ゲームスタート
高校生になった秋が初めて入った部活動は、サッカー部だった。
名門と呼ばれ、全国大会にも顔を出すほどの強豪だった西陵高校サッカー部に、中学までゲームしかしていなかった秋が馴染めるはずもなく、ほどなくして秋は退部を選んだ。
その後入った部活動こそが、ゲーム部である。
小さい頃から、ゲームでは誰にも負けたことがなかった秋にとって、そこは最高の部活だった。
なにより、入部の条件が、「ゲームを好きな人」というとても簡単なものだったことと、友達の夏が部長をしていたことが重なって、秋はゲーム部に入ることになった。
そのゲーム部にも、部活動というからには合宿がある。夏休みに入ってまだ数日だが、秋の部屋に皆が集まったのには、そういう訳があったのだ。
「さぁ、読者の皆様への説明も終えたことだし、一分スタートだ!」
「メタ発言……乙……」
部屋のテレビ台に無造作に置かれていた携帯電話を手に取る。時計が描かれたアプリには、タイマーの機能があることを秋は知っていた。
一分のタイマーをセットして、スタートボタンを押す。
「さて、ルールを確認しようか秋ぃー」
「禁止事項……」
ゲームは既に始まっている。全員が、普通に話しているようで多くのことを考え警戒していた。
「まず一つ。自分以外の相手を勝たせるために動いてはいけない。した場合はした方もさせた方もどっちも失格ってことで」
「やるからには勝ちに行けってことよね」
「当たり前じゃん秋ぃー」
「第二に、無回答をした場合はマイナス一ポイントとする」
「無回答なんてした時点で自分を不利にしているんだから、先のルールに反するでしょ?」
「それ……捉え方次第……」
「三つ目、暴力等による相手の支配、強制的なコールを禁ずる。これもした場合は失格ってことで」
「一分……経つ……」
「じゃあ、行くぜ!」
真剣な表情と鋭い視線が交差する。
座卓を囲むように四方の座椅子に座った四人、それぞれの思惑の中、秋が歯を見せて笑う。それを秋の目の前に座った春が不気味に感じた瞬間、携帯が、ピィーと高い音を鳴らした。
「夏……」
「夏」
「夏」
「秋ぃー」




