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凄く不便そうですね・・・

ごめんなさい、ユリアの名前を完全に間違えていました・・・。

正しくは【ユリア】です。ユーリアじゃありません。

デモンズソウルに出てくる僕の推しキャラの1人じゃありませんです!

ということで、新章に突入してから2人の視点で描かれたepを読み返して全部修正・・・できたと思います・・・すいませんでした!


「かくゴを、キメよ・・・!!」

「殿下ぁー!!」


無慈悲に放たれた光線は正確にユトシスの額を捉えていた。


はっ、覚悟ってなんだ・・・。

死ぬ覚悟とでもいうのか?


そんなもの、ユリア嬢に惚れてしまった時から彼女のために捧げると決めている。

ユリア嬢を守るためならば、喜んでこの身を差し出すと私は誓ったんだ。


・・・なら、これは何の覚悟だ?

何のための、死なんだ・・・?


魔女の、瞳は・・・何を、見極めて・・・??


あ、ああ・・・あははははははっ!

そうか、この死は彼女に捧げる死なんかじゃない。


己の過去をいつまでも悔いて、彼女に自らの思いをきちんと告げられぬ己の恥による死を私は迎えようとしている。


本当に私は大バカ者だ。

そんな死なんか、あまりにも情けない死なんかを彼女のために捧げようとしていたのか、私は!!!


一瞬でも私の心が過去の罪悪感で揺らいでしまった己の未熟さにこうも情けなさを感じることになるとは・・・。


そうだ、魔女の言った通り・・・覚悟を、決める!


すぐそこまで迫ってきた光線の熱に当てられ、ユトシス皇子の前髪が燃え始めると同時に体を翻してその攻撃を回避する。


その際、ユトシスの頬に掠ってしまい、酷い火傷を覆う羽目となってしまったがそんなものは関係ない!


光線は躱され、すぐ傍まで迫ってきた【灰かぶりの無法者】の組員らしき獣人の体を貫くと、穴が開くどころか体全体が一瞬にして蒸発するかのように塵と化した。


すぐ傍まで迫ってきていた獣人たちの存在に多少驚きはしたものの、それよりもあの光線に貫かれて塵と化し、後も残らぬまさに消し炭にされた獣人の存在に思わず顔が青ざめる。


あ、あれが本来の・・・威力とでもいうのか・・・?

じゃあ今まで私の肩や足を貫いた時には酷い火傷痕と貫通痕しかなかったということは・・・かなり、手加減してくれていたんだな。


1秒も経たずしてユトシスらを追いかけて建物の屋上へ登ってきていた組員たち数名が一瞬にして消し炭と化し、吹き抜ける風に乗って空へ散っていった。


そんな彼らの成れの果てに呆気に取られていると、ユリアが今にも泣きそうな顔をしながらユトシスへ抱き着いてきた。


「ゆ、ユリア嬢・・・??」

「うわぁぁあん!!勝手に死のうとしないでください、殿下・・・!まだ私はあなたから、魔法を、魔術をいっぱい教わりたいんです・・・!帝王学だってわからない事ばかりだから・・・だから・・・うわぁぁぁああん!!」

「す、すまない・・・」


まさか泣きながら抱き着かれるほどまでにユリア嬢から好意を持たれているとは思わなかった・・・。

確かもうすぐで13歳を迎えるんだったか。


まだまだ子供であることに変わりはない。

それに、ヨスミ殿から聞いた話では目の前で父と母を無残に殺された光景を目にしているという。


だからだろうか。

こうして目の前で見知った死んでしまうことに強い拒否反応を示すかのように涙を流してしまうのは。


「もう私はあんな簡単に生きることを諦めたりはしないよ。」

「本当、ですか・・・?

「ああ、約束する。だからほら、泣き止んでくれ。魔女がものすごく困っているから・・・」

「え・・・?」


とユリアが振り返るとオロオロとしている魔女の姿が目に入った。

こちらはもう大丈夫だと手を上げると、ホッと胸をなでおろすかのようにため息を吐いたかのように口元から黒いモヤが蠢いた・・・。






それから3人は<ムルンコール港町>を脱出し、<エラウト樹海>へと向かおうとしていた時、背後で巨大な地響きが鳴り響いた。


ユトシスとユリアが振り向くと、<ムルンコール港町>が合った場所が巨大な炎の爆発に呑まれる様子が目に入った。


恐らく、あの空中へ浮いていた人工太陽が町に落ちたのだろう。

本日をもって、<ムルンコール港町>という町が一つ、地図上から文字通り消滅した瞬間を目撃したのだった。


「うわぁ・・・。た、確かにあの町には黒い話しかなかったけど・・・だからといって、あの町には無実の獣人たちだって・・・」

「魔女殿・・・。さすがに、これはやりすぎなのでは・・・?」

「・・・ナニ、がもんダイ?」

「何が問題、だって?だってあの町には奴らに与しない獣人たちもいたはずだ。彼等もろとも消し飛ばすだなんて・・・」

「そんナノ、かんケイ・・・ない。」


魔女ははっきりとユトシスの返答にそう返した。


「関係ない・・・??」

「そう、かンケいない・・・。あのマチにスんでイる。それダケで、ムジつなやつハ、ダレも・・・イナい。」

「そんなのわからないじゃないか・・・!」

「・・・いないンダよ、そンナやつは・・・・・・・。」


ただ彼女はそこから何も話そうとしなかった。

いや、話せなくなったといった方がいいだろうか。


顔の下部を覆っていた黒いモヤが度々首に触れる事で腐食されて腐り落ち、会話に支障が出ていた。

だが彼女の感情が今初めて強く揺らいだのか、体中の黒いモヤの量が増えてしまったようで首も完全に腐り落ちてしまったのだ。


代わりに炎で作られた共用言語が2人の前に綴られた。


―――あの町が奴らに与し、それでも離れない連中はこの町が好きだとか、故郷だとか、そういった理由をくっ付けた所で結局、その内自分たちにも甘い蜜が回ってくるのではないか、なんて仄かな期待を抱いてしまっているから離れようとしない。


もし本気であの町が好きなのであれば、あの町を好き勝手にする奴らの存在は絶対に許さないはず。

冒険者でも、皇宮にでも、何なら自分たちで密かに自警団などでも作って【灰かぶりの無法者】らに反抗したはず。


そんな気も起こさず、ただ目の前で起きている非道な行為は見て見ぬふり、何も行動なんて起こさず、ただ逃げ回っているだけ。


立ち向かう勇気よりも、その行為が自分に向けられないために目立たずに身をひそめる、または進んで協力して彼らに気に入られようとしたりする。


もうその時点で救いようがない。


無実の住民なんて、あの町には誰一人いないんだよ。

本当に、どうしようもないクズ共しかいないんだよ・・・


だからこそ、妾は決して迷わない。

彼等を殺すことに躊躇するこは決してしない・・・―――。


最後の文章は微かに文字が崩れ、震えていた。

その時の彼女の表情は、増量している黒いモヤのせいで詳しく見れなかったが、彼女の紅い瞳からは深い悲しみのような感情が感じられた。


その時、ユリアは彼女の考え方についてどこか既視感を覚える。


・・・ああ、そうか。


これ、ヨスミお兄ちゃんと同じなんだ。

ヨスミお兄ちゃんと同じ価値観なんだ・・・。


善悪を分けることに一切の躊躇がない。


善は善、悪は悪。

その境目なんてものは存在しないのだ。


グレーゾーンや、セーフゾーンなど。

曖昧な境界線は決して存在しないのだ・・・。


「・・・そういえば魔女さんのお名前ってなんですか?」


―――名前、か。


彼女の感情がより強く揺さぶられているのか、彼女を纏う黒いモヤがどんどん増量していくのでユリアは慌てて話題を無理やり変えることにした。


そのおかげか、これ以上黒いモヤが増えることはなくなった。


魔女曰く、黒いモヤは腐食性の特殊なガスらしく、彼女の体から一定距離離れると無害と化するらしいが、逆に言えば一定距離範囲内だと魔女の体如く、一瞬にして腐食に侵され、腐り落ちるようだ。


なぜ彼女は平気なのかというと、その辺りに付いては教えてはくれなかった。


「ミュア?」


ミュア以外の名前は長く生き過ぎたせいか、思い出せないようだ。

そのミュアという名前も正確ではないらしい。


じゃあなぜミュアと名乗っているのかに関しては、元の名前からいつの間にかそう変わったそうだ。


「・・・でも可愛らしい名前なんですね!」

「・・・・。」


何も告げなかったが、嬉しそうに微笑んでいることぐらいわかる。


「それで、これからどうする?今から私たちは<ヴァレンタイン公国>へ帰るところだが、ミュア嬢は・・・」


―――妾も報告を兼ねて友人の・・・シャイネちゃんの所に戻るわ。だからそれまであなた達と行動を共にさせてもらうけど、いいわよね?


「もちろんです!あ、<火魔法>について色々教えてください!」

「あ、私も色々とミュア嬢に聞きたいことがあるんだけど・・・」


―――よかった。妾も聞きたいことがあったの。前に話に聞いていたあなたは・・・


「あー・・・やっぱり気になるよなぁ。まあ、それには色々と事情というか話が長くなってしまうのですが・・・」


そんな雑談を交わしながら、3人は<エラウト樹海>の中へ消えていった。


<エラウト樹海>・・・通称、精霊の住まう森と言われるこの場所で、3人は精霊一匹見かけることなく森を抜けたのだった・・・。



 |~人物紹介~|


名前:ミュア・*****

種族:人間???

年齢:????歳

身長:180cm

誕生日:8月14日

身体的特徴:まず目に付くのは体中を覆う黒いモヤ。

これは彼女曰く、特殊な腐食性ガスとのことだ。

そのガスに触れた者は何であろうと一瞬にして腐食され、ドロドロに腐り落ちてしまう。

また可燃性も兼ねているのかガス自体はもちろん、腐食によって爛れ、液状と化した黒い液体は火が直接触れなくとも簡単に燃え広がってしまう。

そして一旦火が付いてしまうとその温度は軽く1000度以上はゆうに超えるとされ、彼女自身も最高温度に達するまで全然余裕があると感じるという。

そんな腐食性ガスをまるでドレスのように纏っているせいか、そのガスに触れている部分は肉体部分は腐り落ち、骨だけとなっている。

また魔女帽子のような被り物をしているが、体中から溢れる余剰分のガスを圧縮させているだけのものであり、その大きさも大きくなったり小さくなったりと大きさは安定していない。

唯一、目元、首、胸元、二の腕の4カ所がガスがあまり触れていない部分となっているが、彼女の感情次第でそのガスの量が増え、全身が骸骨化することもしばしばあるそうだ。

また彼女の真っ赤な髪は絶えず伸び続けているようだが、腐食性ガスに触れる度に腰から下以上の長さになることはないようだ。

彼女は基本的には無気力にただ宙を漂っており、彼女自身も不死の特性を持っているためにそのガスで死ぬこともないため、生きることに絶望し、退屈し、無気力に日々を過ごしている。

【Sランク冒険者】の称号を持ち、人々には【原初の火を紡ぐ魔女】として恐れられているが、一部の者からは【黒クラゲ】なんて愛称で親しみを持つ者らもいるそうだ・・・。

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