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盗賊との討伐戦


森をかき分け、崖の麓に洞窟の入口が見えてきた。

左右に松明が立てられており、表に見張り役だろうか、屈強な男が2人立って辺りを警戒していた。


「ヨスミ、ここが盗賊団のアジトだ。確か30人近くいたはずだ。」

「30人か・・・。幼竜を拉致するために出張っていた奴らが確か16人?17人?・・・大体それぐらいいて、全員殺してあるから大体12~4人ぐらいだと思う」

「マジかよ!一人でそんな数の相手に勝っちまったってのか?信じられねぇ・・・」

「フォード様、どうやらヨスミ様は嘘をついていないご様子です。」

「それじゃあいきましょ。あの2人は私に任せて!」


そういうと、フィリオラは両手に魔力を込め、


「<汝、淡い妖精の歌に誘われ、静寂をもたらせ>」

 「<妖精の歌姫(セイレーンボイス)>!」




「・・・あん?なんだ?これは、歌か?」


突如、周囲をキョロキョロと見渡し、首を傾げる。

何か様子がおかしいと、相方へ声を掛ける盗賊。


「どうした?」

「いや、聞こえねえのか?なんか、歌が・・きこ、え・・・・・・・・・・zzZ」


と最後まで言い切る前に白目を剥いてその場に倒れた。


「うぉお!?おい、どうした!?」


急いで駆け寄り、倒れた相方の様子を確認するが、ただ寝ていると分かり、


「んだよ、寝てるだけかよ。おい、起き・・・ん?これは、歌・・・?一体、なに、が・・・・・・・・・・zzZ」


駆け寄ってきた盗賊も同様に白目を剥いてすでに寝て倒れている仲間に覆いかぶさるように倒れた。





「さすが竜母様だな!あっという間に2人を無力化しちまった。」

「これぐらいはね。ささ、早く行きましょ!」


4人は茂みから出て、入口付近まで移動すると静かに中の様子を覗いてみる。

通路に等間隔に設置された松明である程度は視認できてはいたが、どうやら通路が長いためか奥の様子は確認できなかった。


「うーん、よくは見えないなー・・・。もうそろそろ日も暮れちまうし、これ以上時間を掛けたらまずいぜ。」

「気づかれている様子もないみたいだし、このまま奥に進みましょ。」

「もし何かあったときのために、事前に神の加護を授けておきますね!」


と、メナスは3人に対し、聖書を開くと目を閉じて言葉を述べていく。

3人の体が光り、すぐに収まると聖書を閉じて目を開ける。


「これである程度の攻撃は防ぐことができます。が、無理はしないでください。」

「うっし。とりあえず洞窟内だし、こいつだけでいくか。」


フォードの腰に携えていた二対の剣の内、短い小剣(ショートソード)の方だけを抜いて戦闘態勢を整えた。


なるほど。

洞窟内では長剣(ロングソード)を取り回すには不向きだから小剣だけで戦うのか。

確かに、振り回している時に狭い洞窟内で引っかかったりしたら致命的だからな。


フィリオラは両翼と尾を消すと、左目に小さな魔法陣を展開した。


「とりあえず後方支援は任せてね。」

「私もいつでもいけます。」

「僕もいつでも行けるよ。」

「なら、前衛は俺が務めるぜ。正直もう一人欲しい所だが、後方支援が2人もいるからカバーし合えるだろ。んで、ヨスミは・・・」

「んー・・・、なら僕は遊撃でいくよ。その方が多分、動きやすいと思うから。」

「おっけー、それじゃあいくぞ!」


っとと、行く前にそこで寝てる奴らの心臓と脳を潰しておくか。

頭を動かさず、目だけで彼らを視認し、その2部位を”移動”させた。


そして中に入っていったフィリオラたちの後を追うように自らも”移動”した。





中をある程度進んでいくと、中に盗賊たちがやはりいるようで、騒ぐ声が聞こえてきた。

それに混ざり、女性のような悲鳴も混じっているのに気づき、フォードとメナスの手が震えていた。


大きく空間が空けた場に入ると、姿勢を低くし、気配を殺して近くの物置に身を潜め、移動した。

そのまま奥へ向けて進むと、騒ぐ声、女性の悲鳴が大きくなり、そっと顔を出して様子を覗くと、何人かの女性が盗賊たちに乱暴されそうになっている光景が目に映った。


「いやぁああー!やめてぇー!」

「ひーひひっ、おらおらぁ!もっと暴れてみろよぉ!」

「やめてください・・・!許してください・・・!」

「助けてください・・・!お願いします・・・!」

「いい身体してやがんなあ、おい!」

「もっと泣き叫べよぉ!もっと愉しませろやぁ!」


必死に抵抗している女性たちも、相手が複数人で恐ろしげな男たちに抑えつけられてしまい、どうしようもなく、成すがままにされていた。


「あのクソ野郎どもが・・・、行くぞ!」


と堪らずフォードが物陰から飛び出し、一番近くに居た盗賊2人の首を正確に切り裂き、頭を落とした。

血が噴き出し、半裸状態の女性が浴びてしまい、大きく悲鳴を上げる。


その悲鳴に気付き、盗賊たちは何が起きたのか悲鳴を上げた方を向く。

が、その一瞬の隙をフォードが見逃すはずもなく、近くに居た盗賊へ小剣を投げつけ、それが胸部に突き刺さると身軽になったフォードは一気に跳躍して突き刺さった小剣を踏み抜き、深々と突き刺した。


「な、なんだぁ!? くそっ、表に居た奴らは一体何してやがる!てめぇら、敵だぁ!殺せぇ!」


と盗賊たちが急いで武器を取りに立ち上がろうとするが、


「<罪人の足枷(グラビティホールド)>」


立ち上がれずに膝を付いて四つん這いの状態になり、立ち上がる事が出来なくなっていた。

奥からフィリオラが左目の魔法陣が光らせながら、魔法を行使して掩護していた。


「さあ、今のうちに!」

「さんきゅー!」


突き刺された小剣を抜き取り、簡単な動作で一気にもう片方の四つん這いの体制を取る盗賊へ距離を詰めるとそのまま無防備となった首をそのまま斬り落とし、その勢いのまま一気に飛び上がると、落下の勢いで別の盗賊の心臓を小剣で深々と貫く。


「ちぃっ!魔術師もいんのかよ! 弓であの女を殺せぇ!」


と盗賊の頭領らしい横暴の男が崖上に居た仲間たちへ指示を出すが、返事が返ってこない。


「くそ、何してんだてめぇら!」


と次の瞬間、目と鼻、口から血を吹き出して次から次へと地面へ倒れ込んでいく。


「な、な、な・・・!?」


目の前で起こった異質な光景に目を疑うが、その奥に突如として現れた見知らぬ(ヨスミ)に原因はアイツだと察し、


「き、貴様かぁー!」


とナイフを手に取って投げつけるが、目の前で消えると突如として背中に激痛が走り、蹲る。


「があああああ!? な、なんだ・・・!?」


と激痛が走った背中へ手を摩ると、先ほど投げた自分のナイフが背中に刺さっていた。


(一体何が起きたんだ・・・!?  俺は確かにアイツ(ヨスミ)にナイフを投げたはず・・・!?

なのに、なのになんで俺の背中に突き刺さってやがるんだ・・・!?)

「ぐぅうう・・・一体、何が・・・くそ、てめぇら・・・!」

「観念しな、もうてめぇしかいねえよ。」


辺りを見回すと、全ての盗賊たちが息絶え、地面へ伏していた。

生き残っているのは自分だけだと気づき、恐怖が心情を支配し、腰を抜かした。


「ひぃぃいぃいい・・・!? くそ、なんで、どうして・・・!?」

「さて、あんたに一つ聞きたいことがある。」


ふと気が付けば、先ほどナイフを投げた男が後ろに立っていた。

ついさっきまで遠くの方で仲間を殺していたのに、気が付けば後ろに移動していたことに更に恐怖に襲われる。


「なななな、い、て、てめぇ・・・さっきあそこにいたのに、い、いつの間に・・・!?」

「そんなことはどうでもいい。ここに珍しい幼竜がいるって話を聞いたんだが、どこにいる?」

「そ、それなら・・・この奥の方に・・・!こ、これが、鍵だ・・・」

「・・・やはりいるのか。この下衆が。フィリオラ、一緒に来てほしい。」

「はーい。今いくね」


鍵を受け取ったヨスミは軽蔑と侮蔑を込めた眼差しを向け、フィリオラと共に洞窟の奥へと消えていった。

息を飲み、顔を青ざめて目の前の脅威が去ったことに一安心するのも束の間、


「さて、後はてめぇだけだ。死ぬ覚悟はできてるよな?」

「ひ、ひぃぃぃぃいいいいいい!!!」


フォードがその小剣を持って盗賊の頭領の心臓を貫いたことで、この事件の終焉を迎えた。


~ 今回現れたモンスター ~


名前:盗賊

脅威度:D~Bランク(集団の規模によりランクの変動あり)

生態:敗残兵や傭兵崩れが集まった集団。基本的に城の跡地や、洞窟、廃村にアジトを構え、主に商人の荷馬車やアジト付近の町や村を襲撃し、金品財宝や食糧、物資などを盗んだり、女性や子供を奴隷として売り飛ばしたりして生計を立てている。


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