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バビロン 悪意の手②
パーカーとのやり取りを終え、アパートに戻る一。
肉体を完全に再生させた真純が笑顔で「おかえり」と言った。
一は申し訳なさそうに
「俺のせいで、ごめん」
と言いい、真純を抱きしめた。
純真無垢な笑顔で真純が抱き返す。
「はじめくんは悪くないよ。食物連鎖の頂点にいた人間にとって、私たちは理解できない存在だから。恐れるのは当たり前。
破れちゃった服は変態で直せるし、気にしなくていいよ!」
一は静かに涙を流す。
それは真純への感謝が極まって流れたものか、
愛している者が人外の存在になってしまったことを改めて理解した苦悩の涙か、わからなかった。
彼らは、支離滅裂に愛し愛されている。
一は涙を拭い、エージェントの一人の頭部を捕食し、真純に言った。
「真純に頼みたいことがある」
そう言うと、動かなくなったパーカーの身体を地面に置いた。
「”コレ”から、奴らの居場所がわかるか?」
真純は「ちょっと待ってね」と言い、念じた。
「うん、わかったよ」
一は「よし!」と自分の尻を両手で叩き活を入れる。
「次は俺らが挨拶しにいかないとな」




