前に立っていた。
「あ、あのー。・・・もしかして馬車の中の人って教会のお偉いさん?」
「もしかしなくても教会のお偉いさんだ」
近くにいた騎士さんに聞いてみるも思ってた通りだった。
こんな場所に来て教会関係者じゃないとかありえないよな、知ってた。
「教会での報告が終わるまでしばらく待って欲しいそうだ」
「了解です」
馬車にいる人物からの伝令を騎士さんから教えてもらう。
馬車のドアを騎士さんが開くと同時に周りの騎士達が敬礼をしたので俺もそれっぽく真似てみる。普通に敬礼しているように見えるが確か敬礼にも正しいやり方というのがあったはずだ。俺は知らないが。
馬車の中から出てきたのは見た目、四十手前のおっさんだった。金髪にオールバックみたいな髪型はそっち系の怖い人のようだ。
おっさんは一瞬、俺を見ると神殿では無く俺の方に向かって来た。
「・・・なんか来てるんですけど?お宅の主人さん、こっちに来てるんですけど?」
「そうだな。貴殿の健闘を祈る」
大事なことなので二回言いました。
近くにいた騎士さんに助けを求めてみるが右手の親指だけを立てると脇に避けて行った。
あの野郎逃げやがった!!逃げるなら俺も連れて行けよ!切実にそう思う。
「君が若い魔法使いさんかな?」
「はッ!僭越ながらも私がそうであります」
諦めて腹をくくるが、もう嫌だ。
なんか威厳らしきものを肌で感じる程度にはやばい。
噛まずに言えた俺を褒めてほしい。
会社の面接以来だ、こんなに緊張したのは。
「その若さで魔法が使えるとは見事だ。私の部下に欲しいぐらいだ。
「お褒めの言葉ありがとうございます。残念ながら私には目標がありますので」
「宿が決まっていないと聞いた。今日は私の屋敷に泊まるといい」
「ありがとうございます」
それだけ言うとおっさんは神殿に向かっていった。
これはあれかな?泊まらせといて俺に手を付けてなし崩し的に手元に引き込む、みたいな。
目的に協力してくれるなら後ろ盾として使えそうだな。
「なかなか好感触だったんじゃないか?」
「そうですか?見てないで助けてくれても良かったのに」
「主人の会話に割り込む訳にはいかないだろうに」
「それもそうですね」
ははは!と騎士さんと互いに笑いあう。
神殿での報告を待っている間に騎士さん方に色々聞いてみた。
さっきのオールバックのおっさんは オースティン=シルフィック と言うらしい。
教会での役職は枢機卿と言うやつらしい。俺は役職とか言われてもわからないので魔導書を軽く開いてカゼノさんに助けを求めると文字が浮かんできた。
教皇>枢機卿>大司教>司教>司祭>助祭
さすがカゼノさん。マジ有能。
っていうか上から二番目なのか。オースティンのおっさん凄いのな。
それでオースティンさんの家だが、ここから結構近いらしい。
神殿って割と街の中心に建ってるんだけどそこから近いって、土地とか凄い高そうだがやっぱり金持ちなんだろうか。家もデカくて無駄にキラキラとかしてそうだよな。
この街の名前とかも聞きたっかたんだが目的の街の名前ぐらい流石に調べるかと思って聞けなかった。今は空気を読んで黙ってくれているスーパー魔導書カゼノさんは知ってるんだろうな、多分。
後で聞いておこう。
そんなこんなしているとオースティンさんが戻って来た。
この後はまっすぐ家に向かうようだ。
神殿から歩いて少しすると大きい家が増えてきて裕福層が住んでるんだろうな、と思っているとオースティンさんの家に着いたようだ。
あんたもココいらに住んでんのかよ!
「デカい・・・。けど思ってたよりゴテゴテしてるわけじゃ無いんだな」
「教会の枢機卿ともあろう立場の者がそんな屋敷に住むわけにはいかないだろう?」
オースティンさんの家も規模が大きいいうだけで街に入った時に見た家々とそんなに変わりはなかった。
三階くらいあるんじゃないかと感想を言うと、いつの間にか馬車から出てきたオースティンさんに聞かれていたようで急いで謝る。
「ッ!こ、これは失礼しました!!無礼な発言を・・・」
「構わないさ。あとそんなにかしこまる必要はないぞ」
「私なりに立場をわきまえているつもりですので」
そう言うと笑いながら家に向かって歩いていくオースティンさん。
今の何が面白かったんだ?まったくわからん。
オースティンさんの後について行き屋敷に入ると執事さんと女中?メイドさんがお出迎えしてくれた。
凄いな、感動したわ。
「夕食の時間になれば使いを出す。それまでは部屋で好きにしててくれ」
「お客人様。お部屋に案内させて頂きます」
オースティンさんは背後に人を従えて歩いて行った。
俺はと言うとメイドさんが案内してくれるそうなのでそれについて行く。
・・・凄い、リアルメイドだよ。スカート丈は長くてちゃんとしたメイドさんやってそうだ。
ちゃんとしたメイドってなんだ。
しばらく歩くと部屋に着いたみたいでメイドさんの歩みが止まる。
「こちらのお部屋になります。何か御用が有りましたらお部屋に置いてあります呼び鈴を鳴らしていてだければ直ぐにお向かい致します」
「案内ありがとうございました」
部屋に入ってみると確かに丸い一本足の机の上に小さい鐘が置いてあった。
それを確認すると部屋を見回してみる。
鐘が置いてある机の他には、天蓋つきのベッドに見るからにフカフカのソファ。高そうな絵画、とどれを見ても高そうだった。
窓から光も差し込んでくるし、中々いい部屋に泊まらせてくれるようだ。
「それにしてもこんなに小さい鐘で本当に来るのか?いや、異世界だし魔道具的なヤツかも」
呼び鈴を鳴らないようにゆっくり持ってそんな事を考えていると魔導書が震えたような気がしたので呼び鈴を置いて手元の魔導書を覗く。
「カゼノさん?どうかした?」
そんな事を言って魔導書を開いてみるととんでもないとこが書いてあった。
『何者かに監視されています。言動に気を付けて下さい』




