独り立ちの章
出会いがあれば別れがある。
気にするな。
-1-
縁側に座り足をぶらぶらさせる。街灯が少ないので、あたりは真っ暗だ。夕飯を食べ終えぼんやりとしていた。
少し肌寒い、小川のせせらぎが聞こえる。
10年暮らした。泣き笑い、暮らした……。
祖父と過ごした日々
俺は一ヶ月後ここにいない。
もう1人の比奈に相談したら。
「その類の道を示す事はできない。なぜなら答えがないからな。どんな道であれ、正解だよ。君が決めろ」
「ま、愚痴なら聞くよ」
-2-
「佑磨。メロン!」
振り返るとじいちゃんがメロンを2切れお盆にのせてもっていた。俺の隣に座ると、無言で手渡す。
……。
果肉はよく熟れていて、スプーンですくうとそのエキスが溢れた。
……。
「ゆう君。おじいちゃんの事は考えなくていいんだよ……。私は、こうやって10年過ごせて満足したんだ」
「……」
「1人でもう生きて行けるだろ?」
「……」
「頑張りなさい」
「じいちゃん……」
「ん?」
「ありがとう」
「じいちゃんはね。必要以上に厳しくしてきた部分もある……ごめんね、イヤな思いさせたね」
「じいちゃん」
「長い休みが取れる時は、遊びに来ていいか?」
「もちろんだ」
「じいちゃん、元気で」
ああ、っと。つぶやきにっこり笑った。怖かった祖父が小さく見えた。
そろそろ終わりが近いようだな。小説で言えば後2話だ。
最後に一波乱あるか……どうかな。
無論『私』はわかっている。
大丈夫、ハッピーエンドだよ。そこからはじまったストーリーだ。
ありがとう。そろそろお別れだ。
しかし、気を抜くな。