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p.16[王都からの手紙]

ロッホ亭で泊まって次の日の朝、俺はオースティンさんの家に向かった。昨日頼んでおいた仕事先を紹介してもらうためだ。

 三回目なのだが、オースティンさんの家へ行く道が分からなかったのでカゼノさんに聞くのも忘れない。

 今カゼノさんは魔導書の状態で本を開いて俺の手の中に居る。開かれたページにはカーナビの様に街の見取り図が描かれており、自分の現在位置と目標までの道順が描かれていた。





 「すいません。タチバナですが、オースティン様に用事があって参りました」

 「タチバナ様ですね。話は聞いています。中に案内が居りますのでその者にその趣旨を伝えていただければと」

 「分かりました」


 オースティンさんの家まで無事に着いた俺は門番に話しかけた。門番は二人いて、一昨日盗賊たちと戦っていた騎士たちと同じ鎧を着ていた。

 どうやら、すでに俺の話は来ているようで問題なく通してもらう事が出来た。


 敷地に入り屋敷へと向かう。

 入口である扉にはドアマンと言うか、騎士が立っていてドアを開けてもらい屋敷にお邪魔した。

 館に入った俺の姿を見たメイドさんが二人、俺へと歩いて来て軽くお辞儀をした後、要件を聞いて来た。


 「本日はどのようなご用件でしょうか」

 「私はタチバナと言う者ですが、オースティン様と少々お約束をしておりまして」

 「貴方様がタチバナ様でしたか。そのお話は伺っております。ただいま案内させて頂きます」


 門番が言っていたが、確かに話は伝わっているようだ。

 それにしてもこの屋敷の人権費はどうなっているのだろうか。メイドさんにオースティンさんの居る部屋まで案内してもらっているが、この屋敷には人が大勢いる。廊下を歩けば案内してくれているとは別のメイドさんと会うし、窓の外では訓練をしているのであろう騎士たちが鎧を着て走っているのが見えた。


 コンコンコン・・・

 「オースティン様。タチバナ様をお連れいたしました」

 「空いているから入ってきてくれ」


 案内してくれたのは俺が殴り込みに行った部屋と同じ場所だった。


 「やあ、タチバナ殿。一日ぶりだな」

 「私は昨日もお会いした覚えがありますが」

 「昨日は書類を片付けていて部屋から出ていないことになっているんだよ」


 なっているんだよ。・・・これである。昨日のはやはりオースティンさんだったようだ。

 どういうつもりか聞いておきたいが今日はそんな用事では無いので質問は控える事にする。


 「仕事の件、どうでしょうか」

 「丁度君の様な人材を探している人がいたので紹介しておいた。コレが住所だ」


 オースティンさんが渡してきたのは一枚の紙切れと一通の手紙。

 紙切れは住所と近隣の簡易的な地図が描かれていたが手紙の方はすでに封が切られていた。


 視線をオースティンさんに向けるが彼は一つ頷いて見せるだけだった。

 王都へ送った手紙か?まさか、返事が届くには早すぎる。

 そう思って手紙を読んでみるが、そのまさかで王都からの手紙だった。


 「・・・我がクラルテ王国、現国王ヘンリー三世はシルフィック卿がもたらした、ドラゴンの冬眠からの目覚めの知らせを虚であると判断した。って、これは!!」

 「申し訳ない。これが王都からの答えだ」

 「クソッ、ヘンリー三世とかいう奴は死にたいのか!?人を寄こすどころか、調査もしないなんて!」


 思わず毒を吐いてしまう。

 オースティンさんが悪びれた顔で謝って来るが彼は悪くないのは分かっている。

 確かに、使徒がどうじゃら、ドラゴンが起きるじゃら、信じられないだろう。だが少しでも国の事を想っているのであれば調査位は出してもいいのではないかと思ってしまう。


 「そこで、さっき渡した住所が生きてくる」

 「何のことですか」


 この住所、オースティンさんが繋いでくれた仕事先が描かれた紙。

 コレが何になるのか。


 「その住所はここら辺一帯を治めている領主様の住所だ」

 「じゃあ、仕事は」

 「領主様の私兵。領主軍と呼ばれているがそこでの魔法の師事だ」


 領主軍での魔法の師事。という事は領主と繋がりが持てるという事か?それなら可能性はゼロじゃないぞ。

 王都にもう一度手紙を出すというのも出来るかもしれない。


 「君には申し訳ないが領主様には昨日の段階でドラゴンの話をしたんだ。もちろん君の事も含めてね」

 「それは構わないんですけど。領主様はどう言ってきたんですか」

 「詳しい調査をしてからだが全面的に話を信じてくれるようだ」


 よかった、これならいける!まだ諦めるような時じゃない。国王は残念だったがまだ領主がいた。

 俺一人で戦う事も考えていたが仲間が居るのに越したことは無い。


 「私からは以上だ。領主様の所へ行ってきなさい」

 「オースティン様、ありがとうございました!」


 そう言ってオースティンさんの部屋を出る。

 部屋を出ると案内してくれたメイドさんが待ってくれていたのか、案内してくれた人が壁を背に立っていた。

 俺を見ると軽く会釈をしてくれた。


 屋敷を出るとカゼノさんに領主様の住所が書かれた紙を見せた。


 「カゼノさん、コレ、よろしく」

 『分かりました』


 魔導書に栞を挟むように紙を置くと魔導書の地図が更新された。

 俺達が居るこの街が円形だとすると、炊き出しをしていた広場が中心にあり、その周囲を神殿群が囲っている。オースティンさんの家は西にあるが、渡された領主様の住所は東側にあった。


 渡された住所とオースティンさんの家が真逆の方向にあるのはどういう意味があるのだろうか。

 領主様の館はまた別の位置にあるのか?オースティンさんの家があった場所を裕福街だとすると館もそっちの方に建てた方がいい気がするんだが。


 まあ、行った方が早いか。

 領主様はどんな人物なんだろうか。今のところ碌な人に会って無いからな・・・心配しかないぞ。

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