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p.11[神殿就職課]

 オースティンさんに教えられた通り教会にやって来た。

 教会と言っても幾つか同じ様なものがある。一つは我らが神アネモイ様の神殿。その他にも大地の神ガイア、海の神トリトン等数多くの神殿が円を描く様に建てられていた。円の中心には簡単な広場があって、教会関係のイベントや重要イベントで使われるらしい。

 俺は道行く人にアネモイ様の神殿の場所を聞いて何とかたどり着く事が出来た。一回来たことがあるけど街の風景に気を取られてあんまり覚えようとしなかったからな。


 「相変わらず凄い立派だよな、ココ」

 「お前さんは初めて来たのかい?」

 「ええ、そうなんです。参拝したいのですがどうしたらいいんでしょうか」


 神殿を眺めてたら田舎者と思われたのか、神殿に入ろうとしていた人に声を掛けられた。丁度いいし参拝の仕方を聞いておこうか。


 「それなら一緒に行くかい?なに、道順は簡単なんだけどね」

 「ありがとうございます」


 案内してくれると言う優しい人の後について神殿に入っていく。

 外装を見ただけでも凄かったが内装も凄かった。天井は高く、吹き抜けの様な造りをしているのか神殿内部なのにそれなりの風を感じる。

 窓はガラスでは無く木を組んだ物だった。そこまで技術が進歩してないのか?


 「建物の中なのに風の通りがいいですね」

 「風の神様の神殿だからね。土や豊穣の神様の神殿なら庭園。水関係の神様の神殿なら噴水や水辺と言った感じに建て分けられているんだよ」


 それぞれの神殿にそれぞれの機能美か、凄いな。


 「さあ、着いたぞ。奥に像が見えるだろ?アレはアネモイ様を模していると言われているんだよ。像の近くに行って後はそれぞれ好きにお祈りするんだ。じゃあ、私も行ってくるよ」

 「丁寧にありがとうございました」


 案内してくれたお礼を言って、もう一度その部屋を見回す。

 教会なんかでよく見るような長椅子がズラッと並んでいてその奥には翼が生えた女神像が鎮座していた。

 俺の他にもチラチラと祈っているような人やローブを着ているような人が見えた。ローブを着ている人達が神殿関係者かな?


 真ん中辺りの椅子の端に腰をかけて腕を組んでみる。好きに祈っていいようだし作法なんかも無いんだろう。まあ、祈る事なんて何にも無いんだが。


 祈っているフリをしているのも程々に席から立ち上がり、ローブを着ている人に話しかけた。


 「あのー、すいません。神殿の方でしょうか?」

 「はい、そうですよ。何かありましたか?」

 「実はお金の残りが心もとなくて知人に聞いてみたのですが、神殿なら人手が欲しい筈だ。と言われまして・・・」

 「うーん、そうですね。ついて来てもらえますか」


 流石に直球過ぎたか?

 神殿で働くから金をくれ、だなんて普通無いもんな。ハロワ行けって話だ。無いんだろうけど。


 ローブの人について行くと面接室のような場所に着いた。その中には人が二人いて何かを話していた。


 「すいません。仕事を紹介して欲しいそうなのですが」

 「分かったわ」


 そう言うとローブの人は部屋を出て行った。

 さっき返事をしたのは赤い髪をした若い女性で、もう一人はオレンジの髪の女性だ。オレンジの人は赤紙の女の人より少し若そうに見えた。


 「それじゃあ、座ってくれる?」


 神が赤い方に言われて席に着く。


 「仕事探してるみたいだけど、どんな仕事がお好みかしら」

 「今日だけの仕事、つまりは日雇いですかね」

 「そうね。お昼から炊き出しをするんだけどその準備とか色々あるわよ。炊き出しはお昼代が浮くし、印象も良くなるわ。その分給金はいまいちだけどね」

 「いえ、その仕事をお願いします」


 お昼代が浮くと言うのは賄いが出るという事か?

 給金は明日オースティンさんが仕事を紹介してくれるからそんなに心配しなくてもいいだろう。





 その後に案内されたのは厨房らしき場所だった。大きな鍋が幾つも並び忙しなく人がいきかっている。


 「すいませーん!人連れてきたんですけどーー!」

 「それは助かります~!丁度男手が欲しかったんです~。こっちに来てくださ~い」

 「それじゃ、後は頑張ってね」

 「あ、ありがとうございます」


 赤髪の女性が厨房へ向かって叫ぶとパタパタと音を立てて一人の女性が語尾を伸ばしながら走って来た。

 それを見ると赤髪の人は俺に一言いって元来た方向へ帰って行った。案内が雑な気もするが別にどうでもいいか。


 「すいません。私は何をしたらいいんでしょうか」

 「このお鍋を神殿の裏の広場に運ばなくちゃいけないんです~」


 語尾を伸ばす喋り方って小説なんかで見るたびイライラしていた俺だが、リアルで会ってみるとマジで腹立つな、理由は特にないんだけど体が受け付けない。まあ、彼女に言ってもしょうがないんだが。


 「広場に運べばいいんですね?」

 「そうです~。あそこから出て行ってください~」



 指を指したのは少し大きな空間が開いてあって、俺の他にも鍋を運ぼうと何人か掛かりで運んでいた。絶対、一人で運ぶものじゃないと思うんだけど・・・。

 彼女に運ぶように言われた鍋はテレビしか見たことが無いような底が深いものでコック帽と比べたらいい線いきそうだ。コック帽も見たことないんだが。


 コレを一人で運ぶのは骨が折れるな。ていうか無理だ。

 身体強化の魔法なんかがあれば便利なんだが・・・あれ?身体強化出来るんじゃないか?

 漫画なんかでは特殊な呼吸法で謎エネルギー生成してたりするよな。あんな感じで酸素を気持ち多めに血管に送ってやればどうにかなりそう。

 それが無理なら魔力を貯めて魔力線で細胞の活性化を狙うか。

 後者はカゼノさんに怒られそうだからやりたくないなぁ・・・。

 ていうか魔導書カゼノさん持ってるから両手が使えないという。股で挟むか?・・・めっちゃ怒られそう。脇で挟むか?

 同期って言うのはカゼノさんに否定されたしな。カゼノさんの自業自得って事で我慢して貰おう。


 「『加速アクセラレータ アする鼓動ビート


 さあ、これで上手くいくのかどうか。自分自身に魔法をかけるのは初めてだからどうなるか分からんな。

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