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ここが僕のエルドラド・・・!!



―――ふむ・・・、ドラゴンの住まう世界とな。


「ああ。僕の生きてきた世界ではいなかった。故に人生のほとんどを消費してドラゴンを生み出し、この絶望を乗り越えることができた。だが、共に居れた時間はほんのわずかしかなかったからね。次にまた生まれ変わった先の世界にドラゴンがいないと成れば、きっと更なる絶望を味わうことになるだろう・・・。」


―――生まれ変わることは確定しているんじゃな。


「だからこそ、僕の願いはただ一つだけなんだ。これは無理な願いだろうか?」



軽い笑い声をあげ、顎髭を優しく撫でながら杖をそっとこちらの方に向けてくる。



―――ふむ、そうじゃな。生まれ変わらせること、またその先にお主の希望となる世界にすることも可能じゃ。じゃが、それだけじゃとまだまだお釣りとしてたんまりじゃ。もっと他に何かないのか? ほら、先にお主が申していた特殊な能力を持たせたりすることも可能じゃぞ?


「いらない。僕の願いが叶うのなら、その先は・・・。いや・・・、そうだな。」


―――お、なんじゃ。申してみよ。



自らを神と自称するならば・・・、僕の、心の奥に眠るもう一つの、僕の願い…



「・・・優里と、また出会いたい。」


―――ほう、お主の妻のことか? そうじゃな・・・。



先ほどとは打って変わって、低く呻りながら何かしら考え込むような仕草を取っている。

その時、一抹の不安が脳裏を過り、それを裏付けるように神から告げられる。



―――すまぬ、それは無理じゃ。


「・・・やはりそうだよな。死んでしまった人間をどうこうするのは神でさえ無理なんだな。」


―――え?あ、いや、ちが


「いや、もういいんだ。これ以上辛い思いはしたくない。」


―――いやだからそうじゃ


「たとえ神であろうと無理を言ってすまなかったね・・・」


―――・・・はあ、もういいわい。



老人は頭を抱え、深くため息を付く。


神でも万能ではないということなんだね。

あんな風に出来ないことを嘆いているほどだもんな・・・。

死という存在は、神であっても手出しができない絶対的な力、ということなのだろうな。



―――ともかく、他には何かないのかの?


「・・・なら、別にいいかな。」


―――本当によいのか? 例えばお主の愛するドラゴンの言葉がわかる自動翻訳能力とか。


「そんなことをしたら、ドラゴンを理解する時間が少なくなるじゃないか。」


―――う、うむ・・・。なら、ドラゴンと共に居るならより強き身体であれば簡単に死ぬことなく・・・


「それじゃあどんな攻撃が来て、どれほどのダメージなのか体感できないじゃないか!」


―――ドM気質か!! ぬう・・・ならば、強力な魔法を扱えるようになるというのはどうじゃ?


「もし万が一その魔法でドラゴンを傷つけてしまったらどうするつもりだ!!」


―――ああ、もう!ならば無限に魔法を行使できうるほどの魔力持ちならどうじゃ!


「魔力に弱いドラゴンがいて、僕の魔力にあてられて死んだらどうするんだ!!!」


―――んなわけあるか!!ならば自らドラゴンになれる特殊能力なんかどうじゃ!!!お主はドラゴンが好きなのじゃろう!? ならばこれほど素晴らしい能力は他にないと思うが!?!?


「自分がドラゴンになれるとか、んなもん解釈違いだヴァカがあ!!!!!」


―――今わしの事馬鹿っていったな!? 先に馬鹿って言った方が馬鹿なんじゃこのヴァカがあ!!!!!!!!



息を切らしながら互いに叫び合い、その後老人はすぐに頭を抱えて蹲った。

深くため息を付いた後、額に流れる汗をぬぐった後、息を整えて杖で地面を叩く。



―――ったく本当にお主、めんどくさい奴じゃのう・・・。


「最初から言ってるでしょう・・・、僕はドラゴンが住まう世界に生まれ変われるなら他に何も要らないって。」


―――そうはいってものう。最初からお主の願いを聞かずとも、ドラゴンたちだけじゃなく、様々な幻想体が住まうようになった世界に生まれ変わる事は決まっておってのう。よって、お主の願い事は残ったままなんじゃよ。


「ふーむ、そうは言っても・・・。」



ふと考えてみた。

チート能力・・・、チート能力か。


そういえば、優里の読んでいた小説の中で得ていた主人公たちの色々な能力。

カンストステータスやら最強の魔法使いやら、初手から伝説の装備レジェンダリーウェポンを装備してスタートやら。


正直、どれも興味もないし、ドラゴンと触れ合い、共に過ごせれば・・・ん?

いや、あの能力があれば・・・!!



「・・・なら、1ついいかな?」


―――うむ!決まったのか?言ってみよ!


「ドラゴンの傷を自分へ移す様な能力はできる?」


―――・・・なんのために?


「それはもちろん、よりドラゴンを理解するためだよ。この能力があれば、よりドラゴンへの理解度が高められ、更にはドラゴンを救う力となるはずだ。」


―――お主、本当にわかっておるのか?その能力を使うと確実に死ぬぞ?


「・・・ああ、ごめんごめん。伝え方が悪かったね。実際に欲しい能力は*******」


―――・・・ふむ、なるほどのう。わかった。何に使うのか、どういったものをイメージしているのか理解した。全く、さすが狂人の考える能力の運用方法よのう・・・。



どうやら僕の脳裏を読まれたみたいだ。

それを使って何をするのか、僕がどう扱おうとしているのか。


僕の知りうる限りでは、今から授かろうとしている能力が今まで読んできた中では一番マシで、強力なモノだと自負している。


扱い方次第であらゆるものに転用でき、あらゆるものに通ずる。

どんな魔法だろうと攻撃だろうと無意味に等しくなるし、物量で来られても余裕で対処できる。



―――これでよしじゃの。能力は無事授けた。正直、この能力は色々な制限や制約が掛かるところじゃが、お主の考えるそれを実現するのであれば、お主の偉業を全て注ぎ込み、限りなく0に近い状態にしておいた。


「それはありがたい。さて、僕は他に何かあるかな?」


―――うむ。もう一つだけ選べるモノがある。赤ん坊として生まれ変わる転生、自らのアバターを生成して転移するか。まあ主にとっては後者を選ぶとは思うが、一応の。


「転移の方ってこと?とりあえずそれぞれのメリット、デメリットについては教えてくれるかな?」


―――転生をする場合、新たなる生を受ける故、前世の記憶は全て消えるが、成長する際の伸びしろは大きいモノになる。また始まりとして貴族以上の階級を持つ親からのスタートを望めるため、今後の人生において大いに自分の味方を作っていく際に有利なものになるじゃろう。そして転移は前世の記憶を持ってのスタートを切ることができるが、自らの成長の伸びしろは見込めないじゃろう。そしてお主の味方は誰一人として・・・


「転移でお願いするよ」


―――おらぬ状態で・・・って、はあ。まあ、そうじゃろうと思ったよ。


「僕に味方なんて必要ない。理解してくれる人は優里がいただけで十分だ。それに僕はドラゴンさえ愛でる事が出来るならそれ以上は要らないし、なんなら人間との交流は必要ないよ。あんな醜い欲望の塊でしかない肉の塊どもに興味なんてないよ。」


―――おお、怖い怖い。まあお主がそれでよいなら転移で進めるぞ。何か希望とかはあるかの?


「んー・・・、肉体は若い方が動きやすいし。男性で18~20歳の健康体でお願いします。」


―――うむ、見た目等には何か要望はあるかの?


「そこまで決められるのか。うーん、別にないけど・・・。そうだね、ならその年齢の頃の僕の見た目でお願いするよ。これでも多少なりとも身なりには自信があったし、不自由はなかったからね。」


―――ふぉっふぉっふぉっ、よいよい。元があるならすぐに用意できるぞ。



目の前にかつての自分が素っ裸で作り出された。


なんとも妙な気分だ。

こんな形であの頃の自分をこうしてみることになろうとは・・・。

ん?なんだ、何か自分の体に引っ張られるような感覚があ、ああああああああ?!



―――これで終わりじゃ。次に目を覚ました時は、新たな世界でお主の夢にまで見た光景が広がっておるじゃろう。さあ、第二の・・・人生を・・む・・・!



最期の言葉まで聞き取る前に全てが暗転し、意識を失った。





ギャオオオオオン・・・!!


何かが聞こえる。動物でも人でもない気高い咆哮・・・。

頬を過ぎる風に起こされ、ゆっくりと思い瞼を・・・いや、そんなテンプレのような目覚めなんてどうでもいい!


この声は、この咆哮は・・・!

ぱっと勢いよく目を開け、急いで身体を起こして辺りを見回す。


胸が高鳴り、昂る鼓動を抑えきれず、目をカッと見開いた。


そこには優雅に空を飛ぶ、翼竜のような書物やゲームで見慣れた幻想体がいくつもの群れを成して飛んでいた。


「ああ・・・、あああああ・・・!ここが、こここそが・・・!!僕の、理想郷(エル・ドラド)・・・!!!!!!」



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