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もう絶対に離れませんですわ・・・!!!!


「それで、獣人たちが【竜誕計画】に関する何かを手にしたって話だけど、誰かは検討は付いてる?」

「それがぜーんぜん。調べても調べてもその先は()()()()のよね。多分意図的に隠された存在がいるみたい。でもそれにたどり着く手段がないのよ・・・。だから一先ずお母様たちの元に帰ろうと思って来てみれば、青お姉様がやらかしそうになってたってわけよ。」

『ふえぇ・・・ごめんなさい・・・。』


涙目になりながらフィリオラに謝るバハムトイリア。


「仕方ないわ。でもこうして青お姉様に直接会えて話すこともできたことがすごく嬉しい。いつも白お姉様や黒お姉様、赤お兄様の話からでしか青お姉様のことを知れなかったから・・・。」

『えへへ・・・。私はず~っと知ってるよ・・・。い~っぱい喋りかけてたもん。パパと一緒に温めたりもしてたし・・・。』

「そうだったんだ・・・。なんだか嬉しいわ。」

「・・・あのそもそも【竜誕計画】は一体なん・・・あれ?バハムトイリア様?」


なんてフィリオラとバハムトイリアがお互い抱きしめ合っているところ、疑問を問いかけようとしたリヴィアメリアが何かに気付いたようだ。


「青お姉様・・・!?」

『あー・・・、そろそろ限界・・・みたい・・・。』


そういって2人から距離を取り、急いで海の方へと潜っていく。

直後、海の方で大きな爆発と共に巨大化した【青皇龍】が姿を現した。


『これが限界・・・。私はそろそろ寝るね~・・・』

「はーい、青お姉様。おやすみなさい~。」

「おやすみ、バハムトイリア様。」


人化の維持が出来なくなったバハムトイリアはそのまま海へと潜っていき、そのまま眠りに付いた。


「リヴィアメリア、【竜誕計画】については忘れた方が身のためよ。私自身もその全てを知っているわけじゃないけど、白お姉様たち全員が揃えて”深入りするな”って脅しをかけるぐらいの代物みたいだから、私も関わることはやめたわ。だからあなたも【竜誕計画】だけはこれ以上関わらない方がいいわよ。」

「・・・わかった。」

「それじゃ、私もそろそろ寝るわ。おやすみ。」


残されたフィリオラとリヴィアメリアだったが、時間も時間と言うことでその場で解散ということになり、フィリオラは用意されたテントへ、リヴィアメリアは【古獣の王】の背中に移動する。


【竜誕計画】・・・。

四皇龍様たちがそれほどまでになって追及することを拒むなんて、一体なんなのだろう・・・?


そんなことを感が手ながらそのまま丸まって眠りについた。






あの後、フィリオラたちは込み入った話をしていたのだろう、2時間ほど何かしら話し合っていたようだった。


意識もうつらうつらとなっている中、微かに聞こえてきたのはあの人の名前と忌まわしい【竜神教】・・・そして【賢者の石】とぷ、プロジェ・・・なんちゃら?


聞いたこともないような言葉も幾つか飛び交っていたようでしたわ。

その会話にあの人の名前が出ていたみたいだから、興味はありましたわ。


でも今はまだわたくしが知るべきものではないと、そう感じるのですわ。

あの人が隣にいて初めて、その人から直接話を聞くことが条件だとそう思いますの。


なんて考えていたらいつの間にか眠りに付いてまして、あっという間に朝日が昇る時間帯でしたわ。


ハルネが起こしに来るよりも早く目を覚ましたわたくしは皆を起こさぬ様に静かに家を出て、外に出てきましたわ。


もしかしたらあの人がそこで待っていてくれているかも・・・なんて期待を胸に出てきたものの、やはりといった感じであの人の姿はどこにもありませんでしたわ。


これならまだ、わたくしの傍で眠り続けていたあの頃の方が・・・


いや、何を言っているんですのレイラ!

そんな恐ろしい事を考えているなんて、なんてお馬鹿さんなんですの!


いつ死んでしまうか分からない恐怖に心身共にすり減らされるようなあのジワジワした恐怖を感じ続けるのはもうごめんですわ・・・!


だったらまだこうして意識がある状態で少し離れていた方が・・・


「まだマシなのですわ・・・!」

「何がマシなのかな・・・?」

「・・・え?」


と振り返るとそこにはボロボロになったヨスミが何とか壁にもたれながら立っていた。


「あ、あなた・・・!?どうしたんですのその怪我・・・」

「あはは・・・、ちょっと色々あってね。でもおかげであの首輪は取れたよ・・・。」


確かに今のヨスミの首には何もなかった。

あるとすればしばらくの間、あの忌まわしき首輪が付けられた痕ぐらいだろうか。


でも今はそんなの関係ない!

レイラは急いでヨスミの傍までやってくると急いで彼の傷ついた体を支える。


「こんな傷だらけになって・・・本当に・・・もう、もうもう・・・!」

「ごめんね、レイラ・・・。」

「うっうっ・・・一体どこのどいつですの・・・??わたくしの大事な人をこんな目に合わせた不届きものは・・・!!!」


ヨスミの肩を支えながら家の中にゆっくりと入っていく。

するとレイラたちの存在に気付いたハルネが慌てた様子でヨスミを<鎖蛇>で絡み、そのまま抱き上げるとベッドまで連れていく。


何やら騒がしい様子に目を覚ました他のメンバーたちもヨスミの傷つきように慌てた様子でハルネのお手伝いをしていた。


ディアネスはうわぁ~んと泣きながら抱き着き、ただひたすら

「死んじゃやあ~!!!」

と慌てふためいている。


ジェシカとフィリオラの2人で<治癒魔法>を掛けながら、傷口に回復ポーションを染み込ませた包帯を巻いていく。


「それで、パパ。一体何があったの?」


ベッドで横になるヨスミに疑問をぶつけるフィリオラ。

その横をレイラ、反対側をジェシカ、正面にはディアネスが抱き着いており、彼にこうしてまともに話しかけるのはフィリオラしかいなかった。


「どこから話せばいいのやら・・・。」


そしてヨスミは自分の体に抱き着いてきた子たちの頭を交互に優しく撫でながら静かに話し始める。






「・・・【竜神教】をご存じでしょうか?」


そう語り掛ける彼女。

なんだか興味をそそられる単語であることには間違いない。


竜の神を奉る教団・・・!

ドラゴン・イズ・ゴッド・・・!!


・・・ああ、なんて素晴らしい響きなんだ。

是非ともその教団について色々とご教授いただきたいものだ・・・!


「いや、知らないな。聞いたこともないよ。でもすごく興味はそそられるね・・・。君は【竜神教】の人なのかい?一体何の竜の神を信仰しているのかな?他にも竜を信仰しているのかな?そもそも竜のどこを見て何を感じて・・・」

「ま、まってまってまってまって」


先ほどとは打って変わり、目が異常にガンギマリしたまま早口でどんどんと詰め寄ってくる彼に思わずドン引きする。


「ああ、ごめんごめん。」

「い、いえ・・・。」


ヨスミが見せたあの異様な執着にどこか恐怖すら感じられ、一歩、また一歩距離を開ける。


「ふう・・・。話を戻しますが、あなたの名前はヨスミ・・・であっていますよね?」

「ああ、そうだよ。僕の名前はヨスミだ。」

「あなたがヨスミであるならば、本当に【竜神教】をご存知ないのですか?」

「・・・?そんな魅力的な教団の存在を知っていたら多分真っ先に入団していると思うよ。でも本当に僕は【竜神教】なんてものは何一つ存じ上げないね。すごく、ものすごく、非常に悲しいことに・・・。」


本気で残念がっている彼に対して呆れたかのようにまた一歩距離を離す。


「でもそんなはずは・・・、あの紙きれには確かにヨスミという名前と【賢者の石】について書かれてあったのに・・・。」


ぼそりとヨスミに聞き取れないほどの小さな声で何かを呟いたマリアンヌは眉を顰める。


「なら話を変えます。【賢者の石】という物について何かはご存知ですか?」

「【賢者の石】・・・。錬金術師たちが追い求める叡智の結晶のことかい?」

「錬金術師・・・?叡智の結晶・・・?」


マリアンヌはいまいち話が掴めていないようだ。


「【賢者の石】という物は、錬金術師にとって喉から手が出るほど欲しがる遺物のことだよね?ありとあらゆる物質の変換を可能にすると言われる・・・」

「そう、それです・・・!何かご存じではありませんか?錬金術師のヨスミ様。」

「・・・なぜ僕が錬金術師になるんだ?」

「だって、【賢者の石】はヨスミ様がお作りになられたのですよね?」

「え?」

「え?」

「は?」

「は?」

「「・・・・・。」」


お互いにしばしの沈黙が流れる。


待ってくれ。


【賢者の石】だろ?

ファンタジーでは絶対欠かせない超有名な石の事を言っているんだろ?


僕が作った?

この子は何を言っているんだ・・・??


確かに僕は妻と共に巡った古代遺跡からパワーストーンのような何かを見つけ、それを使って特殊な石に作り上げたことはある。


そんで優里がぼそっと

「賢者の石っぽい!」

なんて言ってたから、その名前を名称として付けたよ?


でもその石の能力は周囲に漂う霊力やら気なんかの目には見えない特殊なエネルギーの存在を確立させ、自らの体に流れるエネルギーの波長へとその賢者の石を通じて変換し、自身のエネルギーとして定着させるなんて代物だぞ?


このマリアンヌが言っているような代物なんて能力はないぞ??


「僕が作ったってどういうこと?一体何の話をしているんだよ??」

「いえ、私が持ち合わせている情報では現存している【賢者の石】はヨスミなる人物が作り上げたものだとありますが・・・」

「・・・なぜ僕が【賢者の石】を作ったことを知っているのかはともかく、僕の知る限りだとそんな能力はないし、そもそも処分されているはずだからないよ?」

「いいえ、【賢者の石】は残存しております。かつて【竜神教】の最高司祭様が持っていた杖にはめられており、それを用いることであらゆる物質を生み出していたという記録があります。」


【竜神教】・・・?最高司祭・・・?

しかも【賢者の石】は残存している・・・???


残存しているならばそんな能力はないはずだし、絶対別物だと思うんだけど・・・。

そもそも僕が作ったなんて情報は一体どこで・・・?


ものすっごく魅力的な名前の癖してすんごいきな臭くなってきたんだが???

え、【竜神教】って、竜の神を崇めているからそんな名前なんだよね???


なのに【賢者の石】??

あらゆる物質の変換???


本当に一体何の話をしているんだ・・・??


「その記録には他になんて・・・?」

「・・・本来なら機密情報なのですが、いいでしょう。とはいっても私が持ち合わせている情報は大体それだけしかないんですけど。【賢者の石】を生み出したのはヨスミという名前の人物であること。その石の効能については詳しくは掛かれていません。ですが実際、最高司祭様はそれを用いてあらゆる物質を変質させ、最終的に【竜の成りそこない】と呼ばれる存在を作り出したと。それら全ては【竜誕計画】・・・がはっ!?」


とそこで突然マリアンヌはいつの間にかヨスミに自らの首を掴まれ、持ち上げられていた。

息が詰まり、酸素が肺に届かなくなり、どんどんと顔が青ざめていく。


首に走る激痛と息が出来ない事への苦しみ、そして何よりも・・・


「・・・お前、今なんて言った?」


目の前にいた魔王の瞳を持つ青年の表情が、先ほどまで見せていた好青年な感じではなくなり、そこにいたのはまさに本物の【魔王】そのものだった――――――。



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