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私の竜はお腹が弱い  作者: チキンハート
1/10

臭い女

すみません、出来心で…。後悔はして…るようなしてないような。

初めて書いた小説で至らない所だらけだと思います。

読んでやろうという奇特な方に、少しでも楽しんで頂けたら幸いです。

私は今流行の転生を果たしたらしい。

どんな死に方だとか、自分が何者だったかなど、そんな事はあまり良く覚えていないが、ファンタジーが好きで読みあさっていた記憶はある。

ファンタジーと言えば、魔法、お城、人外の生き物、そして竜。


転生した世界は私の夢が詰まったような世界だった。

世界は電気ではなく魔法で動き、国の頂点には王が君臨する。

王国の守護の要は、竜を駆り、空を縦横無尽に翔る竜騎士達ーーー


私の今世での夢は3歳の誕生日、父に連れられて行った建国記念日のお祭りで決まった。

編隊を組み、見事な飛翔を見せる竜達。

光る鱗はどんな宝石よりも美しく、無宗教の私でも、神が創った言われたら信じてしまうかもしれないと思うほどに神秘的だった。

そして、彼らを駆る竜騎士達は物語の王子様よりずっとかっこ良かった。


私は絶対竜騎士になってみせるーーー



過去に戻れるなら言ってやりたい。


竜に憧れをもつのはやめろ。

竜に近づくのはやめろ。

竜とどうしても一緒にいたいなら、小型の愛玩種を父に買ってもらえ。


薄青く光る透明の防護膜に、少し粘度のある液体がびちゃりと音を立てて張り付く。

液体は次々と飛んできて、既に防護膜の中は見通せなくなっていた。

なにかを引きずる音と、ぐちゃぐちゃという嫌悪感をもよおす音があたりに響く。


そんな中、防護膜が内側からぬぐわれ一人の少女の顔が見えた。

「ゲホッッグホッ…だ、団長! 助けてください!」

顔は涙と鼻水と液体でぐちゃぐちゃになっており、肌の色すら良く分からない。


「もう無理です! 勘弁してください! 死んでしまいます!」


防護膜の外にいる妙齢の女性が優雅に首をかしげると、

艶やかな白金色の髪がさらりと肩から落ちる。


「あらあら、報告書に死因を何て書けば良いのかしら?」

ねえ、イザーク?と脇にいる青年に声をかける。


「は、ぶフッ糞死と言うのはいかがでしょうか」


イザークと呼ばれた青年は整った顔を歪めながら答えた。

笑いを堪えすぎているせいで、普段のイケメンっぷりが嘘のように顔面が崩壊している。


「あら、上手」


女性の柔らかそうな唇が弧を描く。


自分の契約竜の下痢まみれになった少女は、ぶつりと何かが切れる音を聞いた。

「フッざけんなぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」



私の名前はカノン・オルセット。

オルセット男爵家の6人兄弟の末っ子で17歳。

竜と契約して半年の新米竜騎士だ。


花も恥じらうお年頃ってやつである。

みんな私のあまりの美しさに恥じらっているのか、食堂に入ったとたん半径10メートル以内から人がいなくなった。

何人かは視線を縫い止められたように動きが止まっている。

はぁ、ごめんなさいね。私の美し…


「ねぇ、恐ろしい心の声が駄々漏れてるわよ」


後ろから聞き馴染みのある足音がすると、心底あきれたような声がかけられた。

同期で騎士学校からの友人、ハンナだ。


「…わかってやってんの!

こんな三文芝居でもしてなきゃ私のメンタルが持たないのよ!」


なんだかもうやるせなくなり額を食堂の壁に叩き付ける。

…爆音がして壁が崩れた。


「カノン…、食事は後で鍛錬場に運んであげるから。

取りあえずここから離れた方が良いわ…報告書も書いといてあげる」

「ありがとう! やっぱり持つべきものは友よね…」

「うんそうね。私もあなたの事、大事な友人だと思ってるわ。

だから取りあえず、後一週間は私の部屋には来ないわよね」

「確定なの!? ってハンナと私同室なんだけど!?」

「大丈夫。今のあなたはいるだけで虫と獣を殺せるわ」

「野宿しろと!?」

「そんなひどい事は言わないわ。

ちょっと早めのバカンスをとって、キャンプでもしたらって言いたかったのよ。

…あぁ、もう鼻がもげそう。近寄んないで」

「もげっ、 最後本音が漏れてる! 漏れてるよ!!」


涙で視界が歪んだ。

イザークの野郎に続きハンナにまで…。

それもこれも全てあのバカ竜のせいだ。


「うわあぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!」


私は泣きながら食堂を後にした。


ありがとうございましたー!

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