バビロン 正義の目①
「それは…本当なの…か?」
「はい。推理を裏付けるデータはお渡しできませんが、お見せすることはできます」
どよめく室内。
誰かが言った。
「日戸理芽の逮捕状をすぐに請求しましょう!問い詰めれば白状するでしょう!」
パーカーが呆れ気味に言う。
「何の容疑で逮捕状を請求するおつもりで?自分を殺した罪?」
慌て気味に誰かが言う。
「ならば赤井みどりに逮捕状を…!」
パーカーはやれやれといった表情で
「今の理芽さんはもう、赤井みどりの肉体に戻ることはないでしょう。いない人をどうやって捕まえるんです?」
誰かが大声で言った。
「ならばどうしろと!」
冷静に答えるパーカー。
「ドッペルゲンガー殺人事件第一号は、日本の法律で裁くことはできません。
つまり、我々は本件については何もできない」
そんな…とかすかに聞こえる程度の声量で誰かが呟き、椅子にもたれた勢いで椅子のきしむ音が静かな室内に響く。
不意に、捜査官の中の誰かが言った。
「田中 一なら捕まえられるんじゃないか?」
「イエス!」
キメたポーズでパーカーが叫んだ。
しかし続く言葉は冷静なものだった。
「しかし本件では逮捕できません。UMAを裁く法律がありませんから。
でも、11月2月に起きた第二号事件、そちらでしたら逮捕が可能かと」




