せめて人間らしく、だけど支離滅裂に愛してる②
「次は〜米原〜、次は〜米原〜。お降りのお客様は忘れ物にご注意ください」
いよいよ待ち合わせ場所が近づいてきた。米原駅近くにお気に入りのカフェがあるらしい。そこを指定された。
人間らしさを取り戻したように行動していた一だが、カバンの中の地球外知的生命体をまじまじと眺める。
(これで、真純はー)
「まもなく〜米原〜、米原駅に到着です。お降りの際はドアとホームとの隙間にご注意ください」
新幹線が止まる。
今回、空を飛ばずに電車で来たのは理由があった。せめて、人間らしくー
大きく踏み出す。
改札へ向かう。確か、南口。
真純はジーンズに白のダウンジャケットとのことだった。
周囲を見渡す。
ふと、こちらに向かって手を振っている女性がいることに気づく。
ジーンズに白のダウンジャケット、真純だ。
真純の方から駆け寄ってきた。
>「はじめくん!ホントひさしぶり!あんまり変わってなかったからすぐわかったよー!」
「そうかな…自分じゃわかんないや。真純はきれいになったね」
>「化粧が上手くなっただけだよ!寒いし行こっか!」
「そうだね」
二人で歩み出す。側から見ればカップルかな、なんてつまらないことを考える。
>「そういやギターは続けてるの?」
「ハハッ。高校の時の話なのによく覚えてるね。大学の時はやってたけど、社会人になってからは弾いてないよ」
>「そっか!」
真純はきれいで、まっすぐで、優しくて、元気で。
だから、最期はせめて、人間らしくー
>「ここだよ!」
ウッドデザインの、いかにもコーヒーの味に自信がありそうな店に着いた。
「真純」
>「どしたの?」
「愛してる」
>「え?」
地球外知的生命体を真純の耳の穴の中に入れる。
真純は真面目な顔で何かを言おうとしてる。
>「はじめくん。私たち、たぶんもう、そういう関係にはなれー」
>「私も愛してるよ、はじめくん」




