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ドラゴンが暴れているだとう!?

修正:フィオラ → フィリオラ 


「と、とりあえず・・・私がそのドラゴンだけど・・・」

「人化するその原理は?」


フィリオラが最後まで言い切る前に間髪入れず質問を被せる。

もうすでにフィリオラは諦めたかのようにため息を付いた後、口を開いた。


「原理・・・原理かあ・・・。幻術魔法の人化は実際には人間としてそう見せているだけで実際は完全に人間化しているわけじゃないの。うーん、簡易的に説明すると、ドラゴンとしての姿に見える様々な要因を人型に変えて見せているの。実際に人型になっているわけじゃないのよ。」

「・・・なるほど。人間として見えているってだけで、実際はドラゴンとしての姿のままと?でもそうなるとその巨体の持つ重量や巨体故にこの大きさの家に収まり切らないはずなのに何不自由なく動ける理由は?」

「ドラゴンとしての姿形を模っている要素を人型へ魔法で圧縮して詰め込んでいるから、実際には見えないけど翼や尻尾はそのままで物理的接触はなくなっているの。でもね、薄く見えない程度に魔力を両翼に展開することで人の姿のまま飛ぶことだってできるし、炎を吐く器官を同じように魔力を展開すれば、火だって吐くことができるんだからね。あと、重量は重力魔法を使って、自分の身体全体を包んで軽くしているからどんだけ走り回っても家が壊れたりすることはないわ。」


すんごいドヤ顔で話しているけど、魔法とは本当に色々と便利なもんなんだな・・・。

結構物理法則を無視したこともできるみたいだし、結構無茶なこともできるっぽいな・・・。


「でも欠点とすれば、この姿を維持するにも魔力を消費し続けるから、大きければ大きいほど、人型を維持する魔力の消費量も増えるから、私たちみたいな存在には結構不向きな魔法なのよね。」

「体の大きさと消費魔力の比例ってことか。でもフィリオラさんは・・・」

「私のことはフィリオラでいいわ。」

「・・・なら僕のこともヨスミでいい。」


フィリオラは軽く微笑み、”話はご飯を食べながらにしましょう!”と言い残して部屋を出ていった。

夜澄は用意された民族衣装のような黒い和服を着ると、ふと鏡が目に入る。


全身鏡に映った自分を、ここで初めて自らの姿を目にすることができた。


神に要望した通り、大体20歳ぐらいの若かりし頃の自分。

細身の身長に平均的についた筋肉、黒色の短髪にきりっとした目、ある程度整った顔立ちに、真紅に染まった瞳・・・。


・・・ん?

あれ、僕はアルビノじゃなかったと思うが・・・。それに僕は純日本人だから茶色か黒色のはずなんだけど、紅い瞳とは・・・。


あの時に神に見せられた自分の姿はちゃんと黒色だったはずなんだけど・・・。

それにこの瞳、よく見るとうっすらと何かしらの陣のような模様が刻まれてるように見える・・・けど、見えにくい・・・。


これぐらいなら至近距離で目を凝らすことで見えるレベルだし、誰かにはっきりと見られる心配はなさそうだ。

まあ、フィリオラのように竜眼のようにドラゴンの部位が反映されてないだけましか。


自らがドラゴンになることは僕にとって解釈違いであり、最大のタブーであるのだ・・・!!!


一通りの身支度を終え、部屋を出て階段を降りて匂いを頼りに食堂へと足を運ぶ。

この匂いはとても懐かしいような感じがする。


そういえば、きちんとした食事なんていつぶりだろうか。

前世では、優里がいなくなってからは食べる事に関心はなくなって、エネルギーさえ接種できればと栄養食しか食べなくなった。


アナスタシアたちを生み出した後も、その習慣が身について自らの食事よりもアナスタシアたちを優先していたから結局死ぬその時まで同じ栄養食のみだったな・・・。


「ちょうどいい時に来たわね。ささ、座って。」

「・・・ああ。ありがとう。それじゃあいただきます。」


目の前にはパンと焼かれた肉、野菜が煮込まれたスープ・・・。

だがそれぞれの味付けはどうも僕の知っている調味料で料理されているようだ。


「・・・美味いな。とても懐かしい味だ。」

「そう?よかった!」


醤油や味噌・・・。とても似ているが、若干違う味付け。

日本食を数十年ぶりに食べたからか、久々のまともな食事はとても身に染みる。


だからこんなに懐かしさを感じるのか。

もし叶うなら、もう一度優里が作ってくれた肉じゃがが食べたいな・・・。


「それで、フィリオラはその状態を維持し続けているけど、それはつまりあんたの持つ魔力量は他の生物に比べてはるかに高いってことだよね。」

「もぐもぐ~、うむ!これでも私はみんなに竜母って呼ばれてるからね!」

「りゅう、ぼ・・・?母・・・、竜たちの母ってこと?」

「もぐもぐ、ごっくん。そうだよ~。まあ実際にその子らを生んでいるわけじゃないけどね。要はむっちゃ長生きしてて、他の子らを可愛がっていたらみんなからそう呼ばれるようになったってだけだよ。はむっ、もぐもぐ」


ドラゴンの平均寿命は一体どれほどだろうか。


竜母というのは長く生き続けただけのドラゴンに差すような言葉ではないとはないが、それに合わせて他のドラゴンたちを可愛がることによって逆にドラゴンたちから好かれるようになることで、そう呼ばれること、称号を得たってことになるのか?


じゃあ長く生き続けたドラゴンたちは、あのゲームの言葉を借りて古龍(エルダードラゴン)種ってところだろうか。それとも違う呼び方があるだろうが、あまり情報がない今はそう仮定としよう。


「ちなみにフィリオラの正式名って何て言うんだ?」

「え?そういえば名前だけだったね! 私は・・・」


―バターンッ!


「竜母様!!」


と、名前を聞こうとした時、玄関扉が勢い良く開かれ、農夫のような細身の男が息を切らしながら家の中に入ってきた。

その様子はとても焦っている感じで、ずっと走り続けてきたためか、全身から汗を流しており、恐怖で満ちた表情を浮かべていた。


「ど、どうしたの?一体何があったの?!」

「はあ、はあ・・・わ、私たちの村にゴブリンたちの襲撃がありまして・・・!!」

「ゴブリンたちが、一体なぜ・・・?確か冒険者たちが村に来ていたはずだけど・・・」

「そ、それが・・・その数が圧倒的に多く、冒険者たちでも対処しきれなくて・・・」

「それほどの数のゴブリンたちによる襲撃・・・これは、ただの襲撃じゃないはず。」

「竜母様!大変だあ!」


もう一人の農夫が息を切らしながら飛び込んできた。


「今度はどうしたの!?」

「ゴブリン共が現れた方向、その後方でドラゴンが暴れて」

「ドラゴンが暴れてるだとう!?」


彼の言葉を遮るように夜澄が興奮しながら叫ぶように言い放つ。


「なんでそこだけ興奮して叫んでるのよ・・・。」


先ほどの緊張感とは打って変わり、フィリオラ深くため息をつきながら頭を抱えた。


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