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p.13[広場での講義]

あの後、オースティンさんを探したが結局見つけるとは出来なかったので、大人しく炊き出しの後片付けの手伝いをしている。

 お手伝いと言っても空になった鍋を洗ったり会場となった広場の掃除なんかだ。

 炊き出しは広場を囲っている神殿が毎月一回ずつ順番で行っているようだ。スラム街もあるとの事なので俺もソコを通るときは気を付けようと思う。





 「お疲れ~。いやー、君、見た目によらず力持ちなんだね」

 「ありがとうございます」


 炊き出しの手伝いを終えるとこんな事をよく言われた。俺が魔法を使っていたのを皆は分からなかったようだ。

 給料と言うかお手伝いのお金は銅貨五十枚だった。この世界には銅貨、銀貨、金貨の三つの種類の硬貨があるようで、それぞれ百枚で一つ上の硬貨になるようだ。物の相場は分からないので後で調べておこうと思う。


 それで俺はというと、もう一度広場にやって来ていた。

 さっきみたいに魔法の反動や副作用を知らないで魔法を使うと危ないから練習をしようと思ったからだ。広場には普通に人が居るので練習できる種類は少ないがやらないよりはいいだろう。


 「さて。カゼノさん、出てこれる?」

 『すいません、木の陰に移動して下さい』


 カゼノさんに魔法を教えてもらおうと思って声を掛けたが、どうやら人の目が気になるようだ。

 そりゃ人一人が急に現れたら嫌でも注目されるか。


 「また、無理な魔法使いましたよね?」

 「すいませんでした」


 人型になって開口一番でコレである。相変わらず辛辣だ・・・俺が全部悪いんだけど。


 「だから今度はそうならないように魔法を教えて欲しいなぁー、なんて」

 「もちろんです。ご要望どうり教えてあげましょう」


 あ、あれ?急にカゼノさんの背後に修羅が見えてきた。俺疲れてるのかなー?


 「まずは魔法についてもっと詳しく知りましょうか」

 「それ説明してもらわなかったけ?魔力を魔法に変換して使ってるっていう」

 「それは基礎の基礎の基礎です。大事な事なので三回言いました」


 そんなに基礎なのか・・・


 「魔力を魔法に変換している、これは私が肩代わりして行っています。魔力は空気中の魔力の元を吸収すると回復します、これは紋章が代わりにしています」

 「そう言われると俺、何もしてないみたいじゃん・・・」

 「イメージと魔法名を言っているだけですね。だから勉強してるんです」


 もうだ心折れそう。


 「この二つを詳しく知るだけでも全然違うんです。ほら、頑張ってください」

 「・・・頑張ります」


 落として上げるこの御方。本当はいい人なんですよ?多分。


 「紋章の役割からいきましょうか。空気中の魔力-魔素は場所によって違いますが、魔素が全く無い場所はありません。もちろん地球にも魔素はありますが普通の人間にはそれを知る事は出来ません。魔素はソコにあって無い物だからです」

 「凄い矛盾してるけど?」

 「概念だけが存在する。といえば分かりやすいでしょうか?日本で言う龍脈です。龍脈っていう言葉は知ってるけどそれを感じた事はない。魔力はそのようなものです。ですが魔法使いは魔力を見ることが出来ます」


 地球でも三十歳童貞は見えたりして。


「それは、どうやったら見えるようになるんだ?滝に打たれるとか?」

「魔力を見るようにするには、強い魔力を長時間浴びて身体を慣らす。これだけでいいんです」

「それだけ聞くと簡単そうだな」


でも絶対裏があるよな。カゼノさんの事だ、俺知ってるもんね。


「それが簡単では無いんですよ」

「ですよねー。知ってた」

「ちゃんと簡単な方法もあるんですよ?魔素濃度の濃い場所に何十年も篭るとか」


それで簡単とかどうなってるんだ。結局難しいじゃないか。

 それこそ仙人レベルだろ。


「そんな事やってたらドラゴンが起きるまで時間が足りないぞ」

「大丈夫です。要は外から魔力を入れて体内に行き渡らせればいいんです。ツバサさんはアネモイ様からのチートのおかげで下地は出来ているので一回魔力を通せばいけると思います」

「そんな簡単に出来ていいのか…十数年間とは一体……」


俺チート貰ってて良かったわ。何十年も修行とかやってられないしな。

 この世界でも三十歳童貞は魔法使えそうだな。


「それじゃあやってみましょうか」

「説明の途中なんですけど?」

「すぐに終わりますから」


カゼノさんはそう言って俺の両手を取った。

直後、身体を電流が流れ焼かれるような痛みが遅れてやってきた。


「ガッ!?…ガガ」


痛い痛い痛い!なんだこれ!?

カゼノさんに掴まれていた手は魔力線がミミズの様に浮き上がり緑に発光し視界にも細い緑の線が映った。そのあまりの痛みに目を瞑ってしまう。

少しの間耐えていると痛みは引いていった。


「な、何だコレ」


開けた視界に映ったのは水色に光る世界だった。


「カゼノ、カゼノさん?」

「見えたみたいですね。おめでとうございます」


呼吸するかのように光るソレが魔力のようだ。

カゼノさんは彼女自信が光っていた。脚、腰、腕、胴、頭余すとこ無く発光さる中で心臓部だけは一際の光を放っていた。核となる部分って事か?


「コレが魔力?」

「はい。そうですよ」


これじゃあ今まで魔法が上手く使えない訳だ。人智を超えた領域、俺は今そこにいると断言できる。

身体を巡る魔力を感じる、見える。全能感が体を襲う。

見えるものが変われば感じ方も変わると言うがまさしくソレだ。コレなら案外楽にドラゴンも倒せるんじゃ無いか?


「ツバサさん」

「どうしたんだ?」


カゼノさんに呼ばれて彼女を見ると、また両手を掴まれた。


「何の真似だ?」


俺の問いに答えることなく、彼女は強く俺の手を握りしめた。

すると発光していた光は消えて行った。それに合わせて力が抜ける感覚、何か大きなものに吸われているような脱力感を感じた。


「典型的な魔力酔いですね」

「え…」


 カゼノさんは両手を話すとそう言った。

何だそれは。魔力酔い?

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