EP24 好事、魔多し
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お読みいただきありがとうございます。
辻獅堂のスマホにSNSが着信していた。
相手は担任教師の富樫由美だ。
小テストの結果を速報で教えてくれるという。
待ち合わせは理科準備室。
部屋に入るなり、獅堂は由美に聞く。
「なぜ俺だけに教えてくれるんだ?」
由美は白のブラウスに紺色のミニスカート。
なまめかしい脚を見せつけるように組み替える。
「それね。確かにルール違反だけど、私はいつ辞めてもかまわないから、第一に優先するのが、やりたいようにやることなの」
そう言うと、由美はウィンクする。
〈小悪魔め!〉
心の中で獅堂はつぶやいて、由美を睨む。
すると彼女は、
「いま、先生の事、魅力的だと思ったでしょ」
と微笑む。
獅堂は真っ赤になる。
「辻君をからかうとおもしろ~い」
由美は無邪気に笑い、こう続けた。
「それと、もうひとつ。辻くんが、1年6組、ひいては1年全体のテスト成績の序列を変えてしまったんだなぁ~。結局なんだかんだ言って、いい仕事しちゃうんだね、辻くんって」
「そんなに変わったのか?」
「ええ。女子の首位が入れ替わっちゃったの」
「これまでトップだったのは緑川綾乃だな。誰が彼女を蹴落としたんだ?」
「石橋奈緒さん。学年でも20位。しかも数学の点数は100点満点。単独1位よ」
獅堂は絶句した。
科目別1位狙いではあったが、満点を叩き出すとは……。
由美が続ける。
「国語系では白石久美さんが97点で学年2位タイ。英語は近藤亜紀さんが96点で学年3位タイでした」
「想像以上に頑張ったな、みんな」
「そしてそして、辻くんお気に入りの美穂ちゃんは、なんと学年平均を5点超えた385点でした」
「それが一番よかったよ」
ようやく獅堂が笑顔を見せた。
「でもね…」
由美が獅堂の頬を撫でながら言う。
「いいことばかりじゃないでしょ。抜かれてしまった子もいる。上がった人、下がった人、いろんな気持ちの動きが生じるわ」
由美は、獅堂の太ももに手を置きながら、さらに続ける。
「獅堂くんは、それに向けてフォローしてあげてほしいの」
「だから俺は、人のために動くつもりはないって!」
「え~! やってくれたら、チューしてあげてもいいんだけどなぁ」
「いらねぇよ!!」
獅堂は真っ赤になって立ち上がり、理科準備室を抜け出した。
その日、授業が終わると、美穂は久しぶりに陸上部に顔を出すと言った。
「リハビリを兼ねて軽く体を動かすの」
「そうか、やっぱ夏川にはグラウンドが似合うな」
美穂はVサインしながら部活に向かう。
今日はセッションも組んでいない。
獅堂にとっては久しぶりの何もない放課後だ。
「あのね、辻くん…」
机に座る獅堂が声の方に振り返る。
見上げると、石橋奈緒が立っていた。
白いワンピース。
大胆に胸元が開き、豊かなバストのふくらみがクッキリ浮かび上がる。
甘い香水の香りが漂ってくる。
伏し目がちに彼女は、こう言う。
「話があるの。中庭まで付き合ってくれない?」
また夜、お会いしましょう!




