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冒険者ギルドへ

アンヌ → ライヌ


あれから事態は急速に終焉を迎え、グスタフ公爵が率いる神官と魔術師によって球体に入っていた亀裂は修復された。

またこの混乱に生じて暴れ出した魔物や蛮族などの鎮静化に努め、二次被害は起こらなかった。


フィリオラはハクアと共にそのまま宿屋に戻ってベッドで休み、アリスと黒虎は未だに詳しい事情を聴けていないが、フィリオラの口添えもあって今は来賓用の施設内で休養している。


大きく荒れてしまった黒い球体周辺の森はグスタフ公爵の指揮のもと、村人たちと騎士団で復興作業をしていた。


「あの、ヨスミ様・・・?」

「どう致しました?レイラ公女様?」


そしてヨスミはレイラ公女と共に村の中を散策していた。


「あの、良ければ私のことは・・・その、レイラ、と・・・お呼びくださいな!」

「で、ですが・・・」

「そ、それと・・・け、敬語もいりませんので!」


・・・いいのかな?

相手は公爵家令嬢なのに、敬称も敬語もいらないって・・・。


「・・・わかった。じゃあレイラ、でいいかな?」

「・・・っ! はい!ヨスミ様!それじゃあヨスミ様、一緒に冒険者ギルドへ行きましょう!」

「そうだね。それじゃあ案内よろしくね!」


それからレイラと色んな所に回りつつ、目的の冒険者ギルドに到着する。


「ヨスミ様、ここが冒険者ギルドですわ。それじゃあさっそく中に入りましょう!」

「ああ、行こうか。」


昨日の深夜に一度訪れてからじっくりと見回っていなかった故、改めて内装を見てみると、中々に広々としている。

大きな受付、右手に見えるランク分けされた依頼書が張られている看板、左手には複数人が座れそうな椅子や机が多数並べられている。


左側には2階に続く階段があり、上ってすぐにラウンジがあり、その奥に部屋が幾つか見える。


昨日のような人混みがごった返したような状況とは打って変わり、冒険者は誰一人としていなかった。


「他の冒険者も職員も殆どいらっしゃらないみたいですわね・・・。」

「まだ昨日の対応に追われているんだろう。死傷者は少なからず出たとはいえ、あの戦いに参加した者のほとんどが負傷者となったからね。レイラのお父様、グスタフ公爵閣下様によって昨日の内に二次災害を防ぐために周辺の魔物や山賊たちを制圧したとはいえ、何が起きるか分からないから、動ける冒険者たちは外に出て警戒を続けてくれているって話だし。」

「それなら仕方ありませんわね・・・。」


今現在、グスタフ公爵とギルドマスターは上の階で今後について色々と会議しているそうだ。

レイラ公女に案内され、受付までやってくると、僕たちの姿に気付いた受付嬢が部屋の奥から慌ててやってきた。


「冒険者ギルドへようこそ~!すみませ~ん!今ちょっと立て込んでおりまして・・・って、レイラ公女様じゃないですか!」

「こんばんわ、ライヌ。今日はちょっとお願い事があってきましたの!」

「お願い事・・・といいますと、そこにいらっしゃる方の冒険者登録についてですね?」

「ああ、冒険者登録とその他の説明を御願いしたい。」

「わかりました。まずはこちらをどうぞ。」


そういって渡されたのは何の色も持たないただの加工された水晶と針のような道具だった。


「その水晶に自分の血を一滴ほど垂らしてください。」


説明を受けた通り、針のような物で自分の親指を差し、血を滲ませた後に渡された水晶へと触れて血を馴染ませる。

すると、無色透明だった水晶の色は白く染まった。


「はい、有難うございます。ではこちらにその白水晶で色々と記入してもらいます。」


そういって受付嬢は一冊の分厚い本を持ってくると中を開き、魔法陣が掛かれているページを出すとそっと魔法陣へ魔力を込める。

すると魔力で作られたかのような、いわゆるメッセージウィンドウのようなモノが出現した。


そこには氏名、年齢、性別、出身地、生年月日などの一般的な個人情報の記入項目があった。


「すまないが、僕は字を書くことができないのだが・・・」

「そこは問題ありません。各項目欄にそこに書こうとしている内容を思い浮かべて白結晶を合わせれば自動的に記入されます。例えば、氏名欄に白結晶をかざしながら、自分の名前を思い浮かべると自動的に書かれるという具合です。」

「なるほど、なかなか便利だな。」


先ほどの説明の通り、各項目欄に該当する内容を思い浮かべ、サクッと記入を終えた。

全て書き終えると、静かに発光しながら霧散した。


「はい、これで冒険者登録は出来ました。ではそのシステムについての説明ですね。」

「よろしく頼む。」





まず、この結晶について。

冒険者はS~Gランクに分けられており、そのランクごとにクリスタルは色分けされている。

S = レッド:赤 A = ゴールド:黄金 B = オレンジ:橙 C = パープル:紫 D = ブルー:青 E = グリーン:緑 F = グレー:灰 G = ホワイト:白 に分けられており、冒険者登録をした新人冒険者は例外なくGランクの白結晶からスタートする。


また各ランクは発注できる依頼のランク制限があり、自分よりランクが上の場合はなし。同じランクはあり、自分よりも下のランクは2個下までとなっております。


Bランク冒険者がE以降の依頼を受けたい場合は必ず他のPTに依頼難度と同じランクの冒険者を2名以上いれることが原則です。


ランクアップは自分と同じ同ランクの依頼を複数こなすことで、その水晶が徐々に光を帯び始めます。

その白水晶が全て光るとランクアップするための条件が満たされるのでその際はぜひとも受付の方で申し出てください。


次に冒険者登録の剥奪について。

冒険者同士での殺傷行為は問答無用で剥奪されます。また殺人や誘拐、詐欺などの悪事に加担していたことが判明されればそれも問答無用で剥奪されます。

また、冒険者としての無活動が3か月を迎えると同じように剥奪されます。残り1か月を過ぎたあたりで結晶が点滅し始めますので、注意してください。





「以上が説明となります。」


よく見る説明となんら変わりないか。


「なら幾つか。例えば、依頼書に書かれた討伐数以上こなした場合は?」

「原則的に超えた分だけ報酬は上乗せいたしますが、それでも限度がありますのでご注意ください」

「では次に、依頼の失敗はどういう扱いになるんだ?」

「違約金を支払っていただきます。また依頼失敗を次のランクアップまでに5回してしまいますとランクダウンとなり、Gランクで失敗し続けると剥奪されます。Sランクは0回、Aは1回、Bは2回、Cは3回、Dは4回、そしてE以降は5回となっています。」

「低ランクで、高ランクの魔物を討伐した際は?」

「原則的に何も問題ありませんが、報酬は一切出ません。また、他の冒険者が受けた依頼を受けていない冒険者が横取りすると互いに失敗扱いとなりますので注意してください。」

「なるほど、横取りしてもされても結局同じペナルティを課されるのか。ただそうなるとAランクのが横取りされてペナルティを喰らうとなるとかなり不条理だとは思うが・・・」

「Aランクほどの実力を持つ冒険者なら、その依頼難易度は跳ね上がっており、そう簡単に横取りされにくいことと、横取りされるならAランク冒険者としてはそこまでの実力ってことになります。」


そこまでの実力も求められてのAランクということか。

それに低ランクのまま、AやBランクの魔物を討伐しても何もないってことはうまみが無いし、そもそも低ランク帯が高ランク帯の魔物を討伐する事態なんてそもそもないか。


「なるほど・・・。なら最後に、高ランク帯の冒険者による貴族等のしがらみはあるのか?」

「・・・否定は致しません。」

「・・・そうか、質問は異常だ。ありがとう。」

「いえいえ、ここまで熱心に聞いてくる方は初めてでしたので吃驚しました。これからもどうか気を付けて冒険者ライフを。」



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