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わたくしはわたくしの全てをあの人に捧げると、そう決めたのですわ・・・!

次の話に関して、ムフフな展開を書くのがより下手なのでうまく表現できるかどうか自信がありません。

もしかしたら朝チュンに逃げるかもしれませんが、ご了承ください・・・!


久々のレイラと二人きりのデートということで、僕は彼女を連れて町へやってきていた。


町は活気に満ち溢れ、行き交う人々の生き生きとした瞳は太陽に照らされ、キラキラと宝石のように輝いていた。


さすが獣人だ。

人間とは違う、本当に宝石のようなきらめきのような輝きが見える。


まあ、そんなものよりもレイラの瞳の方が何千倍も・・・あ、そういうのはもういい?


いいや、何度でも語らせてくれ!

彼女のコバルトブルーの瞳は水面に太陽光が反射されたかのように煌いているんだ。


それは宝石のサファイヤなんかよりも美し(ry


「あなた!」


レイラに呼ばれ、ふと我に返ったヨスミは彼女の方へと視線を向ける。

そこには美味しそうな肉の串焼きを出している露店があり、そこからは香ばしい香辛料の匂いが漂ってきた。


「とてもおいしそうですわ!」

「この匂いを嗅ぐだけでお腹が減ってくるね。店主、串焼きを2つほどいただきたい。」

「へい!って、あんたたちは!」


とレイラの方を見てとても驚いた様子を見せる串焼き露店の店主。


「ミミアン様のご友人!と・・・今までずっと寝ていた人間じゃねえですかい!」


・・・うん、まあ間違ってはいない。

間違ってはいないが、いざそう言われるとなんか複雑な気分だ。


「あはは。怪我のせいで今までずっと意識がない状態でしたが、無事回復できたようでこの通り妻のレイラと久々のデートを楽しんでいるわけなんだ。」

「ほほー、そりゃあ目出度いじゃねえか!ほれ、こいつぁ俺からのお祝いだ!」


そういって串焼きを2本差し出してくれた。

店主に礼を告げた後、レイラに受け取った肉串の1本を渡し、2人同時に肉にかぶりついた。


噛んだ瞬間に口の中に広がる肉汁と香辛料の香ばしい香り。

その肉厚ながらも簡単に噛み千切れるほどの柔らかさ。


「うまい・・・。」

「とへもおいひぃでふわぁ・・・!」

「がははははっ!それはよかったぜ!」

「本当にうまいよ。更に2本いただけるか?次はぜひともこの素晴らしい肉串に対価を払わせてくれ」

「本当に気に入ってくれたようで何よりだ!ほれ、肉串だ!」


それを受け取ると店主に礼を告げ、座れそうな場所を探してレイラにそこへ座らせ、買ってきた肉串を渡す。


「レイラ。僕はすぐそこの露店にある飲み物を買ってくるよ。だから君はここで待っててくれ。すぐに戻る。」

「はいでふわ!」モグモグ


レイラの頭を優しく撫でた後、ヨスミはすぐそこに出店している露店へと向かっていった。

そこでは様々な果実の絞り汁で作られた飲料水が売られている。


「おや、いらっしゃい。」

「やあ女将。こちらの露店で売っている飲み物を・・・」


穏やかな風貌のサモエドの女性型獣人が姿を現した。






ん~!すっごくおいしいですわぁ・・・!

ここ最近、何を食べても味覚が麻痺していたせいか、美味しいと感じられなかったのですの。


つい先日、ハルネから受け取ったハルネ特製ジャーキーはおいしかったですわ・・・!


「それにしても、この肉串はなんてジューシーなんですの?わたくしの旦那さまと一緒に食べる肉串がこんなにも格別だなんて・・・ん~、これが美味しいと感じられる幸せ・・・」

「よー、人間の雌!」

「いいもん食べてるじゃねーか!」


とレイラが肉串を食べているところに2体の厳つい獣人らがやってきた。

だがレイラはやってきた二人の獣人には見向きもせず、ただただ肉串を幸せそうに食べている。


「ああ?おい、無視かよ!」

「とりあえず俺たちとくるん」

「・・・・あ?兄弟?え?どこにいった・・・?なんで消え」


突然横にいたはずの仲間が消えたことに恐怖を感じたのか、レイラから離れようとした瞬間彼の姿もまたどこかの彼方へと消え去った。


それと同時にコップを2つ手に持ったヨスミがレイラの元へとやってきた。


「すまない、待たせたかな?」

「おかえりですわ!そんなことありませんですの!ささ、わたくしの隣にお座りくださいまし!」

「では。」


ヨスミはレイラのすぐ隣に座り、彼女にコップを一つ渡した。

それを受け取ったレイラは中に入っている果実の甘い匂いがする液体が入った飲み物を口へと流し込む。


酸っぱく、だが果実の甘さが仄かに残っており、先ほどまで食べていた肉串の脂っこさを一気に消し去り、口に広がる爽やかさがこの肉串との相性の良さを現していた。


「ん~・・・!最高ですわぁ・・・!本当においしいですの・・・、本当に・・・。」

「レイラ・・・?」


ふと気が付くとレイラは泣いていた。

ヨスミは手に持っていた肉串とコップを<転移>で移動させ、レイラの背中を摩りながらそっと肩に腕を回す。


「あなたが・・・眠りについている間・・・、ただ無でしたわ・・・。出されたご飯も、美味しく感じられれず・・・、何をしていても最悪の結果ばかりが、脳裏を過って・・・。そしたら、もう気が気でなくなって・・・、夜中に何度も目が覚めて、あなたが息をしているかどうか確認しては、そのままずっとあなたの・・・」

「そうか・・・。君の精神をとことん追い詰めてしまって本当にごめんね。」


そういってレイラの手を取り、優しく指を絡めて握る。

それに対してレイラもヨスミの手を握り返し、ヨスミの体へ自分の体を寄せた。


「そうですわ・・・。おかげでわたくし、とても心がボロボロなんですのよ?だから・・・」


そしてまたレイラは自然と自分の唇を重ねてきた。

だが以前よりもとても長く、そして驚くことにレイラの方から舌を絡めてきた。


吃驚して目を開くと、レイラの顔がこれ以上にないほど真っ赤になっている。

すごく勇気を出して、全力で誘ってくれているのだろうとすぐに分かった。


それに応えるように彼女の舌に自分の舌を絡ませ、とても濃密で長く深いキスを交わした。


どれぐらい時間が経ったのだろうか。

たった数十秒が、2人にとっては1時間も2時間も経ったかのように感じられるほど、とても甘い時間が過ぎたように思う。


2人の唇が離れた時、互いの唾液が糸を引くようにある程度伸び、そのまま下へと垂れる。


「だから・・・、その。ボ、ボロボロになったわたくしの心を、その体で癒してほしいんですの・・・。だ、だめ・・・?」


なんだこの子。

どこでそんなセリフを覚えてきたんだ??


そのセリフの言い回し、上目遣い、その仕草・・・。

ああ、君はどこまで可愛いんだ。


でも君の体はまだ震えている。


「・・・いいのかい?」

「ええ・・・、あなたになら。あなたにわたくしの初めてを貰ってほしいんですの・・・!わたくしの全てを捧げたいんですの・・・!」

「・・・そっか。勇気を出して言ってくれてありがとう。今夜、君の部屋に向かうよ。」

「・・・っ、はいですの!わたくし、待っていますわ・・・!」


二人は優しく抱擁を交わし、そしてまた肉串と果実ジュースを堪能し終えるとまた町へと繰り出し、デートの続きとして二人は互いに腕を組んで歩いていった。


2人の中はより深まったようで時間を忘れ、笑みが絶えないデートを迎えることができた。


ふと気が付けば茜色に染まり、夕陽が町を照らし出した頃、2人は町の外にある丘の上に座り、町の風景を眺めていた。


「ねえ、あなた。」

「ん?」

「わたくし、あなたの事は詳しく知りませんの。もっとあなたの事を知りたい気持ちがある一方で、あなたはきっとあまり話したくないのはわかっていますわ。ですからもし・・・」

「ああ、そんなことか。君が良ければ話すことは別に苦じゃないよ。ただ、面白くない話だとは思うけどね。」

「む~、これでもかなりこの話には慎重になっていたんですのよ?」


そう言いながらほっぺを膨らましてムッとした表情を向ける。

そんな彼女の表情がとても愛おしく感じられたのか、つい笑みがこぼれてしまった。


「ふふっ」

「も~、笑い事ではありませんことよ?でもそこまでわたくしの事を信頼してくれてあっさり話してくれることに、少し嬉しくも思えましてよ?」

「君には隠し事はしないと決めているからね。あ、でも君にとっては少しショックな部分があるかもしれないよ。」

「・・・あなた?わたくしのことをなめないでくださいまし!あなたが例えどれほどの悪人だったとしてもわたくしのこの気持ちは決して揺るぎはしませんわ。」

「あはは、そう言ってくれて僕も気楽に話すことができるよ。そうだなぁ・・・、これから僕たちにはたくさんの時間があるんだ。ゆっくり僕の事を話していくよ。それこそ、今日の夜にでもね。」

「うふふ、楽しみが2つも出来てしまいましたわ。それじゃあそろそろ帰りましょ。これ以上遅くなったらユティス公爵夫人に心配かけてしまいますわ。」

「そうだね。それじゃあ行こうか。」


そういってレイラの手を握ると、そのままフォートリア公爵家の本邸へと<転移>した。






その日の夕食に顔を出したのはユティス公爵夫人、ディアネスを抱いたジェシカ、そしてレイラとヨスミの5人だけだった。


ミミアンは少し前に目を覚ましたそうだが、その痛みに愉悦を感じては気絶を繰り返しているらしい。

ジャステス公爵は両腕を失い、また片腕からは感染症を発症してから完全に動けなくなったため、しばらくは絶対安静が必要なために自室で専属の医師をつけて休んでいる。


その後、今後の近況を報告し合い、それといった会話もなく夕食を終えた。

そしてユティス公爵夫人は先に食堂から出ていき、ジェシカも食事を終えるとディアネスと共に食堂から出ていった。


そしてレイラはハルネの様子を一度見に行くと言っていたため、レイラへ提案する。


「今から向かうとなると夜遅い時間になるから僕が<転移>で送るよ。もし戻りたくなったら部屋から出ればいい。そしたらレイラの自室へ<転移>させるよ。」

「ありがとうですわ!それじゃ、宜しくお願いしますの。」

「ああ、行ってらっしゃい。」


その言葉と同時にレイラはハルネがいる治療院の病室へ<転移>していった。


彼女を見送り、ヨスミも自分の部屋へ戻るとディアネスと遊ぶハクアとジェシカ、そしてミラの姿が見え、部屋に入ってきたヨスミに気付いた。


「お爺様!おかえりなさい!」

「おあえりあい!」

『オジナー、おかえりなの!』

「ぴぃっ!」

「ただいま。ルーフェルースは?」

「ルルさんなら、ご飯を食べにお出かけしました。しばらくしたら戻ってくると思います!」

「そっか、あの子の食事も用意するべきだったね。ミラはお腹は減っていないかい?」

「ぴぃっ!」


ミラはヨスミの肩に留まると嬉しそうにヨスミに自分の体をスリスリと擦り付けてくる。

とてもモフモフした羽毛がこすれてきてとても心地が良い・・・。


「そっかそっか。それで今日は何をしていたのかな?」

「私のこれまでを話していたんです。」

「なるほどね。旅の話ほど魅力あふれるものはないからね。僕も聞きたいな。」

「そういえばお爺様はずっと眠っていらっしゃったんですよね・・・、わかりました!えっと、まず私のことから・・・」


レイラが帰ってくるまではまだ時間があるな。

それまで、僕が眠っている間に彼女が歩んできた旅路を・・・・


なんて思ってジェシカの話を聞いていた。

だが彼女が話す内容、特にジェシカの出生に関しての話を聞いた時、あまりにも胸糞が悪すぎて途中気分が2重の意味で悪くなったのは言うまでもないだろう。


サハギン共がぁ・・・、もし次であった時は一匹残らず潰すぅ・・・!!

そう決意したヨスミだった―――――。



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