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バビロン 正義の目③

 本部長が気合の入った声で指揮を取る。

「よし!至急、田中一に任意で事情聴取だ!」

歓声が湧く室内。


しかし、パーカーが待ったをかける。

「動き出すのはまだです」


本部長が引き続き気合のこもった声で言う。

「この小一時間で、キミのおかげで田中一という重要人物まで辿りついた!

何を躊躇する必要がある!」


「今日の彼の行動です」


パーカーが続ける。

「今日、1月1日という日本で一番目立つ日に、わざととすら思える程に人型UMAの目撃情報が数えきれないくらいあがっています。

そのUMAはお面で顔を隠していたようですが、自分の行動を隠すそぶりは全く見せていない。

つまり、目撃されてしまうことよりも重要なことをしていたということです」


「ところで本部長、あなたが誰にでも変身する能力を得たら何をしますか?」

急に本部長に質問をするパーカー。

本部長は少し考えた後、答えた。

「私なら、金持ちとか、権力者とか、好きな芸能人とか、そのあたりだろうな」


表情を変えずパーカーが言葉を重ねる。

「そう、それが普通の考えです。」

「赤井みどりも日戸次雄という人物を結婚したいと云う思いから、配偶者だった理芽さんになり変わったにすぎない」


パーカーは再び本部長に質問をする。

「質問を少し変えます、本部長。

捜査員2000名すべてを好きな人物に変えることができるとしたら、あなたはどう指揮をしますか?」


本部長は再度考えた後、「まさか」と声をあげた。


パーカーが答える。

「そうです。

行政、司法、立法。

分立している三権の掌握。

つまり、日本の支配です」


「そして、2月3日、国の要人たちが集まるイベントがあります。

矢部元総理大臣の国葬。

田中一はこれに間に合わせるため、日本中を飛び回り、変身UMAを配っていたとしか考えられない」

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