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突然の未知なる魔物の襲撃


突然放たれた光線と2重の魔法障壁が衝突し合い、強烈な魔力反発が起き、辺り一帯を巻き込んだ大きな爆発が発生した。


幸いにもフィリオラが張った2枚目の魔法障壁で食い止めることが出来ていたようで、大きな被害はなかった。


「はあ、はあ・・・。ほ、ほんっとうに危なかった・・・!!ゆ、ユリアちゃん本当にありがとう・・・」

「は、はいぃ・・・」


全力で張った魔法障壁が破れ、目を回しながらも何とか返事を返す。

一体何が起こったのかわからず、ただ一つだけ確かなのはどこからか攻撃されたという事。


あの山の頂上辺りで光ったことが、何かしらの手がかりとなる可能性が高い・・・。

だがとりあえず、あの山脈からやってくる大勢の魔物たちの対応をする他なかった。


「2発目が来る可能性があるから、私はこのままここを守っているわ・・・。アリスちゃんとシロちゃんは魔物の軍勢に関して冒険者ギルドへ通達。ユリアちゃんはこのまま私と一緒に。後、ユリアちゃんはセバスを呼んでくれない?」


瞬時に皆へ的確に指示を出し、状況の整理を行う。

フィリオラに指示され、手元の腕輪に付いた小さな鈴を鳴らす。


「お呼びでしょうか。」


何の前触れもなく、どこからかセバスがその場に現れた。


「状況についてはもう知っているわね。兵士たちを集めて。冒険者たちと一緒に魔物たちを迎撃して。ただし魔物たちの目的がこの町への襲撃ではなく、住処を追いやられたが故に取らざるを得ない行動である可能性が高いの。あの山に元凶となる何かがいるから、高ランク冒険者たちと精鋭を何人か集めて調査、後に状況次第では討伐を御願い・・・」

「かしこまりました。」

「ルーフェルース、あなたは黒い森に行って、セイクウッドドラゴンにことの状況を説明して。多分、そっちの方にも魔物たちか流れていく可能性が高いと思うから注意するようにって・・・。」

「わかった!」


セバスはその部屋を後にし、山の方へ殺気を向けながら睨むルーフェルースを宥めながら支持を出す。

それを聞いたルーフェルースは一気に飛び上がり、黒い森方面へ向けて飛び去って行った。


「よし、後はハクアだけだけど、あの子最近アナベラの鍛冶屋に入り浸っているのよね・・・。大丈夫だとは思うけど、一応呼び戻した方がいいかしら・・・。」


グスタフちゃんとユトシスちゃんは害虫駆除のために城から出ているとはいえ、すでに何があったのか情報は掴んでいるはず・・・。


2人にはそのまま自由に動いてもらいましょうか・・・。


「フィーお姉様。」

「どうしたの?」

「あの攻撃、強烈な光魔法が圧縮したものでした。そんなことが出来る魔物を知っていますか?」


光魔法が圧縮された光線・・・。

あの威力からして、かなり強力な魔物のはず。


でもそんな攻撃ができる魔物なんて、この辺りにいたかしら・・・。


「他に何か情報はない?」

「ごめんなさいぃ・・・。」


さすがに距離も離れているからわからないのも無理はない・・・。

ここからでも何か見えたりとかできれば・・・


・・・あれ?また光った?でもさっきみたいな攻撃の予感は漂ってこない・・・。


変わりに何かが来る?


「・・・フィーお姉様、何か良くない物がきます!」

「よくないもの・・・?ユリアちゃん、あなた何か感じるの?」

「わからない・・・、でもあれはとても危険な敵です・・・!」


ユリアは敵と断定した。

魔物でも、人でもない。


完全に”敵”だと言い切ったのだ。


つまり、ユリアが感じたそれは私たちを確実に殺すために行動をしている存在という事。

目的を持って行動しているソレは、私たちも生半可な対応では危険だ・・・。


でも一体相手は誰なんだ・・・。

と、山の山頂を警戒すると、何か6つの点が見える。


それはやがて大きくなり、そこで初めてその6つの点はこちらに向けて移動していることに気が付いた。


「あれは・・・、一体なに?」

「・・・うぐっ!?」


と突然そこで頭を抑えながら蹲り始めたユリア。

何事かとユリアの元へ駆けつけると、急いで治癒魔法を掛ける。


「ユリアちゃん、大丈夫?!」

「頭が・・・痛い・・・!」


治癒魔法を掛けてもらいながら、こちらに向けて飛んでくる6つの何かを見る。

よく見るとそれは灰色に汚れた球体のようで、その中心部には青い魔石のようなものが付いていた。


「まさか、あれはゴーレム?」

「ゴーレム・・・。でもどうして突然・・・。」


不規則な軌道でやってくるそれらはカーインデルトの外で完全空中停止すると、そのうちの1体が前に出て城全体を覆うような光の波を出現させる。


その光の波はゆっくりと部屋全体を覆いながら下から上へと上昇し、ある程度の高さまで達した後に消えると6体全ての球体に付いている魔石の色が青から赤へと変わる。


「・・・まさかっ」


その時、直感でその魔石が向ける視線の先がヨスミだという事に気付き、ヨスミを守るように魔法障壁で覆い尽くした。


その直後、6体の球体から6本の圧縮された光線が放たれ、魔法障壁に阻まれ、霧散していく。

だがその後も執拗にヨスミへと攻撃をずっと繰り出し続けている。


「なんで、ヨスミばかり攻撃するの・・・!?」

「このままじゃ、ヨスミお兄ちゃんが危ない・・・。汝、我が願いに応じて敵を切り裂く風の剣を顕現せよ・・・<風斬(ウィンドスラッシュ)>!!」


ユリアから放たれる風の斬撃が6つの球体たちへ迫る。

だが変則的な動きで簡単に避けられ、また攻撃してきたユリアを敵として認識したのか6体のうち2体がユリアへと光線を放ってきた。


ユリアは手に魔力の磁場を発生させて纏わせると、それに光線をぶつけて軌道を反らし、直撃を免れる。


だが連続して絶え間なく発射される光線に徐々に押され始め、そしてついにはユリアの肩に光線が掠る。

熱い火傷のような鋭い痛みがユリアを襲うも、歯を食いしばりながらなんとか耐え、反撃と先ほどとは違い、闇魔法の<影針(シャドウニードル)>という影となっている部分から針状のものを飛ばして攻撃していく。


フィリオラは片手でヨスミに魔法障壁を張りながら、もう片方で別の魔法を詠唱し始める。

すると手から腕、肘に掛けてまるで竜の口が開いたかのように裂けていく。


「汝、我が求むは全てを切り裂く竜の息吹なり、今ここに顕現せして敵を倒せ。<竜の息吹(ドラゴンレイ)>!!」


2つに裂けた腕から魔力で練り上げられ、作られた竜の魔法の1つである”竜の息吹”が放たれ、2つの球体が避けきれずに直撃し、大きな爆発を生みだすと木っ端微塵となって粉砕した。


それに合わせてユリアが放った<影針>が1体の魔石部分に突き刺さり、スパークを起こして大爆発を起こして粉々に吹き飛んだ。


残された3体の球体はヨスミに集中して光線を繰り出し続けている。

とここで3体同時に動きが突然止まり、よく見ると魔石ごと真っ二つに切り裂かれているのが見え、スパークを起こしながら横にズレた瞬間に爆発を起こして破壊された。


ふと遠くの方でグスタフ公爵の姿が見え、あの距離からあの3つのゴーレムを同時に、そして正確に切り伏せたのだとわかった。


「た、助かった・・・。」

「よかったぁ・・・!」


あの6つのゴーレムたちはヨスミだけを執拗に攻撃し続けていた。

でも確か、あのゴーレムは機能を停止し、古代遺跡で永遠と眠り続けていたはず・・・。


それに6つのゴーレムたちは子であり、本体がいる。

あの山頂に必ず親となるゴーレムがいるはずだ・・・。


「ユリアちゃん、ここで待ってて。私があの親を何とかしてくる・・・!」

「わ、わかりました・・・!ヨスミお兄ちゃんは私に任せてください・・・!」

「ええ、よろしくね!」


フィリオラはユリアへヨスミの事を託し、ベランダに出て高く飛び上がる。

そのまま両翼を顕現させると山頂の方へ向けて飛んでいった・・・。



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