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バビロン 悪意の手①
「はい」
パーカーが冷静に答える。
「私はアンドロイドです。頭部には脳ではなくAIが入っています。
なので、私の頭部を使って我々のことを探ることはできませんよ」
一は少し驚いて言葉を返す。
「そこまで把握してるとは。さすがバビロン、といったところか」
パーカーも
「我々の組織名をご存知とは。そちらもやりますね。
しかし今回の作戦に動員したエージェントは、私たちの組織の位置は知りませんよ。残念でしたね」
と返す。
一はパーカーの嫌味をを無視して近寄り、眼球を覗き込む。
「カメラはやっぱり眼球か?」
「ええ」
偽りなくパーカーは答える。
「そうか」
一はパーカーの両眼を潰し、告げる。
パーカーは笑いながら
「敵対してる私の言うことを信じるのですね。私も、不思議とあなたが嘘をつくような生き物だと思えないのは、なぜでしょうね」
と言う。
一も少し笑う。
「じゃ、あとで挨拶しに行くから」
そう言うと、パーカーの両手足を引きちぎり、マイクが内臓されているであろう口部に片腕を突っ込んだ。
パーカーはもう、反応しなかった。




