EP30 月に叢雲、花に風
こんにちは。
お読みいただき、まことにありがとうございます。
ロシア人留学生のソフィアはこのところ魅力を増していた。
もともとブロンドの金髪、透き通った白い肌、青い大きな瞳は人形のように美しかった。
それがこのところファッションも派手になっている。
今朝も彼女は、膝上たけのピンク色ワンピースで登校してきた。
なまめかしいスリムな太ももが大胆に露出している。
そして胸元も大胆な空き方だ。
豊かなバストの形が浮かび、くっきりと谷間も見える。
かなりの男の視線が釘付けになっている。
おまけにセクシーな香水の香りも漂わせていた。
入学当時はここまでではなかったはずだ。
辻獅堂はソフィアに寄っていく。
「おい、獅堂が行ったぞ」
周囲の男たちのささやきも聞こえてくる。
東大島も机に足を載せながら腕組みをして獅堂を睨みつけている。
教室中の視線が集まった。
ソフィアもようやく、獅堂の方を振り向いた。
しかしその顔は、愛想のかけらもなく無表情だ。
獅堂が言う。
「バ ポスレデリニ ヴェレミヤ ティ ヴィグリャディシュ オーチン セクシャイナ(V posledneye vremya ty vyglyadish' ochen' seksual'no 最近セクシーだな)」
「エトニ プラブダ(Eto nepravda そんなことない)」
ソフィアがぶっきらぼうに返す。
獅堂が言う。
「ノブッテラ スタジョーロニ ザバミ オホーチャティシャ イリューディ (No bud'te ostorozhny, za vami okhotyatsya i lyudi. でも男たちが君を狙っている。気を付けろ」
それを聞いてソフィアが表情を変えた。
獅堂を睨みつけ、投げるように言葉をぶつける。
「余計なお世話よ!」
日本語だった。ソフィアはさらに続ける。
「私の行動に口出ししないで! あなたの行動は、私に対するハラスメントよ!!」
激しい口調だ。
獅堂は黙って引き下がる。
翌日もソフィアは目を引くファッションに身を包んだ。
グレーのミニスカに黒のニーハイソックス。
白く艶めかしい太ももがあらわだ
そして黒のニットは彼女の豊かで生々しいバストラインを浮かび上がらせる。
学校に着くと彼女のシューズケースに封筒が入っていた。
ソフィアはそれに気づき、封筒を開ける。
〈16時に科学実験室で待っている。 辻獅堂〉
彼女の顔がぱっと輝く。
教室に入り、獅堂の顔を見つけた彼女は、
「Pozzhe(ポージェ 後でね)」
と弾んだ小さな声でつぶやいて、去っていく。
こちらを見ないものの、彼女の顔には珍しく微笑みが浮かんでいる。
獅堂は首をひねった。
放課後の科学実験室。
16時ぴったりに着いたソフィアが待っている。
すると荒々しくドアが開いた。
振り向くと、東大島が部屋に入って来た。
「pochemu?(ポチュム? なぜ?)」
ソフィアが目を見開いて、つぶやく。
東大島に続き黒づくめのフェイスマスクをつけた男が2人入って来る。
彼らが部屋に内カギをかけ、カーテンを閉めていく。
「これで準備完了だな」
東大島がニヤリと笑い、こう続ける。
「ここに来たのが辻獅堂じゃなくて残念だったな」
「騙したのね!」
「こうでもしないと、密室には来てもらえないと思ってね」
「あなた、こんなことして、恥ずかしくないの?」
「俺は欲しいものは何をしても手に入れる。ソフィアのことも力づくで落として、俺の女にしてみせる」
「死んでもあなたの女になんて、ならない!」
「それはどうかな?」
フェイスマスクの男が2人、ソフィアににじり寄る。
一人が彼女の両腕をつかみ、もう一人が何かを取り出した。
スタンガンだ。
ソフィアの太ももの裏に当てると、彼女は大きな悲鳴を上げた。
そのまま、ぐったりと肩を落とす。
「パーティの準備を始めるぞ!」
東大島は高らかに告げる。
また今日、お会いしましょう!




