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接触②
「地球外知的生命体を取り込んだ一般人」
俺は愛想なく答える。
急に男が真面目なトーンで話し始めた。
「日本国としてあなたを研究のため拘束します。異論反論は認められません。すぐにご同行願います」
「それ、抵抗したらどうなるの?」
「こうなります」
バンッ!
男が壁に向かって発砲した。
「いいよ」
男は右手を挙げて全員に発砲許可を下す。
ダダダダダダダダダダダ…
窓や壁、天井や床に次々と穴が開けられる。上の部屋や下の部屋からも撃たれているようだ。
煙とホコリが部屋中を埋め尽くした。辺りには硝煙の匂いが強く漂っている。
視界が晴れていく。
そこにはソファに腰掛けたままの田中一がいた。
銃弾は一の眼前で停止し、ポトリと地面に落下する。
彼は周囲の空気を圧縮し、空気の膜を作っていたのである。
異様な光景に驚きを隠せない隊員達。公安の男も同じく驚いている。
「じゃ、」
俺は立ち上がる。
「次はこっちの番」