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Lordcastle

──周りを絶海に囲まれた孤島の真ん中から、二本の巨大な樹木が根を生やし、巻きつきあって空高くへと伸びている。

そしてその樹木の頂点に、天空の城と呼ばれる純白の城郭が聳えていた。

なんとも堂々たるその洋館の姿は、世界最古にして最大の城である、チェコのプラハ城によく似ていた。

そう、まるで絵本の中のお姫様が住むお城のようだった。

だが、あそこはそんないいところではない。

天空の城……またの名をLordcastle。



──時は戻って。吹雪に耐え、豪雨に耐え、地を歩き、海を渡り、ついに城に到着した秋たち。

「うわぁすげー」

近くで見るとまた圧巻である。

見上げた秋が思わず唸るほどの、壮大な城郭は、あぁやはり、地球との技術の差を思わせる。

「では、中に入ります」

ニコッと笑った四季。直後、数千キロの高度にありながら、轟音が鼓膜に衝撃を与える。

一日に何度、目を閉じて耳を塞がなきゃいけないのか。

そんなことを心で思った時には、もう扉は開いていた。もちろん、秋たちには視認出来ないが。


「なんか、魔王の城に姫様を救いに行くみたいだな」

そう言った秋は、どこから取り出したのか、Mのマークがついた赤い帽子を被ってちょびヒゲをつけて、ジャンプを繰り返している。

「じゃあ……春……ルイ……」

「そこまでだ春ちゃん! それ以上はやばい!」

春の言葉を、秋が遮った。

突然口を押さえられ、苦しそうに、秋の腕を叩く春。

その秋は、もう普通の服に戻っていた。


「アホなことしてなくていいから。早く行きましょう」

「待ってよ! アイテムとコインがある気がするんだ」

「何の話ですか全く」

 呆れ気味に四季が秋を睨む。

「でもさーあんな高いところに、どうやっていくのー」

「そんなもの、土管を潜って行くに決まってるだろ!」

 もはや誰も秋のことなど無視して、話は進む。

上を指差して、冬が四季を見た。

それに対して、またも笑顔な四季。

顔を見ていた冬はもちろん、その他三人も、嫌な予感で鳥肌が立った。

「ふふっ登るんです」

四季はにこやかで。他はどんよりと。

「いやいやいや! 無理だよー四季ぃー」

涙目で訴える冬に、四季は笑顔のまま。

「嘘ですよ。エレベーターがあります」

安心の表情をしている一同を気にも止めず、何やら樹木を叩き始めた四季。

四人はその行動をただ見てるしかなかった。


樹木に模して隠した、掌サイズの扉を手探りする四季。

自分でも見た目には分からないなら、確かに誰にも見つけられはしないだろう。

パカッと開いた扉の中には、数字のパネルが九つ。

順番に押していくと、ゴゴゴゴゴ、と秋たちの立っていた島は揺れ始めた。

「なんだ!?」

「皆さん、秋さんの近くに」

扉を閉めて自らも近づきながら告げる四季。

全員が手を繋げるほどに近づいた次の瞬間、秋のいた周辺の地面が、せり上がった。

「うっ……いたい……」

「大丈夫? 春ちゃん」

ものすごい速さで空に向かっていく。

コケた春に、秋が手を差し延べた。

「さぁ、着きましたよ皆さん」

ちょうど城と同じ高さまで上がったところで、地面は上昇を止める。

動きが止まるのに合わせた四季。

手を広げて五本指で差したその先には、門を開いた洋館が。


──そこには絶景。

周りには花を咲かせた草木が生い茂り、洋館を色鮮やかに彩る。

いくつもの蔦が連なる様子を思わせる門の装飾は、上品さを醸し出している。

並べられた石像とその配置によって敷かれた一つの道は、幻想的な灯りと共に雰囲気を作り上げる。

──全てが絶景。


「「「「………………」」」」

誰もがしばし言葉を忘れ、その絶景に酔いしれた。

何よりの称賛だった。


「中のものには、勝手に触らないでくださいね。危ないのもあるんで」

先頭を歩く四季の後ろを、四人が少し離れて追う。

「確かに、色々あるな」

歩きながら、首を左右に振って秋が言う。

いくつもの扉。無数の窓。数え切れぬ柱の数。それらを眺めながら──。

それらの近くに山積みにされた機器に指を差す。

さらに奥へ進むと、広い空間に出た。

続く階段の前、シャンデリアの下で立ち止まり、秋が再度口にする。

「本当に色々あるな。あれとかなんだ?」

「あれは、瞬間移動の装置です。初期のものですね」

指差した方へ視線を送った四季。笑顔で答える。

「ねぇねぇーじゃああれはー」

「あれは、コピーロボットですね」

「へぇーそんなのもあるんだ」

今度は冬の方を向いて。同じように。

「それより、そろそろ着きますよ」

階段を上り、またも歩く。そして、暗がりの道に出た。

続く道には、数十ほどの不気味な像が。

よく見ると、セイレーンやケルベロス。ケートスやサイクロプス。ミノタウロスやキマイラ。といったギリシャ神話によく登場する怪物たちに似せた作りのものが多く存在している。

今にも動き出しそうなそれらの姿に、秋と四季以外の少女たちは、心拍数が上昇するのを感じた。


「ここです。この部屋でゲームをします」

他とは一線を画する扉の前。

沈黙が辺りを包んだ。生唾を呑む音すら聞こえるほどに。

──かと思うと、またしても秋が。

「ちょっとトイレ」

緊張感の欠片もない言葉で、静寂を切る。

「トイレは前の道を戻って、階段を下った右手です」

親切に説明をする四季と、珍しくちゃんと聞く秋。

説明に対して、頷いてから歩き出す。

前に進む秋が小さく振り返った時の、口元を見ていた三人。

言葉が、シンクロした。


「「「私も」」」

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