プロローグ
ふと気が付くと花畑の中に立っていた。
「あれ?どうしてこんな所に・・・」
周囲を見渡して見ると、絵の中から出てきたかのような背中に白い翼をもった綺麗な女性が一人、ポツンと立っていた。
ここはどこだろうか?
翼の生えた人間なんているはずないので夢だと思うが、ズボンをこする花や頬をなでる風の感触があまりにも現実と遜色が無いので、俺はコレが夢だと思いきることができないでいた。
「あのー、すいません。気が付いたらここにいたのですがココがどこか知っていますか?できれば帰り方を教えて頂きたいのですが」
とりあえず話を聞かないと始まらないと思い目の前の女性に話しかけてみる。
女性は表情を悲しみのソレにすると俯いて呟いた。
「驚かないで、聞いてね。 ココは私の空間、別の世界。残念だけど、貴方の夢じゃ無いの。あなたが元の世界に帰ることはできないわ・・・。ごめんなさい」
「帰れない?どういう事ですか」
俺に対して深く頭を下げる彼女。
彼女が言う話しはとても信じれるものでは無い。だが、冗談半分で言っているようにはとても見えなかった。
「あなたは覚えて無いだろうけど、あなたは一回死んでるの」
「確かに、私は知りませんね」
「記憶を消してるのよ・・・。精神障害を避けるためにね」
死んだ?どういう事だ。いや、一旦落ち着くんだ。俺は、目の前の女性が嘘をついているとは思えない。頭をよぎるのは、もし仮に彼女の言っている事が本当だとしたら?
死んだ人間が生き返った。そりゃあ、死んだ記憶があるのに生きてるってのも混乱するだろう。
即死なら起こらないかもしれないが怪我が酷くて死んだ人なら幻痛も起こるかもしれない。名前は忘れたが確かそういう症状があった筈だ。
「貴女の言葉が本当だとすると、私は死んで生き返った。ココは貴女の空間で地球があった世界とも違う。・・・もしかして死神ですか?」
「神は神でも、私は風の神。死んだ後の神は別にいるの。私はあなたに仕事を頼みたくてココに呼んだのよ」
死神と言われたのが気に入らなかったのか少し表情が歪んだのを見て「すいません」と一言足しておいた。
異世界。女神。仕事。これだけで大体の事は分かってしまうが話は最後まで聞いておこう。
「それで、仕事とはなんでしょうか?」
「ここは地球がある世界とは別の世界。異世界と呼ばれるものよ。その異世界の中で私や他の神が統治している世界に行ってほしいのです」
やっぱり異世界転生だとかその類の話だよな。
魔王を倒せ!とか、世界を平和に!とかありふれた物語は俺も幾らか読んだことがある。ああ、神が黒幕なんてのも聞いた事があったな。
「あまり驚かないのね」
「こんな展開の小説が日本には出回っているんですよ」
「そうなのですか?それなら細かい説明は省かせてもらいます」
「分からなければ後で聞きますので」
目の前の女性の説明を要約していく。
まず彼女の名前はアネモイ様と言って風の神らしい。俺が行く事になる世界は、俗に言う剣と魔法の世界。どうやら魔物もいるようだ。
アネモイ様からの仕事は近い内に冬眠から目覚めるドラゴンから人間を守る事。可能なら討伐してもかまわないそうだ。
ドラゴンはかなりの知性を持った生物だが一度暴れだすと手が付けられなくなり、国が幾つも無くなるまで暴れ、力を失うと冬眠を始める。だが冬眠を始めても怒りが治まる事は稀だそうだ。
過去にそうなったドラゴンがそろそろ冬眠から目覚める時期のようなのでどうにかし欲しいと言う事だった。
異世界での生活をサポートしてくれる人物や能力と言った、所謂チート能力と言われる物も貰えるようだ。
「ドラゴンが冬眠から目覚める正確な時間。また、その場所。目覚める時の前兆。この三つを聞きたいんですが」
アネモイ様の説明を聞いていて考え付いた事を聞いてみる。
能力を貰ってもその場に俺が居ないいのでは意味が無いからな。出来る範囲でも聞いておきたい
「冬眠から目覚める時期と場所は分からないわ。冬眠の長さは個体値によるのだけど、暴れたドラゴンの冬眠時期は大体五百年・・・送る場所はなるべく最後に滅ぼされた場所の近くにするけど完全じゃ無いの。
前兆は、・・・そうね。目覚めが近くなると体をゆすって体温を高めるから、その時に鳴る音ぐらいかしら」
時間が分からないから余裕をもって召喚。場所もそれなりに近いかもしれない所に送ってくれる、という事だろうか。
神なのにそういった情報は分からないのか。分からないならこちらで探がすしかないが、果たして間に合うのか。
「すいません。質問は今ので終わりです」
「協力出来なくてごめんなさいね。それじゃあ送るわよ」
「短い間でしたがありがとうございました」
視界に渦巻き状の闇が入り込みソコで俺の意識の糸が切れた。
読んでくださりありがとうございました。
処女作ですので至らない点が多々あるかとおもいますがよろしくお願いします。




