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大切な家族は何人いてもいいのですわ!

なぜ、なぜep.250が予約できていなかったのだ・・・。

原因?ただの僕のミスだよ・・・っ!



ルーシィの道案内の元、レイラたちがやってきたのは上空で見えていた人工物のような建物だった。


実際に近くまでやってくるとかつて古代文明の名残と思わしき建物で、今となってはすでに廃墟と化していたようで、建物を覆い尽くすように植物が育っていた。


入口と思わしき部分は、どういった理由かはわからないが一部が大きく崩れており、そこから中に入れるようだが、ルーシィはそこを無視して通り過ぎる。


途中、


「ここが入口ではないんですの?」

「**********。*****、*********。」

「あそこから入ってはいけない。あそこから入ったら罠が発動して全員死んだって言ってます。」

「罠・・・ですの。」


その入口に近づかぬ様に外から中の様子を伺おうとした。

だが真っ暗闇に支配され、中の詳しい様子は伺うことが出来なさそうだ。


だからといって覗き込もうとしたら罠が発動してしまう可能性もあるため、これ以上の観察はしないことに決め、ルーシィの後を追う。


その入口を通り過ぎ、後ろ側へと周るとそこには巨大な花が建物から生えており、ルーシィはその花から生えていた根の一部の隙間を掻い潜って入っていった。


ルーシィの後を追うように、彼女が入っていった根を軽く広げて中へと入っていく。

中の根をかき分けながら進んでいくと、光が根の間から差し込んでおり、出口が見えてきた。


そしてついにレイラは根が這っている通路から抜け出し、建物の内部へと入ることに成功した。


中の通路は見たこともないような素材で作られており、天井の一部は通路を照らし出す様に明るく光り、その通路事態も石ではない、未知なる素材で出来ているようで歩くたびにカツンッというレイラのヒールの形をした足甲の音が響き渡る。


「これは・・・、まるで各地に点在する古代遺跡のような・・・。」

「それにしたって、ここまで内部の状態が綺麗なままの遺跡なんて初めてですわ。」

「あの光っている天井のあれ・・・どういった原理で光っているんでしょう・・・?まるで太陽の様にとても眩しいです・・・!」

「*********。」

「あ、こっちだって言ってます。」


ルーシィは通路を進んでいき、迷うことなくとある部屋の中へと入っていった。

扉らしきものは破壊されており、唯一そこだけが中に入れるようだった。


レイラたちもルーシィの後に続いて中に入るとそこはとても広く、細い棒で組み合わさった椅子やテーブルが散らかるように置かれていた。


その一部を並べてロープでつなぎ合わせ、その上に柔らかな毛布のような物を置いて簡易的なベッドを作ってそこで寝ている様だった。


「・・・まあ、壊れませんですわ。」


その椅子に座ってみたがびくともしない。

今のレイラはフルアーマードレスを着込んでおり、彼女の体重とアーマードレスの分の重量も合わせればそこそこの重りょ・・・


フルアーマードレスの重さに普通に耐えている。


こんな細い脚なのに、座っても崩れるどころか壊れる気配すら感じられない。

一体どんな素材を使えば、ここまで頑丈な椅子やテーブルを作ることができるのだろうか。


するとルーシィはどこからか持ってきた見たこともない何かをレイラへと差し出した。


「これはなんですの?」

「*******。*****、*********。」

「食べ物だと言っています。上の部分を破いてから中にある物を食べる・・・だそうです。」

「これが、食べ物・・・ですか?」


ハルネにも同じようなモノを渡され、それをじっと見つめる。


「レイラお嬢様、私が先に食べてみます。」


そういってハルネは受け取ったそれの上部分をナイフで切り裂いて開封する。

すると途端に内部から広がる香ばしい香りが鼻をつき、食欲がどんどん湧いてきた。


中身を見てみると肉のようなものと野菜のような何かが煮込まれたシチューのようなもので、マジックバックからフォークを取り出すと具材に突き刺し、それを口に運ぶ。


具材を噛みしめた瞬間、ジュワッと広がる肉汁と香ばしい香辛料の風味が口いっぱいに広がり、噛むたびにホロホロと崩れるほどの柔らかい肉のような何かは満足感以上のおいしさに頬が落ちそうになり、思わず片手で頬を支えた。


「美味しいです。私が今まで食べたことがないほど美味です・・・!」


ハルネが絶賛するほどの食糧にレイラやジェシカも興味が湧き、それぞれ封を切って中身を食していく。


「・・・確かに、これは美味しいですわ。」

「とてもホクホクしていて、ほっぺたが落ちそうですぅ・・・!」

「******?」

「ええ、とても美味しいですわ。」

「お婆様、ルーシィの言葉がわかるんですか?」

「いいえ。でも雰囲気的においしいでしょ?と言われた気がしましたわ。」

「合ってます!」


それからレイラたちは、古代文明が残した食べ物を朝食として食べ終え、ディアネスには持ってきていたミルクを飲ませる。


「でもまさか、古代文明の食事が今もなおこうして食べられるなんて・・・。」

「*****、********。*******、**************。」

「あそこの装置から出てくるみたいです。それのおかげでルーシィちゃんも生き延びることが出来ていたみたいで・・・。」

「*****、*******。」

「他の部屋には決して入らないように、だそうです。どうやらここ以外の部屋には無数の罠が張られているようで、入った途端に攻撃されるみたいです・・・。」

「・・・そうですのね。」


なぜそんなことを知っているのか、聞かずとも察することができた。

全員が無事朝食を取り終え、ひと段落しているとレイラは気になることをルーシィへと聞くことにした。


「ルーシィ、一体いつからここにいるんですの?」

「ここには数十年前から。元居た故郷が他の【悪魔】たちの派閥争いに巻き込まれてしまい、そこから逃げるようにこの大陸へ来たと。だけど、獣人たちにも追われることになって、逃げた先がここだった。でもこの建物も罠だらけで結局生き残ったのはルーシィだけ・・・。」

「そうでしたの・・・。あなたは今何歳になるんですの?」

「85歳・・・だそうです。」

「確か【悪魔】は人間で言うと10年で1歳の年を取ると言われています。なので・・・」

「8歳・・・ですわ。まだ子供じゃないですの・・・!」


きっとこの子の親も亡くなっておりますわね。

それにしたって今までずっと一人でここで身を潜めて過ごしていたんですの?


「なぜ、あそこに一人でいたんですの?」

「ボーっと空を見上げていたらお婆様たちの存在に気が付いて、さらにはディアちゃんの綺麗な魂と、お婆様からは不思議な魂の絡み合いを感じたからと気になって建物から出てきたそうです。」

「魂の、絡み合い・・・ですの?」

「ルーシィちゃん自身もわからないようです。ただ、お婆様の澄んだ魂を守るかのように覆う別の魂のような何かが以前、父に聞いたマザーと呼ばれる存在に似ているとのことです。」

「マザーと呼ばれる何かに、わたくしの魂が守られているんですの?」

「簡潔に言えばそうだと言っています。」


訳がわかりませんわ。


マザー?

そんな存在をわたくしは知りませんし、そもそも会ったこともありませんわ。


一体何の恩を売れば、わたくしの魂を守ってくれるんですの?


「心当たりがありませんわ・・・。」

「これ以上はルーシィもわからない。ごめんなさい・・・と。」

「いいえ、ルーシィ。あなたが謝る必要はありませんわ。むしろ色々と教えてくれてありがとうですの。」

「久々に誰かとこうして話すことが出来てルーシィも嬉しい、と・・・。うう、ルーシィちゃん・・・!」


そういってジェシカは思わずルーシィの事を抱きしめる。

突然の事にルーシィも驚いてはいたが、見よう見まねでジェシカにぎこちなく抱擁する。


「そういえば、そろそろ仮面を外してもいいんじゃないですの?」

「*******。」


レイラはルーシィの仮面を示唆するかのように自身の顔を指さし、ハッと我に返ったルーシィは自身が被っていた仮面を取る。


取り外された顔はとても綺麗な顔立ちをしていた。

もちもちのほっぺはルーシィが未だに幼き子共であると自覚させられる。


ルーシィの山羊のようなエメラルドのような瞳はまるで宝石を思わせるほど輝いていた。


「すごく綺麗・・・」

「この子、将来はとんでもないほどの美貌を持った女性になりますわ。」

「そうですね・・・、8歳でこれほどの美貌を持っているならば恐らく誰よりも美しい絶世の令嬢として名を馳せるかと・・・。」

「【悪魔】って全員、こんな美貌を持っているんですの?」

「いいえ、人間同様個体差があります。この子が特別なだけかと・・・。」


レイラたちの会話にはてなマークを浮かべてはいるが、褒められていると察したようでとても照れたようにすでに赤みがかった顔が更に真っ赤に染まる。


「ねえ、ルーシィ。もしよかったらわたくしたちと一緒に来ませんですの?」

「???」

「ここで1人でずっといるよりも、わたくしたちと一緒に来た方がきっと楽しいですわ。それにジェシカやディアのお友達・・・いえ、大事な家族になってくれればわたくしとしても嬉しいですわ。」

「・・・!!!」


ジェシカにレイラの言葉を通訳され、とても嬉しそうにパァーッと表情が明るくなる。


ルーシィはそのままレイラへ抱き着き、その後、ジェシカとディアの手を握る。

とても楽しそうにする3人の様子を微笑ましく見ていると、ふと脳内にベオルグの声が響いてきた。


『母上殿。』

(あら、ベオちゃん。どうしたんですの?)

『今回出会った【悪魔】であるルーシィが特別であると自覚しておいてほしいのだ。』

(そこまで危険視しなければならないほどの存在なんですの?)

『・・・ああ。【悪魔】という存在はこの世の理から外れた存在の成れの果て。破壊の化身とさえ言わしめるほど危険なのだ。そのルーシィという子はまだ子供、悪魔としての常識を教えられる前に親が死んだがためにその子の知識は真っ白も同然だ。これから母上殿がルーシィに色々と教えていけば問題はないだろう。』


この世の理から外れた存在の、成れの果て・・・。


ベオちゃん、あなたは一体何を知っているんですの?

一体どこまで知っているんですの・・・?


そんな疑問をベオルグへぶつけようとしたがこれ以上語ろうとしない意志を感じ、レイラもこれ以上追求することはしなかった。


『くれぐれも、他の【悪魔】と出会うことがあれば油断せぬよう・・・。』

(・・・わかったわ。ベオちゃん、色々とありがとうですの。)

『いいや、我はただ母上殿が悲しむような目に遭ってほしくないだけの事。そのためならば嫌われるようなことも進んで・・・』

(ベオちゃん。わたくしがあなたを嫌うことは絶対にありませんの。あなたから伝わってくる心配するような感情を無下にするような愚かな母だと勘違いしないでくださいまし?)

『・・・ああ、心得た。ありがとう、母上殿。』


それからベオルグは静かになった。

今の彼からは心暖かな感情が伝わってくる。


どうやらわかってくれたようだ。


「さて、これからについて話を詰めるのですわ。」


そうしてレイラは新たなる家族ルーシィを迎い入れ、これからのことについて話し合いを始めた――――――。



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