表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
36/53

p.35[同期の闇]

「それでお話があると仰ってましたけど」

「ああ、その話ですね」


カメーリアさんが助け船を出してくれたので、そのまま話の流れにのる。


「実はですね、ドラゴン討伐を一人で行こうかと思っているんですけど」

「また、そんな無茶を…」


目頭を抑えてうつむくカメーリアさん。

まあ、自分でも出来るかどうか分からないし、無茶なことを言っている自覚はある。


「勝算が無いわけじゃないんです。見ててください…」


そう言ってもう一度鎌を出す。カシャン と刃と地面とがぶつかり合い音を鳴らす。


「これは、さっきの鎌ですか?私の剣と似たような感覚を感じますが」

「そうです。この鎌は大地神クロノス様から賜った物です」


似たような感覚?俺にはよく分からないが…。


話が逸れたな。


「他の神々からもスキルや神具をいただいています。一人でドラゴン討伐も無理な話では無いでしょう?」

「確かに無理では無いでしょうけど……、一人では無茶です!倒せたとしても唯ではすみませんよ!?」

「勿論分かっています」


心配されるのは分かっていた。カメーリアさんに伝えたのは、同じように神から使命を受けた者として伝えておこうと思ったのだ。

もし俺が失敗してもタダで死ぬつもりは無いし、カメーリアさんに神具を持たせておけば討伐まで成し遂げてくれるだろう。


「言いたかったのはそれだけです。時間を取らせてすみませんでした。では、失礼します」

「待ってください!せめて私も連れていってください!!」


カメーリアさんに背を向け立ち去ろうとするが、私も連れていけと言われ、足を止める。


「被害が最小で済むのと言うならば、私がその最小になります。余計な犠牲は要らないんですよ」

「……」


今度は何も言い返して来ることは無く、瞳を潤ませながら俺の事を見つめるだけだった。

そんな彼女に再び背を向け表通りへと戻った。


「……大丈夫、俺は一人じゃないさ」


腰の魔道書を撫で、不安を紛らわせるために出た言葉は街の喧騒へと消えて行った。





今日もまたシルフィック家でお世話になる。

本来なるば俺は宿でも借りるべきなのだろうが、アリシアさんに「戻って来てくださいね」と言われてしまえば戻らない訳にはいかない。

ココは異世界での心が休まる場所となっていた。


月が照らし出すシルフィック家の庭。

そこでは風を切る音が断続的に響いていた。勿論、音の正体は俺だが。


「…ッ!フッ!!」


鎌を両手に使い方の練習中だ。

食事が終わるとクロエさんに言われたのだ。「何か思い詰めているご様子。運動をしてみては如何ですか?お庭なら邪魔されないと思いますから」と。


やはり人生経験が長いと何か悩んでるとか分かるものかね……ゾクッ!!

な、何だ!?冷たい何かが体を貫いた気が…いやこの話は止めよう。


まぁ、そんなこんなで今に至るわけだ。


武器の取り扱いを練習しているのにも理由がある。

鎌はカッコイイのだが重心が武器の先にあるので、鎌を振るごとに体もつられて動いてしまうのだ。

制御しようと試みてはいるのだが、どうしても上手くいかない。


「『飛行(フライ)』で勢いをつけて相手に引っ掛ければいいんじゃないですか?自由にしまえるわけですし」


声の聞こえる方へ視線を向けるとカゼノさんが立っていた。

彼女が出てきたってことは人の目は無いと思って良いだろう。


「それは考えたことなかったな」

「タダでさえ武器は多く頂いたのですし、一つ一つ覚えていたら何年掛かるか分かりませんよ」

「そりゃそーだ」


鎌をしまい、色々武器を出してみる。

弓、槍、槌や他にも色々。とても一人で同時には扱えない。


「カゼノさんは何か装備出来る?手数が増えるのは嬉しいんだけど」

「そうですね、弓とか?」

「いや、聞かれても困るんだが……」



結局、カゼノさんには弓を装備してもらう事になった。俺は適当に武器を取り出して戦う。武器なんて触ったことも無かったからな、どれでも同じだ。


練習も一段落付いた頃、カゼノさんが話しかけてきた。


「じゃあ、同期しましょうか」

「ごめん、よくわからない。…えーっと、今まではダメだったよな?」

「ええ。ドラゴンの彼一筋でしたから。ですが、連日に渡り彼の元に通った結果、私の想いを告げる事に成功しました」

「……それで?」

「私の使命を彼に伝え、同期は仕方ない事なんだと。彼にも私にも言い聞かせました。ので、同期しましょう」


すまないカゼノさん…俺の頭では理解出来ないよ……。


同期してくれるのは良しとしよう。メリットしかないし。

カゼノさんが庇ったドラゴンの彼に連日会っていた。カゼノさんは魔道書だし、睡眠が必要ないから俺が寝てる間に会っていた。まぁ、うん。

自他共に言い聞かせる。……同期ってそんなに重々しいものだっけ…?


「あの…同期って実は結構重大なイベントだったり?」

「当たり前です!同期とは言わば一心同体!!身も心も一つになるのですから!」


いや、そんなに力説されても…。

ドラゴンの彼、仕方ない、同期……何か俺がカゼノさんを寝取ったみたいな感じになってないか。

俺も一様は婚約者が居るんだけど。


「…同期はもういい、かな。しなくて」

「どうしてですか。私がこんなに頑張って自分を抑えているというのに」

「話を聞くとどうしても同期しにくい、って言いますか。はい」


同期してもさぁ、今度はドラゴンの彼が怒り出したらたまったもんじゃないし。後味悪いし。

…神具でゴリ押しダゼ!よしこれでいこう。


「てなわけで同期はいいや、うん」


強引に話を終わらせ武器の練習を再開する。


一通りの武器は触っておかないとな。

魔法の方も熟練度を上げておかねば…。


ドラゴンの彼怒ってないかな…。そもそもドラゴン×魔道書って需要あるのか。……ハッ、想像してはダメだ。深み(?)に嵌ってしまう。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ