あの人の夢
夕食の準備をすると、クレシアは飛行艇内にある自室に向かった。
「姉上、おいでですか?」
自室で髪をといていると、ドアを開けて青髪に青い目の少女が入ってきた。
クレシアは、櫛を置いて少女の方を向いた。
「オリシア、会計お疲れ様」
少女はオリシア=イルーニアス。
クレシアの義妹で、実は今は滅んだアクアリスタ王国の第一王女だ。
「姉上、先ほどの件聞きましたよ」
「もうオリシアにまで話が回っていたの?」
くすり、とクレシアは笑った。
「姉上も年頃の女子なのですから、もうすこし女子らしくしてくださいませんと」
「まあ!オリシアまで!」
クレシアはふぅーっとため息をついた。
「姉上、一国の姫でもあるのですから…あ」
そこまで言って、オリシアは口をつぐんだ。
「……申し訳ありません、つい」
「いいのよ、事実なのだから」
クレシアはオリシアの頭を撫でた。
そして、窓の外を見つめた。
「ディディナスの王室を出て、はや8年」
クレシアはにこりと笑う。
あの時から、毎日見続ける夢。
あの人の………夢。
「クレシア、君は素敵だね」
ハッとして我に返る。
オリシアは不思議そうな顔をして私を見ている。
「姉上?」
「なんでもないわ」
オリシアは下がり、クレシアはベッドに座る。
「そうね……あれからもう8年なのね」
そう言いながら、クレシアは肩に手を置いた。
次の回からかなり大きく進みます!