おまえらぜんいんぶっころしてやる
ー2023年1月2日12:00
真純と正月番組を見て談笑していた一の頭が吹き飛んだ。
急な出来事に何が起きたか理解できない真純。
理解する前に、真純の頭部が吹き飛んだ。
頭部を失った一がむくりと起き上がろうとした瞬間、身体を支えていた右手が吹き飛んだ。
ーカラン、カラン。
玄関と窓から透明なガスを噴出する物体が投げ込まれた。
室内に動きがないままだが、投擲から約1分後、急襲部隊が室内流れ込む。
乾いた音が怒涛に響く。
次々と細かい肉片と化していく一。
頭部を失った真純は動かない。
約3分間におよぶ銃撃の後、冷凍ガスの噴射が行われた。
次々と凍り付いていく一の肉片と室内。
冷凍ガスの約5分後、サーモグラフィーによる確認が行われた。
「こちらブラボー2、UH1およびUH2の温度はマイナス4℃。
目標に運動反応なし」
パーカーが通信機で答える。
「こちらアルファ1、状況了解。
引き続き警戒を怠らず冷凍ガスの噴射を続けよ」
「ブラボー2、了解」
「なあ知ってるか」
不意に一の声が室内に響く。
冷凍ガスと銃弾の両方がUH1に放たれる。
それをものともせず、一は刹那に肉体を再生した。
「この服はなぁ、真純が昨日初売りで買ったお気に入りでな」
銃声は止まない。
「それをお前らは汚して穴だらけにしたんだよ」
「おまえらぜんいんぶっころしてやる」
真純を包み込むように球状に変化した一。
パーカーたち狙撃部隊が対戦車ライフルを打ち込むが、圧縮された空気の膜によってはじかれる。
瞬間、球体から縦横360°、槍状の突起がアパート全体を貫く。
ブラボーとデルタ部隊、全滅。
パーカーたちアルファ部隊も撤退しようとした刹那、約3トンの質量をもった空気の塊が狙撃部隊を叩き潰した。
パーカー以外のアルファ部隊は全滅した。
その場から逃走しようとするパーカーの目の前に、一が降り立つ。
「お前、生き物じゃないな」
一がパーカーに話しかけた。




