表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/20

EP5 山川の浅き瀬にこそあだ波は立て

おはようございます!

瀬戸隆平です。

月曜の朝からお付き合いいただきありがとうございます!

今週もなんとか乗り切っていきましょう!


 4月6日、入学式の翌日。

 辻獅堂(しどう)が教室に入ると、2人の生徒をめぐり、騒ぎが起きていた。


 一人は椅子に座っている長身で紫の髪を逆立てた男。

 縦縞の黒スーツに派手な赤シャツを着ている。


 もう一人は飾り気のない短髪、ふっくらとした顔と体型の男子生徒。

 白のセーターにグレーの格子柄のスラックス。 

 机をはさみ、紫の髪の生徒の前に立ち、何かを一生懸命に訴えている。


 獅堂は紫の髪の男に見覚えがあった。

 昨日、電車でベビーカーを蹴り倒した白いスーツの男だ。

 駅員に捕まり、昨日の入学式には出られなかったのだろう。


 紫の髪の男は長い脚を投げ出すように組み、その右足の先端は机の角に乗っかっている。

 右手はスマホを握り、視線は画面を見たままだ。


 向かいに立つ生徒は無視され続けている。

 それでも彼は話しかける。

「あのさ、さっきも言ったけど、そこ、僕の席なんだよ」

 身長175㎝ほど、自然に微笑んでいるような一重の細い目、団子鼻。

 体型が丸みを帯びていることもあり優しい印象だ。

 大きめの声を上げても、威圧的な印象は与えない。

 

 ようやく紫の髪の男の目が上に動いた。

 目の前の男子生徒を睨みつけて言う。

「俺が座りたい席が、俺の席だ。おまえは空いてるところにでも座ってろ!」

 白セーターの生徒は微笑みの表情を変えない。

「わかったよ」

 と言って、こう続ける。

「僕の名前は小寺孝雄。これから、よろしく。君の名前は?」

「おまえに名乗る必要はない」

 そう言われても小寺の優しい表情は変わらない。

 彼は穏やかに、こう返す。

「わかったよ。でも本当は知っているんだ。君の名前。東大島鷹志くんだろ。東大島グループ会長の四男だよね」

 東大島は大きな舌打ちをした。

 そして言う。

「そうかもしれんな」

「じゃあ、よろしくね」

 小寺はゆっくりと去っていく。

 

 東大島は投げ出した足を乱暴に組み替えた。

 机に足先が当たり大きな音が教室に響く。

 教室の生徒たちが怯える。

 

 クラス中の注目を集める東大島の険しい顔。 

 しかしその表情は突然、だらしなくゆるんだ。

 東大島は立ち上がり、ゆっくりと左前方に歩き出す。

 そこには、ブロンド金髪の女子生徒が座っていた。

 青い大きな瞳、抜けるような色白の肌。


 東大島は彼女の目の前に立つと、

「君は留学生だね。どこの国?」

 彼女はちらりと東大島を見るが、すぐに目をそらしながら、

Russianロシア

 と答える。

 東大島は立て続けに聞く。

「名前は?」

 彼女は目も合わさずに、

「ソフィア・カーリン」

 と言い捨てる。

 それでも東大島は食い下がる。

「SNSの連絡先IDを交換しよう。日本の美味しい食事をご馳走するから」


 そこに、つかつかと黒髪の女子生徒が寄って来た。

 青のチャイナ風ニット服にタイトスカート。

 大きな声で言い放つ。

「教室でナンパするな。あんた、女の敵!」

 獅堂は、その顔にも見覚えがあった。

 そう、今朝、痴漢を駅員に突き出していた女性だ。

 アジア系で身長162㎝ほど。間違いない。

「なんだと! 邪魔すんじゃねえ!!」

 東大島が彼女を睨みつける。


 そのとき、教室のドアが開く音がした。

 担任の富樫由美だった。

「昨日、スキップしたオリエンテーションを始めますね。みなさん席についてください」


 東大島は大きな舌打ちをして、引き下がった。


 黒髪の女性は、去り際にソフィアに話しかけた。

「私も留学生。中国人で名前はメイチェン・シア。女の敵はやっつけるよ!」

 ソフィアは思わずメイチェンに抱きつく。

 メイチェンは優しくソフィアの頭をなでると、スマートに自分の席に戻る。

お読みいただきありがとうございます。

ご感想、ブックマーク、ご評価などいただけると、なおうれしいです。

次はお昼時くらいに投稿しますね!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ