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p.21[思わぬ再開]

 昼食を取り終わった後、俺たちは訓練場に戻って来た。

 アビーさんは「お客人が参られました」と、セバスチャンに屋敷に連れられて行ったので、今いるのは俺とエリックとその他大勢の兵士達だ。

 午前中に訓練をしていた兵士は午後に街の見回りに、午前中に見回りをしていた兵士は午後が訓練に、そして非番を一日挟む。

エリックから聞いたのだが、このような流れで兵士達は動いているようだ。ある一定の期間で領内に散っている兵士達とも場所を変わるらしい。


 「お前ら、ちゃんと走れよー!」


 昼が訓練のグループがエリックの掛け声の元に走り出す。

 エリックは走らないのか、見ているだけだった。


 「俺も何かする事ないか?」


 人が走っているのを見ているのもなんなのでやることが無いかエリックに聞いてみる。


 「お前も走ってきたらどうだ?魔法の練習をするとか、お前魔法使いだろ」

 「あー、んじゃそうするわ」


 走りたくなかったので魔法の練習をすることにする。

 食堂で昼食をとっているときに思いついた魔法があるのだがソレを試してみたい。


 エリックに一言言ってから剣を一本手に取る。思ってたより結構重いな・・・。

 この時点で分かるかもしれないが、俺が考えているのは武器を浮かすことが出来るかどうかだ。ゲームなんかではよく見るかもしれない、浮遊剣と呼ばれるものだ。

 ドラゴンに効くかは分からないが上空から物量に任せて打ち出せば効くんじゃないか?そんな淡い期待を抱きつつ魔法をイメージしていく。


 「『浮遊剣(フローター・ソード)』」


 剣を胸の位置まで掲げ、地面と水平なるように構え魔法を唱える。

 剣の輪郭が一瞬淡く光ったかと思うと、俺の手を離れ宙に浮かび上がる。

 どうやら俺の意思で思いどうりに動かせるようだ。カゼノさんのサポートしてますよ感が凄い。


 俺が思った通りに動くのだが誤操作が怖いので右手を剣の方へ向けて舵を取る。

 人差し指を上に向けて一回転させると剣も一回転する。

 なかなか楽しいな。もう一本いけそうか?


 一度浮かした剣の柄を引き寄せ、手に取ってから魔法を切る。魔法の重ね掛けが出来るかも試してみたかったが、MPの消費が気になったので剣を地面に置いてから魔導書を開く。

 毎回思うんだが魔導書が邪魔なんだよな・・・。何か両手を使う事があるたびに脇に挟んで行動しているのだが作業がやりにくい事この上ないのだ。本を止めるような何かを作って貰った方がいいだろうか?

 同期はしてくれそうにないしな・・・。なんでそんなに嫌がるんだろうか。


 ツバサ タチバナ (19歳)

HP100%

MP75/130%

攻撃力100%

法撃力100%

防御力100%

法御力100%

俊敏力100%


 あれ?魔力が増えてる。

 ・・・どうやら所持スキルに新たに追加されたスキルが原因のようだ。


・所持スキル

 異世界言語[熟練度10.0☆]

 風魔法[熟練度1.01]

 風魔法適性[熟練度7.98]

 MP増加Ⅰ

 MP増加Ⅱ


 MP増加ⅡはMP+25%のようだ。MP増加ⅠのMP+5%と合わせて、元の100%から30%増えて130%になっていた。

 今日使った魔法は『我は神の御使い(ゴッズ・ザ・ゴスペル)』と『浮遊剣(フローター・ソード)』の二つだけ。それで魔力の残りは75%・・・。正直、俺の頭じゃ考えても分からないな。それに紋章が魔力を随時回復してくれているのと思うからさらにややこしい事になりそうだ。


 魔導書を眺めていても何も分からないので浮遊剣をもう一度試してみるか。


 「『浮遊剣(フローター・ソーズ)』」


 今度は二本で挑戦する。

 両手に一本ずつ剣を持って剣の切っ先を地面へと向け、魔法を唱える。

 これも先ほどと同じ様に淡く光ると俺の手を離れて行った。それを確認すると急いで魔導書を開く。


MP65/130%


 さっき見た時は魔力が75だったので大体10%の魔力を使ったようだ。この魔法は見るからに使っている間は魔力を使っていそうなのでそれ以上だと思うけどな。


 魔導書を一旦閉じて剣の操作に集中する。

 両手をそれぞれの剣へ向け、ゆっくりと剣を上へ上へと操作していく。


 魔導書を持っている方の手で操作している剣がどうしても大ざっぱな動きになるな・・・。やはり剣帯の本版みたいなのが欲しい。


 ゆっくりと動かして行く事でだんだんとコツを掴んでいく。

 最終的には完全に思考だけで扱ってみたいな。


 「面白そうな魔法使ってるじゃないか」


 一旦魔法を止めて声がした方へ向くとソコにはエリックがいた。

 どうやら兵たちが走り終わって休憩している間に俺の方へやって来たようだ。


 「まだコントロールが上手く出来ないんだ。まだまだこれからだ」

 「それなら実戦をしてみたらどうだ?一人でやるより覚えやすいと思うが」

 「実戦か?確かに面白そうだけど相手はどうするんだ」

 「下手な奴が相手をするとお互いに怪我をするからな、そうだなー。あ、お前エイデンと面識あるんじゃないか?」

 「あるけどエイデンさんが相手か」


 どうしてエリックがエイデンさんと俺が知り合いって知ってるんだ?アビーさんから聞いたとか?エイデンさんから聞いたって線もあるのか・・・。


 「何で面識があるって知ってるんだ?」

 「なんだ、噂になってるの知らないのか?シルフィック卿のご息女とお前が婚約したっていう噂なんだが」


 それ流したの絶対にオースティンさんだ・・・。

 戦う前に意気消沈している俺を余所にエリックはエイデンさんを呼んだ。

 っていうかエイデンさんこの場に居るのか。そう言えば領主様の軍に居るって言ってたな。


 「二日ぶりだな」

 「そうですね。まさかエイデンさんとこのような形で会うとは思ってませんでしたよ」

 「私もだ。まさかこんな場所で手合わせをすることになるとは・・・。出来れば将来の義弟おとうとと争いはしたくないのだが、これも仕事なのでな」


 これまた兵士達が場所を空けてくれていたので、エイデンさんと軽い挨拶をした後、開けてくれた空間の中央に陣取る。


 エイデンさんは革の鎧に一本の剣。一方の俺は普通の服に剣二本と魔導書の装備だ。


 「言っておくが、これはツバサの魔法の練習の練習だ。刃は潰してあるが双方とも気をつけろよ」

 「エイデンさん、よろしくお願いします」

 「こちらこそ」


 エイデンさんが剣を抜くのと同時に俺も魔法を唱える。

 さあ、戦闘開始だ!

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