EP1 理想郷へのドア
はじめまして。
瀬戸隆平と申します。
今回は学園ものを書いてみました。
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よろしくお願いします。
日本で最高峰と言われる中高一貫校・東光学園。
100人以上が東大に現役合格、野球やサッカーのスーパースター候補が揃う。
文化人やアーティスト、芸能人も多数輩出している。
辻獅堂はその高等部に編入生として入学することができた。
辻獅堂の身長は168㎝で小柄、やせ型の体格だ。
シャープな顔立ち、髪色は濃い茶色。
長いまつ毛が瞳をミステリアスに彩っている。
4月5日、入学式。
東光学園の校舎は豪華ホテルのような7階建て。
門もヨーロッパ調の格式あるレンガ造りだ。
廊下も洒落た内装で、まるで映画の撮影セットのようだ。
入学式もまるでテーマパークのショー並みに派手な演出だった。
獅堂は期待を膨らまして、1年6組のドアを開ける。
だが、思わず足が止まった。
教室内は、獅堂が卒業した地元のオンボロ中学と全く変わりない。
古めかしい緑の黒板に、薄汚れた木作りの机と椅子。
ため息をつきながら、歩みを進める。
席は事前連絡で「36番」に指定されていた。
教室のいちばん後ろ、窓側だ。
生徒たちは皆、顔なじみと楽しそうに談笑している。
編入生の獅堂には知り合いが一人もいない。
孤独感に包まれる。
すると隣の席に誰かが来る気配がした。
獅堂は目を見開いた。
セミロングのピンクの髪。
今朝、同じ通学電車の中にいた子だった。
スーツも同じピンク色だ。
ミニスカから白くしなやかな脚が伸びている。
身長は160㎝に少し足りない感じ。
色白の肌、大きな瞳。
見覚えがあったのは、彼女が人助けをしたからだ。
乱暴な男が電車内でベビーカーを蹴り倒した。
泣き叫ぶ赤ちゃん、青ざめる母親。
とっさに子供を抱き上げ、ベビーカーを起こしたのが彼女だった。
獅堂は彼女に話しかけた。
「あの…」
しかし彼女は全く気づく気配はない。
うまくいかない。
獅堂は、やけっぱちで、
「ちょっと、いいですか?」
と大きめの声をかけた。
ピンク髪の女生徒の肩が動いた。
ようやく気付いたようだ。
だがその顔…。
眉をひそめながら、こちらに刺すような視線を向ける。
獅堂は思わず、のけぞる。
彼女がようやく口を開いた。
「何?」
ぶっきらぼうな口調。
「あ、あのさ…」
獅堂は口ごもる。
「言いたいことがあるなら、早く言いなさいよ」
彼女が睨む。
獅堂は腹を決めた。
「俺、この学校で知り合いがいなくて…」
彼女は微動さえせず、腕組みをして、獅堂を睨んでいる。
獅堂は自分を奮い立たせる。
そしてこう言葉を続ける。
「だから誰かに話しかけて、知り合いを作らなきゃ、って思って…」
「ふうん…」
彼女は、つまらなそうに言って、そっぽを向く。
そして目も合わせずに、こう言う。
「あなた、もしかして編入生?」
「ああ。名前は辻獅堂」
「じゃあ辻くんは、この席順が成績順に並べられてるのも知らないのね」
「えっ!?」
だらしなく口を開ける獅堂。
彼女が続ける。
「そう。あなたが学校の最下位で、私がそこから2番目」
獅堂は頭を抱える。
彼女がさらに続ける。
「教室もそう。6組は最底辺で、教室の設備も待遇も最悪。1組は最新鋭で至り尽くせりの生活よ」
獅堂は天を仰ぎ、大きなため息をつく。
「えげつないなぁ…」
思わず声を漏らした。
「私は夏川美穂。私と友達になりたいなら、期待には沿えない」
「なぜ?」
獅堂が聞く。
美穂が目を伏せて言う。
「私は男の人が大嫌いなの。もう、私には関わらないで」
その二週間後――。
4月20日。
獅堂は突然、正体不明の手紙に呼び出された。
〈第三体育館 11時〉
靴箱に入っていたのは場所と時間だけが記された紙切れ。
最新設備が整い外観も美しい東光学園。
その中で異質で陰鬱な雰囲気をかもしだすのが、この第三体育館だ。
昼でも薄暗く、空気もジメジメしている。
その入り口で辻獅堂は立ち止まる。
茶色の髪をかきあげる。
ふうっと大きく息を吐き、物憂げな表情を浮かべる。。
第三体育館は扉まで古臭い。
灰色の大きな両開きのドア。
それを力任せに押し開ける。
ギイーッと大きな音がきしむ。
薄暗い室内。
すぐさま、奥の方から足音が響いてきた。
複数の人影が走り寄って来る。
あっという間に5人の男に囲まれた。
獅堂は暗い中で目をこらす。
男たちは全身黒ずくめ。
フェイスマスクからは目と口だけを出している。
全員が180センチ前後、がっしりとした屈強な体格だ。
それに対して獅堂は170㎝にも満たない小柄。
体格差は歴然だ。
男の一人が、怪物のような体型を揺らしながら、にじり寄る。
そして野太い声で言う。
「聞きたいのは夏川美穂のことだ」
獅堂は聞き返す。
「夏川?」
ピンク髪の隣の女の子だ。
「ああ、夏川美穂だ」
男が言う。
「彼女がどうかしたのか?」
「退学になるはずだった。だが誰かがそれを救った。おまえの仕業だろう!」
獅堂が言う。
「夏川を罠にハメようとしたのは、あんたたちか?」
男が言う。
「夏川美穂は、この学校にいてはいけないんだよ」
獅堂は腰に両手を当て、大きな息を吐く。
そして、言う。
「気に入らねえな。なぜ彼女を追いだそうとする?」
男は怒鳴る。
「おまえ、ヤバいことに首を突っ込んでるのが、わかってねぇのか!?」
そして両手で獅堂の胸ぐらをつかむ。
「夏川美穂を誘惑しただろ! なぜ彼女が、お前に惚れているんだ?」
「それは誤解だ」
獅堂はすぐさま否定する。
しかし男は、
「この一週間、べったり一緒にいたのはわかっているんだ」
と獅堂の胸元を吊るし上げるように絞る。
そして怒鳴る。
「辻獅堂、お前は何者なんだ? 何がしたいんだ?」
だが獅堂は問いかけを完全に無視する。
男は完全にキレた。
「てめえのようなモヤシ男は、ゴミなんだよ! くたばりやがれ!!」
男の筋骨たくましい体が、獅堂の顔面めがけて、ストレートパンチの態勢に入った――。
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本日夕方くらいに第2話をアップ予定です。
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