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EP32 話は勝手に倍になる

お読みいただき、まことにありがとうございます。

 一人になった帰り道。

 辻獅堂(しどう)はスマホを取り出すと北本倫也に電話をかけた。

「頼みがあるんだ」

「なんだよ。金ならないぞ」

 相変わらず軽口を飛ばす倫也。

 それを意にも介さず無視する獅堂。

 倫也にこう続ける。

「また、女の子と噂話をして欲しいんだ」

 倫也が弾んだ声で答える。

「おう! それなら望むところだぞ!!」

「クラスの夏川美穂って知ってるな」

「ああ、おまえの恋人だろ」

「そんなわけないだろ! 人聞きの悪いこと言うな」

「ハハハ、冗談だよ。それで彼女がどうしたって?」

「次の退学者は夏川美穂だって噂を知ってるか?」

「ああ、成績は底辺で、頼みの陸上でケガしたからな。それって本当だろ。みんな言ってるぜ」

「ところが今や学校も認める優等生になったんだ」

「嘘だろ?」

「本当だよ。5月の小テストで学校平均点を上回ったんだ」

「だとしたら早稲田か慶応なら楽勝だな」

「ああ」

「でもなんであんなバカ女子が?」

「お前、口は災いのもと、っていう言葉、知ってるか?」

「悪い悪い、つい調子に乗った」

「まあいい。夏川美穂はリハビリ時期、練習できなくなったから猛勉強したらしい。これぞ”ケガの功名”ってやつだ」

「ハハハ、座布団一枚だな! ネタとして面白いよ」

「また三好和江ルートで広めてくれよ」

「よし、任された!」

 倫也はすぐに電話を切った。

 ちゃっかり和江のSNSアカウントをゲットしているのだろう。

 喜び勇んでネタを広めているに違いない。


 6月1日、5月の小テストの成績優秀者が掲示板に張り出された。

 1年生のほぼ全員が集まり、見守る。


 総合成績の上位20名は変わらず1組生徒が独占していた。

 しかしなぜか校内5位だった辻獅堂の名前はそこに反映されていない。

 4月のテスト成績も、同じく校内5位だがランキングに掲載はなかった。

 だがそれは獅堂にとって好都合だった。

 とにかく目立つのは不都合だ。 

 学校中に名前を知られたくなかった。

 なおかつ成績に応じた【SCORE】は、獅堂に点数通り与えられている。


 生徒たちからは、ざわめきが広がり始めていた。

 明らかに掲示板の内容に対する驚きの声だ。

 それは次第に場を巻き込む渦になって大きく広がっていく。

 

 生徒たちにインパクトを与えたのは6組メンバーの成績だ。

 これまでランキング圏外だった生徒の名前が次々に飛び込んで来たのだ。

 特に「科目別順位」は生徒たちにとってサプライズだった。

  

 数学A 第1位 石橋奈緒(6組) 100点

 国語現代の国語 第2位 白石久美(6組) 97点

 英語論理・表現Ⅰ 第3位 近藤亜紀(6組) 96点 

 社会 歴史総合 第4位 小寺孝雄(6組) 96点


 1年6組が教室を移動するのも、この日だった。

 クラスの平均【SCORE】は5組を大きく上回った。

 学園のランキングルールによって、序列が入れ替わったのだ。


 前の教室は緑の黒板にチョーク。

 机と椅子は昔ながらの木とスチール製だった。


 しかし今回の教室はホワイトボードにペン。

 映像投影のプロジェクターも付いている。

 机も椅子も高さが調節可能の新しい仕様、まるで最新オフィスだ。


 6組が大きな変革を起こしている。

 これは誰の目にも明らかになっていた。


 それと同時に注目され始めたのが夏川美穂だった。

 獅堂が倫也に流させた噂は学校中を巡った。

 退学を回避、いまや成績も急上昇中だと。


 同時にケガからも復活。

 グラウンドでのまぶしい肢体も男子生徒の間で話題になっていた。

 ピンクの髪にタンクトップにショートパンツの大胆なコスチューム。

 これが彼女の抜群のプロポーションを引き立てる。

 上向きにふくらむバスト、ヘソ出しの細いウェスト。

 輝くように白い肌も刺激的だ。

 まだジョギングレベルだが、インターハイに向けての躍動が始まっている。

 今や美穂は、学校のアイドルになり始めていた。


引き続きどうぞ、よろしくお願いいたします。

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