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2、3人目 小曽根亜由加、丹羽宗祐

「よーし、始めるよー!」

「勝ったのが……丹羽くんと小曽根さんだね」

「ちょっと、私の名前勝手に言わないで」と小曽根が怒った。

使わないとどう説明すればいいのか分からなくなるじゃん、と心の中でツッコミを入れた。

「まあまあ。それで、今日は何をするかと言うと……」

二人はごくりと唾を飲み込む。

「二人でデートをしてもらいます!」

そうそう。私はこれが見たかったんだ。

実はこの二人、とても仲が悪い。小曽根は丹羽の事が嫌いで、丹羽は小曽根の事が苦手である。

このカップリング最高だなあ、と感じる。

「は?」と思わず二人は顔を見合わせる。

「場所は自由。制限時間は特に無い。上の人にも言ってあるけど帰ってこなくても大丈夫!」

「あ、ちなみに私はずっと監視してるからね。制限時間が無いからと言ってすぐに帰るのも無しだよ」

「じゃあ、いってらっしゃいー!」と元気よく私は手を振った。

「はあ」とため息を吐きながら二人は教室を後にした。


「帰ってもいい?」と小曽根はため息混じりに言う。

「あいつに見られてるけど?」

小曽根は、はあ。めんどくせえな。と呟き「でもあいつだよ? 雑魚じゃね?」と余裕そうな顔をして言う。

丹羽は「今の会話、聞かれてるかも」と小曽根の耳元で囁いた。

「ちょっと、近すぎ!」と小曽根は怒りをあらわにした。

「……ごめん」

丹羽は普通に謝っているが、心の中では注意しただけなのに。耳元で囁いただけで怒るなよ、めんどくさいな、と思っているだろう。

「もう近づかないで!」

「はいはい」

 こんなの見せつけられて満足するか。私はそう思い、少し二人をイジろうと決めた。

二人と言っても小曽根だけ。丹羽は何もしていないから今回は見逃そう。

小曽根は金重の逆で、かっこいい人が大好きだ。

その習性を活かしてイジる。

 まず、どうにかして小曽根を転ばせる。

顔を上げると私の父がいる。「大丈夫?」と手を出す。

私の父はかっこいい。しかも小曽根のタイプだ。

……という感じで。

私はすぐさま父に「かー。かー。白原(しらばる)通りお願い。白原音楽ホールがある場所。小曽根って分かる? そいつが転んだらこうして……」と伝えた。

私の耳にはイヤホンがある。それで家族と会話している。

ちなみに“かー”はカラスではなく、父の名前だ。父の下の名前は和之と言う。

だから略して“かー”と言っている。日常生活では使わないが。

「小曽根ね。り」と父も返す。


「ねえ。もう帰ろうよ」

まだ一時間も経っていない。

丹羽は何回この台詞を聞いたのだろう。

「ふあー。眠い」小曽根はあくびをしながら上を向く。

「うおっ!」

ずどん! と大きな音を立てて小曽根は転んだ。

丁度石があった。

「大丈夫ですか?」と優しそうな大きな手を小曽根の方へ伸ばした。

「ありがとう……ございます」

小曽根は顔を上げた。

そこにはタイプの男性がいた。

──父だ。

「良かった。カフェ、行かない?」

どうやって誘えばいいのか分からず、急に言ってしまったのだろう。

だが、小曽根は不思議に思わなかった。いや、タイプの人に出会えて嬉しく思っている。

「いいんですか⁈」

「大丈夫?」と小声で丹羽は心配するが小曽根は無視した。

「じゃあ、行こう」

三人は歩いて行った。

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