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プロローグ
人とは常に、運命というものが好きな生き物である。
即ち、天文学的確率。
即ち、時のイタズラ。
即ち、奇跡の扉。
即ち、偶然の産物。
即ち、運命の出会い。
そういった、必然より偶然を愛して止まない人類にとって、それら全ては憧れなのだ。
しかし、憧れとはつまり、現実からはかけ離れたものだということでもある。
考えてもみてほしい。
曲がり角を曲がったら食パンを咥えた女子高生とぶつかる。
図書館で本を取ろうとしたら、偶然同じ本を取ろうとした人と手が触れる。
不良に絡まれている女の子を助けたら、その子は自分の学校の転校生だった。しかも同じクラス。しかも隣の席。
そういったことが、現実に起きたことがあっただろうか。
普通の人なら、まず皆無だろう。
秋にとってもそんな経験はなかった。そう。たった一つを除いては。




