接触①
「…続いてのニュースです。本日未明、武蔵野市で頭部が大きく欠損した女性の遺体が発見されました。警察は身元の特定を急いでおり、目撃情報を集めているようです。…次のニュースです」
このニュースを見て不完全体を使った実験は成功と確信した。警察が馬鹿正直に「存在しないはずの人が死んだ」なんて言えるわけがない。
次は不完全体一体で複数の変態が可能かどうか、一人の人間に不完全体を複数摂取させたらどうなるのか、試してみたいなー
ーバン!
不意に玄関が強引に蹴破られ、小機関銃を武装した集団が家の中に入ってきた。ベランダにも何人か並んでいて、全員こちらに銃口を向けている。
「あちゃー、、やっぱかー」
ボリボリと片手で髪をかく。マッハ12で空を飛べばそりゃ血眼で探しに来るだろうよ。
「で、どっち?」
玄関方向でこちらに銃口を向けたまま動かない兵士の間から一人の男が入ってくる。
「いやー、話がわかりそうな生物でよかった」
男はにこやかに言う。
「公安です。米国ではなくて残念でしたね」
「モルモットにされるんだからどっちも俺にとっては変わらん」
「ははっ。米国だったら対話の余地すらなく問答無用でこの部屋は蜂の巣ですよ」
続けて男が問いかけてくる。
「で、あなた、何者です?」