バビロン 正義の目④
しんと静まり返った室内で本部長が頭を抱えながら口を開く。
「だから今日、13件も同時に、ドッペルゲンガー殺人が起きたというのか」
「はい」
とパーカーは答える。
本部長が真面目に言う。
「これはもう、この捜査本部で追える事件ではない。
対テロのプロに委任するしかない」
パーカーが答える。
「そのために私が来ました」
パーカーが続ける。
「失礼ではありますが、既に私の派遣元の権限によって、2月3日当日の対テロ対策本部は設置済みです。
また田中一に関しては、任意の事情聴取ではなく、2月3日までに殺害といった方法をとります。
殺害の責任については問われないよう組織は編成してあります」
本部長はパーカーの目を見つめ言う。
「わかった。よろしく頼む」
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それからおよそ1時間後、1月1日23時。
場面は変わり、公安調査庁、『人型UMA駆逐特別対策本部』
戦闘服に着替えたパーカーが約30名の面々の前に立ち演説を行う。
「皆、資料にある通り、我々は1月2日12:00に人型UMA、通称【田中 一】の完璧な駆逐作戦を実行する。
以後、作戦内に置いて対象を【UH1】と呼称する。
UH1の生活しているアパートの室内には【尾張 真純】、以後【UH2】と呼称する、が同居している。
UH2もUMAである可能性が非常に高い。
その能力はUH1と同等か赤井みどりと同等か、まだ判断はつかないため現場での対処は個々に任せることとする。
だが本作戦概要にあるように、UH2も駆逐が基本であるということを忘れないでいてほしい。
改めて作戦の概要を伝える。
UH1とUH2の頭部狙撃を基本戦略とする。
頭部の破損で絶命するかどうかは不明であるが、もし万が一、頭部への狙撃が致命打にならない場合は、遺伝学研究所から奪取されたサンプルを保管する際に使っていた特殊ガスを室内に充満させ、UH1とUH2に対処するものとする。
これは国家の未来をかけた戦いである。
私は狙撃部隊の一員として行動の号令をかけながら指揮を行う。
それでは各自、明日に備えよろしく頼む」




