蠢動⑤
「こんなもんか」
掲示板に投稿を終えたあと、真純がホットコーヒーを持ってきてくれた。
「ありがとう」
>「はじめくん、がんばってるみたいだからね」
>「どう?上手くいきそう?」
「たぶんね」
一は考えていた。
ドッペルゲンガー殺人事件。
既に不完全体を1匹使ってしまっている。
警察は遺伝学研究所の事件も関係があると思って動いているようだ。
今回の作戦は事前準備がいかに順調にいくかがカギだ。
そのため早めに不完全体を配ってチカラの使い方を教えておくこと、警察や公安にこちらの動きを悟られないこと、この2点が特に重要だ。
また裏切り者のことも考えなくてはいけない。
掲示板で反応した者の中には警察や公安の関係者が紛れているかもしれない。
それでなくとも、途中で意志が折れて自首するやつも現れるかもしれない。
一は今回使うダブルに”制約”を付け加えることにした。
①地球外知的生命体=一と真純 のことを探ろうとした瞬間に死ぬ。
②不完全体のことをいかなる手段を使って自身以外に伝えようとした瞬間に死ぬ。
③2月3日の国葬開始予定時刻12:00に九段下駅2番出口に集結する。
うん、たぶんこれで問題ない。
不完全体を配るために空を飛ばなければならないが、これは見つかっても仕方ないことにした。
なぜなら死なないから、止められない。
「ふふふっ」
>「楽しそうだね!」
「まあね」
>「はじめくん」
「ん?」
>「好きだよ」
「俺も好きだよ、真純」
二人は口付けを交わした。




