バビロン 正義の目②
誰かが言う。
「あの事件では被害者の室長以外の情報は手に入っていない。
容疑者の性別すらまだ判断できていない。
なぜソイツの犯行だと言える?」
パーカーが真面目な口調で話す。
「その質問に答えるには、あの日、遺伝学研究所で何があったか、それをお話ししなければなりません」
「室長に扮した何者かは全ての生体情報をクリアしたことは、本件がドッペルゲンガー連続殺人事件となった由来から、みなさんもご承知かと思います。
あの日、研究所から国家機密のある物が盗まれました。
それについては私からお答えする権限がないので、その質問はナシで。
ついでにまだ調査できていないと思われるのでお伝えしておきます。
研究員3名、特殊部隊8名が昏倒した原因は薬物使用の件で進められていると思いますが、違います。
研究員3名がいた室内は国家機密レベルということもあり、監視カメラに多くの機能がついていました。
サーモ、赤外線、そして空気成分の分析システムです。
昏倒の原因は薬物ではなく、酸素濃度の急激な低下によるものでした。
特殊部隊のいた廊下のデータでも同様の現象が確認されています。
おそらくこれは科学的な方法ではなく、まだ我々の理解できていない超科学的な方法で行われました。
犯人は空気もしくは酸素を操れる。
重要なのはそこです」
パーカーが結論を出す。
「空気を操れる。
これは、9月6日に目撃された田中一の飛行能力と紐づけられると思いませんか?」




