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p28.[地下深く]

 地上に降りて視線の原因を探るべく声を掛ける。


 「あの、何か問題があったのか?」


 エリックが近寄って来たので、もう一度声を掛けてみる。


 「なあ、何か問題があったのか?」

 「いや、問題は無いんだが・・・。お前の魔法が珍しいのと、恐らくだが皆お前と戦ってみたいんじゃないか?」

 「・・・なんでよ」

 「見てて面白いからな」


 どうやら俺と戦いたい人達がいるようだ。

 俺としてはこの状態のMP消費とか色々気になるんだが、いい機会だし戦ってみたい。エイデンさんとの戦闘で得た物もたくさんあるしな。


 「俺はいいけど訓練の途中じゃないのか?」

 「この様子じゃ訓練にならんだろ。お前もやりたいって言ってるし別にいいんじゃないか?」


 どうやら訓練で何をやるかはかなり自由に決まるようだ。


 「この後の訓練は実践訓練とする。神級魔法使いのツバサ殿が相手をしてくれるようだから、本気だしてかかれよ!順番を待っている者は俺と手合わせしてもらう。」


 エリックが声を張り上げて訓練の内容を告げると兵達は歓声を上げて、我先にと俺に集まって来た。


 「俺と一戦頼む!」

 「いや、俺とだ!!」

 「ちょっと、並んでくださいって」


 思っていたより殺到してくる人数が多い。血の気が多い連中が多すぎるぞ。

 とりあえず全員と戦わないと終わらないぞ・・・。


 「ささっと並んで掛かってこいやー!」


 こうなったら自棄だ。さっさとこいや!!





 結局、戦闘は昼頃になって給仕が昼食の支度が出来たと呼びに来るまで続いた。

 戦いのさなか、何度か相手の次の一手が何となくだが分かるようになってきたので俺の腕も少しだけだが上がっているのだろう。

 剣術なんてものは嗜んでいないが、エリックや、俺と戦ってくれた兵士達に構え方を直してもらったりして形だけは何とか見えなくもないレベルにまでは上がっているようだ。


 「おーい大丈夫か?」

 「・・・いや、もう駄目だ」


 エリックが話しかけて来るが疲れすぎて立ち上がる事すら出来ない俺は、目だけで彼をとらえると視線を下げた。


 「んじゃ、お前の分の飯は俺が食べといてやるよ」

 「それはもっと駄目だ!」


 その場から跳ね起き、エリックを抜いて食堂へと走っていく。

 エリックはまだ俺の替わり身に呆然としているのか、広場に突っ立ていたので軽く煽ってやる。


 「早く来ないとお前の分の昼食も食べてやるからなー!」

 「そりゃねーって!」


 エリックが慌てて走って来たので俺もスピードを上げるが、食堂に着くころには追い付かれてしまった。


 「・・・遅すぎだろ、飯食ってんのか?」

 「うっせぇ、筋肉ダルマ。それならお前の飯よこせや」


 そんな応酬をしつつ昼食をとって広場に戻るとアビーさんが居た。

 彼女は俺を見つけると走って近づいてくる。どうやら俺に用事があるようだ。


 「アビーさん、こんにちは」

 「ごきげんよう。ツバサ様。禁書室への立ち入りが出来る様になりましたのでそれの報告と、禁書室への案内をと思って参ったのですが、お時間よろしかったでしょうか」

 「ええ大丈夫ですよ」


 禁書室へと行ける様になったのでアビーさんが案内をしてくれるようだ。

 そういえばカメーリアさんはどうしたんだろう?今日はまだ見かけていないが。





 アネモイ様の神殿に着いてアビーさんについて行くと、昨日俺とアリシアが会った広場に出てきた。


 「屋外に出てきましたけど・・・」

 「ちょっと特殊なものですから、厳重に保管するための処置ですわ」


 そして神句が書かれた石碑の目の前に前に立つと胸元からペンダントを取り出し、天高く掲げた。


 「アネモイの信徒!教皇、アビー=ウィリディスに道を示せ!」


 アビーさんの掛け声と共にペンダントが光を放つと、石碑が横へと動き出した。


 ズズズッーーー!


 重たい音が響き石碑の下から地下へと続く階段が姿を見せた。


 「では参りましょうか」


 彼女の先導で階段を下りて行くと、入って来る光が少なくなっていく筈なのだが、不思議と暗いと感じることは無かった。


 「ここの明かりは魔法で補っているのですか?光源が見当たらないのですが」

 「確か、魔法で夜目を付与していた筈ですわ」


 術者がその場に居なくても発動する魔法か・・・。

 罠として使われたら厄介だな。こういうのは魔法陣で作るのかな?


 階段を下り終わり、一本道の通路を歩いてしばらくすると、古ぼけた木の扉へと対面した。

 古ぼけたと言っても、しっかりとした作りで無骨だが禁書室の扉としてはこの方がいいのだろう。


 アビーさんが扉を開けると、そこには幾段にも積まれた本棚達。地上との高さを考えると在りえない程高く積まれていた。

 壁一面に並ぶ本棚に長机。この二つの種類しか家具と言った家具は無いが、その風景は妙に調和がとられていた。


 「別の空間・・・なのか?地上との高さを考えると、階段をそんなに下りたつもりは無いし、そうとしか考えられないが」

 「鋭いですのね。確かにここは地上とは別の空間ですわ。その昔、世界を創ろうとした魔法使いが完成させた魔法の劣化版らしいのですが十分凄いですわよね」


 どんな魔法使ったらこんな空間作れるんだ?しかもこれで劣化って。

 この空間には埃も見当たらないので、掃除用に風か何かの魔法も使われているようだ。


 「では関係ありそな本を見ていきましょうか」

 「そうですね」


 アビーさんと二手に分かれて本棚を調べる。

 本棚をざっと見ていき、気になった本を手に取っていく。

 本棚の中には宗教的に禁止書に指定されたのだろう本が多いが、幾つか魔法について書かれた本も見つけることが出来た。

 本を軽くめくって確認していくと、天候を変える魔法が多いようだ。

 雷を落とす魔法もあるようだが、これはどこに落ちるのかが分からないようだ。


 『飛行フライ』で飛んで二段目以降の本棚も確認していくと一つだけ真新しい本を見つけた。

 その本は一番上の本棚に紐にグルグル巻きにされて置かれていた。積まれた本棚がどこまで続いているのかが気になったので一番上まで来てしまったが、コレはいかにも怪しいだろう。

 そしてこの本の隣にあった本。その題名にもまた、目を引かれることになった。


 その本の題名は、「隔離された神殿」

 王都にではなくこの街にだけ、教皇が一人取り残されているのが頭に浮かんだ。

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