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第六話 ヤバいもの

 ビーカー、三角フラスコ、シャーレ、ピンセット、試薬瓶、ピペットに針付きの注射器、謎の粉末や液体の入ったガラス瓶。


 秋月くんがボストンバッグから取り出した品々は、よくある理科の実験器具を一周り小さくしたものだった。どれも小ぶりで、秋月くんの大きな手の中ではミニチュアのおもちゃのようにも見えた。だけど。


「な、なんかヤバいものじゃないよね?」


 付け替え用の注射針が入った透明ケースを見た私の声は、裏返っていた。


「ヤバいって?」

「ほら、その白い粉末とか。その注射器とか」

「ああ。なるほど。俺が持ってると、ヤバいクスリに見えるってか」

「いや! そういう意味では……あるけど」

「お前正直もんだなぁ」


 秋月くんはまた声を出して大きく笑った。歯並び綺麗じゃないか。グラサンが怪しすぎるけど。


「安心しろ。そういうのじゃないみたいだ」

「ないみたい?」

「これ拾い物なんだよ」

「えっ。勝手に触っちゃヤバくない? こんなに怪しいのに」

「まあまあ、これ読めば分かる」


 手渡された冊子は、電化製品についている取り扱い説明書のような分厚さだった。薄汚れている。書かれた文字は日本語だが、見たことのない不思議なフォントだ。手書き文字のようでもある。


「……『時間収集キットをお使いの良い子の皆さんへ』……? へ? 良い子の皆さん? 時間収集キットぉ?」

「いいから最後まで読めって。待ってるから」


 なにこれ? と表情で訴えたが、秋月くんはただ私に読み進めるように促すだけだった。諦めた私は、モヒカン頭の彼の隣で謎の冊子を音読することにした。


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