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ブリザード イン パニック

作者: いしい 皐 

こんにちは いしい 皐と申します

大分、前に書いた作品で、キャラクター達など、高校生のころ、作った子達です。結構愛着のある子達なので、もっと、ギャグではなくシリアスの話で活躍させてあげたかったです。

力不足で、既に世に出ている ウィルスを題材にした作品に勝てないと思い、ギャグに走ってしまいました。

自分に余裕が出来たら、また、この子達をつかって、当初書こうと思っていたストーリーを完成してみたいと思います

 大都会の片隅で、光がポウッと揺らめいた。

|

 その光はゆっくりと、一人の女性の姿を形づくっていった。


 光のためか、はじめ女性は透き通って見えたが、だんだん実体がはっきりしてくると、彼女は周りを見回した。


「ここで、よろしいのよね?」


 暫く、彼女が何か考えながら、立っていると、いかにもたちの悪そうな人相の男が二人、彼女を見つけて近づいて来た。


「ねえねえ、お嬢さ~ん、一人?


 こんなところで夜中に一人でいたら、危ないよ」


「そうそう、今はね、こっわ~い人いっぱいいるからぁ」


と、ニタニタ笑いながら言う。


「なんならぁ、オレ達でぇ、家まで送ってって、あげるよぉ」


「まぁ、なんて、ご親切な!ほんとうでございますか?」


「じゃぁ、行こうか。


 あれ?


 冷たい手だなぁ ・・・・・」


 男は彼女を何処かへ連れて行こうと、手を掴んで、こう言った。


「あの、わたくしの行きたいところは・・・・」


「悪いようには、しないからよう」


「心配いらねえよ。ねぇ、お嬢さん」


 男達は、さっきのにやけた表情とは打って変わって、無表情になっていた。


 そして、左右両方から、強引に彼女を捕らえた。


「放してください!」


「やぁ、怒った顔も、かわいいねぇ」


「放さないと、許しませんよ!」


「どう許さないのっぉ?」


 男はいやらしい顔で彼女の顔を覗きこんだ。


と、その時、そっと、男の肩を叩いたものがいた。


「やめなよ。


 い、いやがっ・・・・クシュン・・・・ないですか!・・・・ハックション!ハックション!」


 今度は花粉症の男が現れた。


「なんだ、おめぇ」


「ぼく?


 ただの通りすがりの、おせっかいや・・・・クシュン!」


「ふざけや・・・・?」


と、邪魔に入って来た男を殴ろうとした。


 花粉症の男はよけようとしたが、急に二人の男は動かなくなった。


「あれ・・・・?ズビー」


「関係ない方に、ご迷惑は掛けられませんわ」


と、彼女は二人から離れると、ニッコリ笑った。


「??? こ、凍っている・・・・?」


「ちょっとした、手品ですわ」


 花粉症の男があっけに取られていると、彼女は笑いながら言った。


「助けてくださり、ありがとうございます。


 わたくし、あの、こちらに来るの初めてでして、道に迷ってしまいましたの・・・・」


 こう、話し始めた彼女が、花粉症の男をまじまじと見たその時、


「まぁ、何という偶然!


 あなたがわたくしのお捜ししていた方ですわ!


 それでは、まいりましょうか?」


「はぁ、はい~?ヘックション」


 花粉症の男は、あっけにとられ、立ち往生した。って、言うより、足が凍って動けなかった。



ーーーー2XXX年ーーーー


 とある国の、とある街ーーーーー。


 街と言っても、結構都会で、人間が少々・・・・いや、か・な・り・ひしめき合っている。


 人種なんか、グチャグチャに混ざり合っていて、でも、みんな楽しそうに、仲良くやっている。


 ダウンタウンーーーーー。


 まぁ、こんなところで、あたし達は生活している。


 つうかぁ、んーー、こんな所だから・・・・生活していける・・・・のかなぁ?みんな、他人を干渉しないし・・・・だから、あたし達みたいなのが紛れ込んでも、変に思われないのかなぁ・・・・?


 だって、あたし達、人間じゃないんだもん。


 宇宙人かですってぇ?


 まっさかぁ!


 そんなの存在するわけ無いじゃん。


 なんで、そんなこと言い切れるかですってぇ!


 あたしのこと、何歳だと思っているの?


 見た目はね、12~3歳の女の子だけど、実はこれ、仮の姿でね、ほんとはキリストが生まれる前から生きているのよ。


 そうねー。忘れちゃったけど、三千年は生きているかなぁ。


 実際の姿はね♡


 ボインボインの、ウエストがキュッと引き締まった、スタイル抜群の金髪、ブルーアイの超美人なのよ!


 エネルギーを浪費しないために子供の姿をしているだけなの。


 わかる~。


 モンスターの世界も省エネ時代なのよ。


 だーかーらー、


 こんなに長く生きているのに、一度も宇宙人に会っていないんだから、いるわけないのよ。


 そうそう、あたしの名前、言ってなかったわよね♡


 ディジィー、ディジィー=トリガーって言うのよ。


 よろそくね♡


 仲間はあと二人(?)いてぇ。


 今、あたしと同じ部屋にいて、元気のない、中世風の貴公子の二枚目がリフェール=カート。


 どんなやつかは、おいおい話て行くわ。

 

 それから、隣の部屋で、お客さんと話をしている青年。


 見掛けによらず、頭が切れるけど、堅いというか、真面目過ぎるつーかぁ、ま、結構いいやつなんだ。


 けど、ひとつ問題があるのよねー。


 もう少し、身だしなみにも、気を使ってほしいなぁ。だってぇ、頭なんて、ボサボサだし、前髪なんて長くて、顔、見えないしさ。いつも同じTシャツだし・・・・。


 それはさておき、まずは目の前で落ち込んでいる、この男を何とかしなくちゃ。こっちまで、めいっちゃうよ。


「ハァ~」


「どうしたのよ、リフェール。


 溜息ばっかりついて・・・・」


「どうしたも、こうしたもナイワヨ。ディジィー・・・・。


 この一ヶ月余り、ものが喉を通らなくて・・・・ハァ~」


 はぁ~って、溜息付きたいのは、こっちよ。


 こいつ、見た目はダンディーに決めているけど、本当はジェンダーなのよね。


 だいたい誰よ!

 

 こんなヤツ吸血鬼にしたの!


 最近じゃ、彼のお仲間さんとも、めったに会わないけど、吸血鬼にも、ジェンダーがいるのかしら?


 リフェールは見た目が良いから、ジェンダーの吸血鬼に仲間にされちゃったのかなぁ?


 夜明けのバンパイアーーーーー。


 いやぁ、今、恐ろしい所を想像しちゃった。これはそっち方面の話ではないのにーーーーー。


 一度、リフェールち話をしてて、なんとなく吸血鬼になった経緯いきさつが話題になったことがあるんだけど、本人に、


「忘れたわ」


の、一言で済まされてしまった・・・・。


 本当に忘れてしまったのか、言いたくなかったのか、あたしも追求する気もないし、そんなこと今じゃ、どうでもいいことだもんね。


 で、


「どうして?」


「まぁ!


 ディジィー、あなた、新聞もTVのニュースもみてないの?


 今、原因不明の奇病が世界各国で流行っているのよ!


しかも、一カ所から、広っがっているんじゃなくて、あっちの国のこの町、こっちの国のあの町という具合に無秩序に点々としていて、それに、その病気ときたら、感染してから発病するまでの潜伏期間もまちまちだし、同じウィルスなのに症状でさえも違うのよ!


 私、恐くて、恐くて・・・・。


 もし、感染している人間の血を吸ったりしたら、どうなるか・・・・」


 もう!


 そんなに目を潤ませて、訴えるなよ、リフェール!


 男だろ!


 その前に吸血鬼だろ、あんたはーーーーー。


「バッカみたい!」


「いま、バカって言ったわよね、バカってぇ・・・・」


 泣くなよ、おい!


「あ、あなたはいいわよね。


 人間の生命エネルギーを触れるだけで頂けるんですもんね。


 でも、私は吸血鬼なのよ。


 謝って、病気の人間の血を吸ったりして、私まで、ウィルスに感染したら・・・・どうなるか・・・・」


「そこが、バカなのよ!

 

 すでに、リフェール、あなたは死んでいるのよ!


 死んだ人間が吸血鬼というモンスターになったの。


 わかる?


 そんなことで悩まないでくれる。


 これ以上、死ぬってこと無いんだから。思う存分頂けばいいでしょう?」


 あたしは呆れたように言った。


「ディジィー!


 あなたって、ほんと、冷たいのね。他人のことだと思ってぇ!


 ひ、酷いわぁ、私は真剣なのよぉ・・・・」


 わかった、わかったわよ。


 だから、そんな涙と鼻水でグチャグチャになった顔で詰め寄らないでよう。


 あたしが泣きたいわ。


と、隣の部屋のドアが開いた。


 もう一人(一人と言っていいのかなぁ)仲間、アラン=スプリングだ。


「二人共・・・・クシュン・・・・も・・・・ハッハッ・・・・少し、静かに・・・・・してくれませんか?


 ハックション!


 お客様が、み・・・・みえてるんですよ!


 ハックション!ハックション!」


 珍しくマスクをしている。カゼか?おい。


「あ、ごめん。ごめん。


 リフェールと話が盛り上がっちゃっってぇ、アハハハハ・・・・」


と、あたしは笑って、ごまかそうとした。


「そうは見えませ・・・・クシュン・・・・けどね」


「ほんとよ、ほんと。ね、リフェール♡」


「何の話か知りませ・・・・ハックション・・・・。


 ぼく達の正体がばれる様な・・・・クシュン・・・・大声で、話さないでくださいよ!


 ハックション!


 また、引っ越しな・・・・ハッハッ・・・・面倒は、や、やで・・・・クシュン!」


と、あたしの耳元で、アランは小声で囁いた


 そう、クシャミをしながら、鼻水垂らしながら・・・・・あたしをにらんで・・・・。


 勘弁してよう・・・・。


「聞こえちゃった?」


 あたしは顔を引きつらせて笑いながら言った。


 そして、


「そのクシャミと鼻水、なんとかしてよ!


 きったないなぁ!」


と、付け加えると、にらみ返した。


「酷いですね、ディジィー・・・・クシュン!


 ぼくは犬なみに嗅覚が・・・・ズビ・・・・優れているんですよ。


 ハックション!


 今の時期・・・・す、すっごく辛いんですよ。ーーここで、アラン、ティッシュで鼻をかんだーー鼻だけで無く、身体だって・・・・ファ、ファ・・・・だるいし、頭だって、ボーとしてるし、それでも・・・・」


の、ところで、クシャミの三連発。


 情けない、なんて情けない。


 あ~あ、ほんとに、こいつ狼男なのか?狼男なのーーーー。


「あ、あのぉ~」


 奥にいて、忘れられていたお客様の女性が、席を立って、あたし達の所へやって来た。


 この辺りでは珍しい和服を着ている


 黒いアーモンド形の目、バラ色の唇、色白で、長い黒髪の純日本美人!


 そそと、近づいて着たその女性は、腰から四十五度に頭を下げると、


わたくし、雪と申します」


と、言った。


 その雪という女性が近づいて来ると、冬でもないのに、この部屋がなんとなく、ヒンヤリと感じた。


「あなた、もしかして・・・・」


 日本人形の様な、美しい顔が冷たく微笑む・・・・。


「もしかして、ではなく、そうなんです。


 わたくしも、あなた方と同じ妖怪・・・・。


 雪女です」


「ええ!?」


と、口をポカンと開けて、あたし達三人は一瞬、固まってしまった。


 日本のモンスターが、なんで、あたし達の所へ?


 あ、そうだ。さっき、アランが拾って来たんだっけ。


 そして、微笑みながら、彼女は囁くように言った。


わたくし達も困っているのですよ。


 彼の話していた謎の奇病のことで・・・・」


 あっちゃ~、全部、こっちの会話聞こえてたのかぁ~!


 焦る、あたしに、とどめの一言、


わたくしも、同じ妖怪ですので、秘密は誰にも話しませんわ」


 怒られる!


 アランに怒られる・・・・。


 今はお客の前だから、笑っているけど、帰ったら、くどくて、長い長い、ネチネチした説教が待ってる。


 ~~恐ろしいよ~~


「ゆ、雪さん、あたし達に頼み事って、何ですか?


 わざわざ、遠い日本から来るほどのことなんですか?」


 あたしは、取り敢えず話題を変えようとした。


「遠いなんて、とんでもない。


 今は、ジェット機という、とても便利な乗り物があるんですよ。乗ってしまえば、ひとっ飛びですわ。雲の上を風を切って飛ぶのは、とても気持ちいいですわよ」


と、笑った。


 え”、ジェット機の上に乗って来たの?


 中じゃなくて、うえ~~~!?


「いいえ、そんなことより、ディジィーさん!


 もう、これは日本だけの、いいえ!人類だけの問題ではないのですわ。


 人類が死に絶えようが、どうなるろうが、わたくし達妖怪の知ったことではございません。


 でも、食料がなくなるのは困りますわ。


 そうでしょう?


 昔いた、デーモン族のように共食いなんて恐ろしいこと、わたくしには出来ませんわ」


 綺麗な顔して、結構スゴイこと言ってるじゃん。


 人間は食料ってか?


 あたし達は、ちょっとエネルギーを分けて貰っているだけよ。


 アランなんて、肉食だけど、人間と同じ動物の肉、バイトして買って食べてるし・・・・。


 まぁ、リフェールは、吸血鬼だから、人間の血、貰っているけど、殺すってところまで出来ないタイプの臆病者だしね。


「それで、わたくし達、力になって下さる方をあちこち探してまして・・・・。


 そのぉ、風の便りに、あなた方の噂を聞きまして、お願いにまいったのです」


 探すって、どうやって?


 妖怪アンテナとか持っているとか?


「あ、あのぉ、雪さん。


 私も、その奇病に、すっごく迷惑してるんです。力になれるものなら、なりたいわぁ~」


と、リフェールは希望に満ちた目で言った。


「原因は分かって・・・・ハックション・・・・るんですか?・・・・ハックション・・・・ただ、やたら・・・・クシュン・・・・仲間、集めたって・・・・フェッ、フェッ・・・・じゃないですか?」


 さすが、アラン、冷静だねぇ。


 だけど、話、聞きづらいよ。ものすごく・・・・。


「わかってます」


 ええ!


 今、なんてぇ!!


 人間の偉い学者だって、治療に手こずっているのに・・・・。


「それは・・・・」


「それは?」


 三人同事に身体を乗り出して聞いた


 ビーン、あ、これ、アランが鼻をかんだ音ね。


 そして、雪さんは語り始めた。


「原因はウィルスではないのです」


「はぁ?」


「皆様、良く、お聞きになって下さい」


「はいーー」


「あのぉ、その前に一言・・・・クシュン、ズビー」


「なによ、アラン。


 それより、そのクシャミ、なんとかしてよ!」


「ごめん、ディジィー・・・・フェッ、フェッ、・・・・でも、止まんなくて・・・・。


 あのぉ、立ち話も・・・・ズビ・・・・なんですから、向こうのソファーで座って、話ませんか?

ハ、ハックション」


 アラン~なんで、真剣に話している、こんな時に変な気を使う~話が進まないじゃない。


 それより、その鼻水、なんとかしてーーーーー。


で、あたし達一同は隣の部屋へ移動した。


「これで、ゆっくり、お話が聞けますね」


 ズビーと鼻をかんだかと思うと、ニコニコと笑っているその顔がなんか惨めったらしい。


 お前、どっかのマンガの突っ込みキャラ?


 緊張感なさすぎ!


「コホン。


 つまり、あの奇病はわたくし達の調べでは、自然が人類に対して、報復を装ったように見せかけてた起こした、ある社会主義国家の陰謀なのです。


 生物兵器は生物兵器でも、人類をジワジワと弱らせて、死滅させようという、恐ろしい計画なのです」


 な、なんか、話のスケールが、あたし達のキャラには大きくなりすぎてない?


「それは・・・・?クシュン」


 お茶を出しながら、アランは聞いた。


「あ、申し訳ありません。


 わたくしはアイスティーでお願いいたします。熱い物は苦手なもので・・・・」


 やっぱ、雪女・・・・だ。作者も安直だなぁ。


「話を戻らせていただいて、よろしいですか?


 率直に申します。


 年々、人類の間で『花粉症』という病が増加しているのはご存じでしょう?」


「ええ」


 ここにも一人いるでしょう?


「そういえばぁ、アパートの隣の奥さん、お気の毒でぇ、夜も眠れないって嘆いていたわぁ。お薬はって聞いたら、薬が強くて副作用とか恐くて、飲めないんだそうよ」


「随分、詳しいのね、リフェール」


「あら、これくらい社交辞令の会話よ」


「そうなんです。


 恐ろしいのは、この花粉なのです」


 その言葉にあたし達三人は固まった。


「その某国家は、自分達の悪い所は顧みず、他国を逆恨みして、自分達だけ生き残ればいいという考えで、この計画を立てたのですわ」


「その計画と言う・・・・ハックション!」


と、アラン。


「それは・・・・。


 よろしいですか、皆様?


 花粉といっても、普通のものではないのです。


 化学的に遺伝子操作した花粉なのです。その花粉を大陸から大量に偏西風によって、飛び散る黄砂に混ぜ、あたかも、自然現象のように見せかけて、世界各地に分からないように花粉を飛び散らせているのです」


「でも・・・・クシュン・・・・花粉で・・・・ハッハッ・・・・人類滅亡だなんて・・・・クシュン・・・・」


と、話の間に口を挟んだアランに対して、雪さんはすっごい形相で立ち上がり、反論した。


「だめですわ!


 花粉症をバカにしてはいけません」


 雪さんは冷たいアイスティーを一気飲みすると、こう言った。


「花粉症から、喘息になり、呼吸困難に至って、亡くなられる方もいるのですよ。


 夜、眠ることが出来ない方など、ドンドン衰弱して行ってしまうではありませんか!」


「はい、クシュン、どでぼ、づらいです・・・・」


 アランのやつ、かみすぎて赤くなった鼻をティッシュで押さえながら頷いた。


 そして、ボサボサの髪の間から覗いた目から、強い眼光を放って答えた。


 なんか、本気マジになってきたよ、この話、


「この病気が治るなら、ぼく、何でもします。ハックション!でも、証拠・・・・クシュン・・・・とか、グシュ・・・・対策とか・・・・ハッハッ・・・・あるんですか?」


 そうよう、いくら嫌な国だからって、本当にやってんの?人類滅亡計画なんて・・・・」


 自分達だって、ヤバイ訳じゃない?


「ええ~~、やっだぁ~~~」


 もう、リフェール、気の抜けるような声出さないでよう。


「あのぉ~、人間達が掛かってた奇病ってぇ、ただの花粉症だったのぉ?


 やっだぁ、私ったら・・・・、なぁんだぁ、そうだったのぉ。


 ありがとう、雪さん。


 私、なんか急に元気出ちゃったわ♡


 モンスターだもの、血吸っても花粉症になんてならないわぁ!」


 全く、脳天気なんだから・・・・。


 リフェールは雪さんの手を握り、振り回しながら、嬉しそうに微笑んだ。


 それより、リフェール、今までの話聞いてたの?


 人類の危機だっちゅうの!


 第一、モンスターは花粉症にならない?うそうそ、目の前にいるじゃない、その奇病の人!


 そのとき、彼女は急に力なく座ってしまった。


「しょ、証拠・・・・?」


 ん?


「わ、わたくし、あの、思い込みが激しくて・・・・。


 あの、恥ずかしいのですが、日本の妖怪も少なくなってまして・・・・ていうか、日本ではわたくし達妖怪は、かなり住みにくくなってしまいまして、普段は人間の振りをして生活しているんです」


 雪さん、顔がなんか赤くなってるよ。下を向いちゃって、どうしたの?


「ぼく達も・・・・クシュン・・・・人間の振り・・・・ズビ・・・・生活してま・・・・クシュン!」


「あの・・・・。


 先日、人間の彼氏と映画を観まして・・・・」


「それが・・・・?」


と、あたしが聞いた。


「それが・・・・。


 その映画というのが、大自然が自然を破壊し続けた人類に対して、報復するというストーリーなんですけど、その報復のやり方っていうのが・・・・。


 も、申し訳ありません!」


雪さんは頭を下げた。


 わたくし、あの・・・・映画と現実が重なってしまって、い、勢いだけで、こんな所まで来てしまいました・・・・」


 雪さんは恥ずかしそうに小さくなってしまった。


「雪さん!


 結構、その映画、当たっているかもよー。


 たまにあるのよねー。事実を発表すること出来ないから、映画とか、本とかのフィクションとして、発表すること・・・・。


 まぁ、観ている方は真実だってわからないけどね」


 あたしは笑って、雪さんを励ましたつもり。


 そしたら、アランのやつ、とんでもないこと言い出して、


「大丈夫ですよ。いい方法があります・・・・ハックション!」


「なによ、アラン。


 そんな簡単にいい方法が見付かるわけないでしょ」


「ようは、黄砂が飛ばなければ、某国の陰謀だったとしても、ただの自然現象だったとしても、いいんで・・・・クシュン。


 つまり、雪さんの妖力で、大陸全部、雪で覆ってしまえば・・・・クシュン」


と、ニッコリ笑って、バカバカしい案を出した。


 出来るわけないじゃないのよ。アジア大陸どんだけ広いか知ってんの!


「すばらしい考えですわ!


 ありがとうございます。


 わたくし、仲間を集めて、やってみますわ!」


 そう言うと、彼女は着物の袖の中に手を入れ、何かを取り出した。


 え!?


 スマホ~~~。


「雪さん、それって・・・・」


 あたしが驚いた声をだすと、


「あら、ディジィーさん、知らないのですか?


 これ、スマホって言いまして、とっても便利ですのよ」


 あたり前のように、雪さんは笑いながら言った。


 あたしだって、スマホぐらい知ってるわよ。


「凄い・・・・クシュン・・・・ですね。これが例のスマホですか?・・・・ズビ・・・・初めて見ましたよ」


 な、なに感心してるのよう!


「ステキ♡


 これってぇ、TVも観れたり、写真も撮れたり、お手紙も送れたりするのよね♡」


「ラインって、言うんですのよ。


 一度、持ってしまうと、これなしでは生きて行けないぐらいですわ」


 なによ~、この女子高生みたいな会話!


 モンスターがスマホって、何に使うの?


 あたしは開いた口が塞がらなかった。


「今、世界中にいる雪女の仲間と連絡を取って、この計画に協力してくれるよう、頼んでみますわ」


 そう言うと、彼女は馴れた手つきでスマホを操作すると誰かと話始めた。


って?雪女って一人じゃないのぉ?


「ハァ~イ♡


 わたしよ、元気~(^^)


 カナダのユキちゃん!」


 な、なんか、今までのイメージと違ってると言うか、超ハイなんだけど、この人・・・・。


 モンスターだったら、やっぱ、テレパシーとかで、ピピッと、会話しちゃうのが普通よねぇ。


 そうよね?


 そう思わない?


 あたしが古い?


 それなのに、あたしの目の前で、スマホで話をしているモンスターと、それを見て感動しているモンスターが二人。


 なんなのこれはぁ!


「そう、わたくしよ。


 日本代表の青森の雪よ♡


 何してた?今、大丈夫?


 久っさしぶりねぇ、元気してたぁ!」


 何なのよ、この軽い乗りは・・・・しっかし、モンスターの世界も、ハイテク化時代?


 家に、FAXとか、パソコンとか、あったりするわけ~!!


「え、今?


 例のあの奇病のことで、相談に乗って下さっている方のところからよ」


 なんか、凄く楽しそうなんだけど・・・・。


 これから、彼女がやろうとしていることと、掛け離れていると言うかぁ・・・・本気マジでやる気あんの?


「フランスのユキちゃん?

 

 あのは無理よう、気位高いし・・・・それより、他のユキちゃん達にも、連絡網で回してね♡


 よろしくぅ」


 れ、連絡網って、そんなのあるの~。


「ニイハオ」とか、「ナマステ」とか、雪さんはこんな軽い乗りで、スマホを掛けまくって、あの、大陸を雪で覆う計画を次々と話していった。


 いったい、雪女って何人いるのぉ・・・・!


あたし達三人が、あっけにとらわれていると、彼女は一通り連絡が終わったのか、スマホを着物の袖の中にしまった


「フッ・・・・」


 な、なんなの?その不敵な笑いは・・・・。


「失礼いたしました。


 わたくし、こうと決めると、突っ走るタイプでして・・・・。


 いろいろと、ご迷惑をおかけしました」


「迷惑だなんて・・・・」


 あたしは、引きつって、笑った。


「おかげさまで、ほとんどの仲間が協力してくれることになりました」


 そう言うと、雪さんは満足そうに微笑んだ。


 しかし、本当にやるの?


 あの、おバカな計画・・・・。


 彼女は礼儀正しく頭を下げると、


「結果はどうなるか、分かりませんが、やれるだけのことは、やってみます。


 ありがとうございました」


「無理よ、雪さん!何処にいくのよ!」


と、叫ぶあたしを見向きもせず、早とちりな雪女は、スウーとかき消すように、風に乗って行ってしまった。


 また、ジェット機に乗って行ったのかなぁ。


 地球温暖化で暑いから、砂漠に雪が降ったら、大騒ぎね。


て、ことは雪が溶ければ、砂漠の緑化も可能・・・・?


 ま、まさかねぇ、生態系狂っちゃうわよねぇ。


 無理、無理、絶対に、無理だって、まぁ、無理だって分かったら、諦めるわよね・・・・。


 そういえば、まだ問題児がいたんだ。


「そうだったのぉ。


あの奇病は某国の陰謀で、黄砂に協力パワーアップした花粉を運ばせてたのぉ。


 じゃあ、雪さんに力を貸さなくちゃ。


 何とかしなくちゃ、ねえ、みんな!」


と、部屋の中をウロウロするバカひとり。 


 彼女が何処に行ったかなんて、もう分からないのにね。



 二週間後ーーー。


 すっかり、鼻水とクシャミが止って、マスクを外したアランに、あたしは言った。


「そういえば、ねぇ、アラン。


 この頃、花粉症の方、いいみたいね」


「うん、今年はピーク過ぎるの早いですよ。


 町でも、マスクしている人、もうほとんどいないし、なぜかなぁ・・・・」


 アランは首を傾げた。


 アランの物静かな性格とは裏腹に前髪で隠れた目が冷たい光を放つのが見えた。


 そうだった、もうすぐ満月なんだっけ。


 アランにとって、満月を挟んだ一週間は一番辛いときなんだった。


 優しいアランは人を傷つけるのを嫌って、自ら理性のあるうちに檻の中に入ってしまう。


 満月が近付くにつれ、だんだん性格も変わって行って、狂暴化していく。


 そうなったら、誰にも彼を止められない。


 檻の中で、満月が過ぎるまで、何を叫ぼうと、かわいそうだけど出すことは出来ないのよ、アランとの約束で・・・・。


 狼になっているときの記憶は、アランによると、全くないんだって。


「あ、そういえば、ディジィー」


「なに、アラン」


「この小説の中で、ぼく達、モンスターだよね」


「そうよ。それがどうしたの?」


「その必要って、あった?」


「そう言えば、全然ないわね」


 あたしは顔を少し引きつらせた。


「ただの人間でも、何でも良かったって感じ?外人じゃなくて、日本人でもOKよね」


「やっぱり、作者が、ぼく達のキャラ設定使いたかっただけ?」


「違うのよ、アラン。


 先にウィルス兵器の話を人気のあるキャラの”江留”を主人公に映画にされちゃって、ネタがダブったから、ギャグに走ったのよ!「


「でもぉ、その前にダ△ティ=○フマンが主演で、ウィルスネタの映画、あるわよ」


と、リフェールが言った。


「じゃぁ、もとの話はシリアスだったんですか?」


「そうよ。


 ちゃんと、この設定で、あたし達、大活躍するはずだったの!


 アランだって、ちゃんと狼男になって、敵の秘密工作員をやっつけるという、カッコイイアクションシーンがあるはずだったのよ」


「そんなぁ!!


 あんな、鼻水ダラダラの花粉症の狼男じゃなかったですかぁ、酷い!」


「あたしだって、ワクチンを作るデーターをコンピュータ使って、解析して、ウィルスに関するデーターを破壊する、頭の切れる美女の役だったのよ!


 ずっと、省エネタイプの姿の、ちんちくりんじゃなかったのよ!」


「それじゃぁ、私。私は♡」


 リフェールは、期待を胸に膨らませて言った。


「リフェール?


 あなたはウィルス持って逃げるの。


 だってぇ、ほら、空飛べるの、あなただけじゃない・・・・」


「何処へ?」


「北極。


 ウィルスは寒さに弱いって設定だったの。氷の中に閉じ込めて、めでたし、めでたし・・・・」


 あちゃぁ、リフェールのやつ落ち込んだ。ま、いいか。


「あ、そういえば、作者が先取りされた映画、今日、地上波、初放送なんですよ。


 観ます?


 江留って、やっぱり、甘い物ばっかり食べているんですかねぇ」


と、アランがTVのスイッチを入れると、緊急特番がやっていた。


「ちぇっ、花粉症が酷くて、観に行けなかったのに・・・・」


 TVのアナウンサーが、緊迫した表情でしゃべっている。


『今日、予定していた映画、【江留 世界を変える】は、緊急特番のため、来週放送させていただきます。


 今、アジアで何が起こっているのでしょう?


 では、現地に飛んでいるリポーターのドリーを呼んでみましょう』


『はい、リポーターのドリーです。


 視聴者の皆さん、私は今、何処にいると思いますか?


 北極でも、南極でも、シベリアでも、ましてや、特撮スタジオでもありません。


 ここは、アジアの一国です。


 この時期、もうすぐ七月になろうというのに雪です。


 もの凄いブリザードが、この国に襲い掛かっているのです。


 ただいまの気温は氷点下四十度・・・・』


と、言い終わらないうちに、リポーターの女性アナウンサーは強い風に飛ばされそうになった。それでも踏ん張って立ち、寒さに震えながら、話を続けようとした。


 TVの画面がブリザードを映す。


『見て下さい。


 このブリザードの中、人が・・・・大勢の人が立っているのが遠くに見えます


 寒くないのでしょうか?


と、言うよりも、自殺行為です!』


 カメラが人影を映し、ズームアップした。


『女性達のようです。


 いったい何の目的で、こんな所に集まっているのでしょう?』


 あたし達三人は、TVにかじり付いた。


『おや?


 その中の一人が私達に気付いたのか、こちらへ、近付いてきました!


 日本人のようです!』


 一瞬にして女性はカメラの前に現れた


『これ、TVカメラですか?』


『そ、そうですけど・・・・』


 かなり、リポーターはビビっているようだ。


『一言、よろしいでしょうか?』


『あ、はい』

  

 女性はカメラに向かうと、


『デイジィー!


 リフェール!


 アラーン!


 元気ィ~!


 アラン、花粉症はどう?


 砂漠化した大陸はこの通り、氷で覆いつくしたわ!


 これで黄砂も飛ばないわよ!


 みんなで力を合わせた結果よ!』


と、あの雪さんが、ハイテンションで、TVに映っていた。


『あ、あなた達はいったい・・・・』


 リポーターはおずおずと訪ねた。


 すると、雪さんは、こう答えたの。


わたくし


 わたくし達は、人類の救世主よ♡』


『ーーーーー』


 リポーターは魂を抜かれたようになってしまった。


 あたし達三人はTVのスイッチを切った。


 しばしの沈黙・・・・。


「ま、まさかね」


と、アラン、


「あたし達のせいじゃないわよね」


と、あたし、

 

「感動だわぁ。


 雪さん、行動力あるのねぇ」


 リフェールは、うっとりしている。


「どうします?デイジィー・・・・」


「気が済むまで、放って置くしかないんじゃない?


 下手に止めようとしたら、あたし達、モンスターだって、大勢の雪女が相手じゃ、氷付けにされちゃうわよ。


 女は恐いのよー」


「冷静ですね、デイジィー」


「開き直っているだけよ。


 あっちで、はしゃいでいるバカよりましだと思って・・・・」


「どうなるんですかね、あそこは・・・・」


「そうねぇ、


 雪がやんで、


 氷が溶けて、


 春が来たら、


 ま、花が咲くんじゃない?


 砂漠でも・・・・」


「そうですね。


 それから・・・・」


ん、それから?


「どうしたの?」


と、あたしはアランに聞いた。


「デイジィー・・・・。


 花が一杯咲いたら、どうなるとおもいます?


 また偏西風に乗って、花粉が飛んで来るんじゃないんですか?


 黄砂が飛んで来ないだけで、花粉だけは、飛んで来るんです。


 ぼくに取っては、何の解決にもなってないんですよ!」


 そんな、そう興奮しなくても・・・・。


「まあまあ、アラン。


 花なんて、何処にでも咲くんだから、杉なんて、この国にも生えてるんだし・・・・。


 今回は、たまたま偶然が重なっただけよ。大陸が雪で覆われたのと、花粉症のピークが過ぎたのが、一緒になっただけ!」


 あたしは冷静に答えた。


 アランはガッカリして黙ってしまった。


「アッラーン、残念ねぇ。


 来年も、マスクとティッシュ放せないわよ」


 リフェールはアランをからかうように言った。


 アランは無言で、リフェールを睨むと、とんでもない事を言い出した」


「作者さ~ん、お願いでーす。


 ちゃ~んと、細かい設定までしてあるんだから、きちんと今度は狼男として活躍させて下さ~い」


 よ、よしてよ。あんた二重人格なんだから、恐いのよ。


 いいのよ、これで、


 砂漠に花が咲いて、めでたし、めでたしで、


(あたしの情けない姿、見られないですんだし・・・・)  


 いえ~、何でもありませ~ん。エネルギーが切れると金魚になるなんて、嘘よ。ないない・・・・。


 皆さん、機会があったら、また、お会いしましょう。


 じゃあね♡




                              ーEndー

                       

読んだあと、クスッと笑える作品になってればいいとおもいました。


リフェールがオカマなのですが、今、それを使うと差別になると、考えてしまい、表現するのに苦労しました。かなり考え、自分は人それぞれ自由だから、オカマって、可愛いからいいじゃんと思っていても、読者が、どう取るか分からないのでとてもなやみました。

どう思いますか?


ここまで、読んでいただきありがとうございました

感想など頂けたら幸いです

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