花言葉しりとり
──現在の場所。クリーン星。
地球より距離にして約二十光年。しかしワープで到着。
天気、雷雨時々火の玉。豪雪にも注意。
絶海に浮かぶ孤島から、天然木が根を生やす。そこに、天の楼閣。
トイレから戻り、威厳と品格漂う扉の前から、五人は揃ってその中へ。
──そこは王室。
この城で、最も権威ある者に与えられた部屋──。
──そこに、王座に腰掛ける一人の老者。
「よく来た。ゲーム部の諸君」
言葉の直後、扉が勝手に閉まる。しかし秋たちの視線は扉には行かず、見つめるのは、目の前に座る王と思われる人物。
その特徴は──。
頭に付けられた冠や見るからに高価な装飾品、着ている服装も。
肩まで届く白髪、長い耳と顎ヒゲも。
──全てが四季とは似つかない。
しかしその顔立ちは、四季に瓜二つで。一瞬で血の繋がりが分かる。
「あんたか。俺らとゲームがしたい奴ってのは」
「四季に似てるねー」
緊張という言葉を彼らは知らないのか。
すぐに思ったことを口にする秋と冬に、呆れ気味の視線を送った四季。
その後、片膝を着いて──。
「連れてまいりましたお父様。どうかお確かめください」
四季の言葉に反応をみせたのは──全員。
「私達、何か試されるらしいわよ?」
「ゲームの力量だろうな」
「計ってどうするんだろうねー」
「最強……ゲーマー……」
春の言葉で、三人が一斉に首を動かす。
目を星のように輝かせて。
「何それ!? めっちゃ面白いじゃん!!」
「いいねー春ぅー」
「まぁ、私が勝つのは確定ね」
盛り上がっている一同。
合わせられずに、ポカーンとアホ面を見せたのは、宇宙人親子。
──この星の王と姫。
が、そのままでいてくれるはずもなく。持っていた杖を上から下に振り下ろし、激しく音を立て、注目した秋たちに言う。
「ゲームを始める」
その行動に、何の躊躇もなく。
「で、どんなゲームするんだよ」
返答した秋の表情に、先ほどまでのおちゃらけたものは一切なく。
そう、まるで──別人。
突然スイッチが入った秋に、だが──。
「ゲームをするのは、主ではないわ。そこの石倉花火とかいうおなごじゃ」
指を差した先には夏が。
その言動に不信を抱かない訳が無い。
「おいじぃさん。やっぱりお前夏のこと知ってるだろ」
不機嫌に睨みつけて。苛立ちを隠す様子もない。
それに対して──。
「黙れ小童。主に用はないと言っておろう」
──王の風格を見せつけるように、睨みを返す。
「お前如きに、夏はもったいねぇよ」
「主の方こそ、リルルにも勝てぬと見えるぞ」
「あぁ? やってやろうか」
安い挑発。だが敢えて乗っかる。
ゲーマーとしての意地がそうさせる。
──売られた喧嘩は、借金してでも買うことにしてんだ。
そんなデタラメなプライドが、聞こえてきそうなほど。
「そこまで言うか。ならばわしの前にリルルと勝負してみい。そしてその勝負に、そこの三者の人権を賭けてもらおうかのう。万一主が勝てたなら、リルルをくれてやるわい」
──そして、次は相手をしよう。
秋たちの過去を、深く知らないで言ったその発言が、秋の怒りに完全に火をつけた。
「じじい……。四季はてめぇの道具じゃねぇんだぞ」
「知らんのか。この星じゃあ、子は親の道具なんじゃ」
「俺は……ダチを賭ける気はねぇ」
ギリギリのところで踏み止まった秋。三人を見て口にする。
「結局負けるのが怖いん──」
「賭けてやろうじゃない」
秋の選択を分かっていたと言わんばかりに、歪んだ笑みを見せた相手に。
一人の少女が割って入った。
──命ぐらい賭けてやるわよ。
──秋らしくないわ。
──こんなのゲームじゃよくあることでしょ?
──あんたが私たち以外に負けるわけがないじゃない。
だから──。
と、もう一度口を開いて、夏が続ける。
「あんたはいつでも、俺について来いってそう言えばいいのよ」
平然とした笑顔で、口にした夏。
秋が負けることなど、微塵も考えていないと見える。
「はぁー。……そうだ俺が負けるはずがない。だから、俺について来い」
夏の顔に安心したのか。ため息の後、生き生きとした顔で秋は続けた。
「ゲームの内容はくれてやるわい。リルル、分かっておるな」
「はい。お父様」
秋への視線を四季に移して、さらに強く睨みつける。
その眼を見ることすら出来ずに、震えた声で四季は答えた。
「じゃあやるゲームは──花言葉しりとりで」
「分かりました。早速やりましょう」
ルールも聞かずに即答する四季。
──秋の前に立って。死にそうな眼と泣きそうな顔でこちらを見る。
──ゲーム内容を決める権利。
それがどれだけ相手を有利にするかを考えていないはずがない。
そこにあるのは、理由か余裕か。
考える暇もなく、ゲームが始まる。




