表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
19/53

p.18[最近多いぞ自己紹介]

「では、禁書室にまいりましょう!・・・と言いたいのですが、細々とした手続きありますので今日中にと言うのは無理なんです」


 朗らかな微笑みから一転、アビーさんは悲しそうな顔になってしまった。

 領主と教皇。この二つの肩書を持っている彼女でも時間が掛かるというのならそういうものなのだろう。


 「なので、ツバサ様には我が領主軍に魔法をご教授頂けたらな、と」

 「あー、領主軍の方が本命だった筈なんですがね・・・」


 アビーさんの急なカミングアウトのせいで話が飛んでしまったが、領主軍の話が本命だった筈なんだけどな。


 「失礼ですが領主軍には今、何人程居られるのでしょうか」

 「そうですね・・・。わたくしが召し抱えている兵士は二千程でしょうか。領地の彼方あちら此方こちらに散らばっていますから、今街に居る兵は五百程でしょうか。神殿にも軍事力はありますね。そちらの方はいざとなれば信徒を好きなだけ集められるのですが・・・」


 今何か酷い事が聞こえたような気がしたか気のせいだろう。

 二千人が多いか少ないのか分からないが、それだけ人数がいれば頼もしいな。教会にも戦力があるようだし数だけでは二千以上か。


 「では、庭に移動しましょうか」


 アビーさんはそう言って席を立った。

 どうやらソコで騎士たちが訓練しているようだ。彼女に遅れて俺も席を立つ。





 アビーさんの館の後ろ側にやって来た。

 裏手にも大きな建物があったので何の建物か聞いてみると、兵の宿舎だと言っていた。重ねられた平屋と言えば大体分かるだろうか。造形がほぼ同じなので手抜きにしか見えないが。


 兵達は丁度、手合わせを行っているようで、二人一組になってお互いに剣を打ち合っていた。一人だけ端の方で立ってるのは指南役だろうか。彼がボッチがじゃないといいが。

 アビーさんが顔を見せると、ぼ、・・・指南役の男がこちらに歩いて来た。


 「アビー様、何か御用がおありでしょうか」

 「エリック。皆を集めてくれるかしら」


 指南役であろう人物の名前はエリックと言うようだ。遠目からでは分かりにくかったが、彼はとてもいいがたいをしていた。彼や兵たちは革の鎧を着ているのだが、彼の鎧はまるで盛り上がっているようだった。鎧のサイズ合って無いだろ・・・。そう突っ込まなかった俺を誰か褒めてほしい。

 そんな彼の質問にきちんと答えず兵を集めるように言ったアビーさんに気を悪くしたようなそぶりも見せず、エリックは立ち去っていくと大声で集合を呼び掛けた。


 「彼は?」

 「エリック=アズラック。わたくしの兵の中で一番強いんです。彼がココに居る者たちの隊長なんですの」


 隊長と言うことはやっぱり、さっきのはボッチだった訳じゃ無くて指南役的な立ち位置だったんだろう。

 兵士たちはエリックの号令で一糸乱れぬ整列を終え、俺たちの登場を待つ。なんか緊張してきた。


 「本日よりツバサ タチバナ様が神級魔法使いとして我が領主軍に参加なされます。興味がある方は後程お話をしてみてはいかがでしょうか」

 「ご紹介にあずかりました、ツバサ タチバナです。ごらんの通りの若造ですがなにとぞよろしくお願いいたします」


 アビーさんに目線で話を振られたので自己紹介をはじめる。俺の説明でまた分からない単語が出てきたが何だったのだろうか。兵士たちも心なしかザワザワとしている気がする。

 会話の中で、彼女の語尾の発音が強くなった気がしたが、こういう場面と日常とで切り替えているのだろうか。眠そうといった雰囲気は消えて、静かに燃えている炎のような安心感を感じた。


 「タチバナ様はどのようなお仕事をなされるのでしょうか」


 これはエリックからの質問だ。

 確かに魔法使いってどんな仕事をするのだろうか。アビーさんからは特に何も言われていない。というか、彼女は俺の事情を知っているので変に縛るような事はしないとは思うが、どうするんだ?


 「タチバナ様には魔法の研究、兵士たちへの対魔法訓練をしていただこうと考えています」


 まあ、妥当なところではないかな。それっぽい理由であるし、好きに動いていてもある程度は許容してくれそうだ。


 その後は特に何の展開も無く解散の流れになった。

 兵士たちはエリックの指示で手合わせを再開し始める。


 「どうでしょうか、ツバサ様も参加なさってみては」

 「いやいや、私には無理ですよ。ところで、先ほどの説明で気になったのですが神級魔法使いとは何でしょうか」

 「魔法使いのランク、でしょうか。基本的には一番上から神級、精霊級、仙人級、戦術級、一般の順番でしょうね。使える魔法の強さ、効果範囲などによってランクが変わるのですが、魔導書には載らないので自己申告なんですよね~」

 「私はアビーさんに魔法を見せた覚えが無いのですが」

 「神の使いなのですから神級に違いないでしょう?」


 えー、そんなに適当でいいのか?アビーさんて地味に狂信っぽいよな。

 神を信奉する人はどこか狂っていると聞いた事があるがどうなんだろうか。アビーさんを見てるとどうもなぁ・・・。


 「では、こうしましょう。魔法をお使いになってください。兵士たちにもアピールするチャンスですよ?」

 「何をアピールするんですか・・・」


 兵士たちにも俺たちの会話が聞こえていたのか訓練の手を止めると、ココに魔法を打ってくれ!!とばかりにスペースを開け始めた。

 強制ですか、そうですか。おいエリックさん仕事しろよ!?


 「神級の魔法って、どういうのやればいいんですか?」

 「神の御業の様な?」


 アビーさんは軽く首を傾げて答えた。

 凄いふんわりとした答えだな・・・。逆にやりにくい。

 神の御業って何だよ・・・、凄ければ何でもいいのか?

 雷は上昇気流が関わっているのは知っているが詳しい原理を知らないから無理っぽいよなー。


 ネプトゥネス様の神殿で考えていた、真空を使った魔法を使ってみるか?

 真空はありとあらゆる物質が存在しない空間。その空間の空気を外へ送り出してやればいいわけだ。身近な物だと注射針などのピストン形式。これなら想像しやすいしいけるだろう。

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ